人と自然の共生社会 国産材の活用

「シャーウッド純国産材プレミアムモデル」の第1回「ウッドデザイン賞」優秀賞 林野庁長官賞受賞を記念し、国産ブランド材を柱に標準採用した新商品の販売を2016年4月に開始し、これも契機に国産材を利用した商品は順調な伸びを見せています。また、2019年度は、日本初の国産材認証制度SGEC住宅の提供も行いました。

 積水ハウスでは2007年に策定した独自の「木材調達ガイドライン」により、国内の森林経営の健全化や、木材輸送に起因するCO2排出量の削減に配慮し、国産材を活用した合板の積極的な導入をはじめ、国産広葉樹を内装部材に利用するなど、国産材の活用の幅を広げてきました。


 2013年には、建物の骨組みとなる柱、梁に厳選された国産ブランド材を使用した「シャーウッド純国産材プレミアムモデル」を発売し、「地産地消」を実現しました。単に国産材というだけでなく本物志向の銘木ブランド材を用い、また一般には採用の難しい梁についても国産材とすることで、他ではできないプレミアムな提案を実現しました。このモデルは林野庁が開始した「木材利用ポイント制度」にも適合し、この2015年にウッドデザイン賞運営事務局(後援・林野庁)主催の第1回「ウッドデザイン賞」において、木を使った地域社会活性化を評価するソーシャルデザイン部門で「優秀賞 林野庁長官賞」を受賞しました。

 その後も、国産材の採用拡大を続け、今ではシャーウッドを語る上で無くてはならない商品に成長しました。

国産材活用のポイント

全国の林産地との連携による供給安定

 これまで、全国の産地と連携し、新たなサプライチェーンを構築して材料供給の安定と供給スピードの向上を進めてきました。現在、柱については3種類(ヒノキ・スギ・カラマツ)15地域16ブランドの国産材産地との連携が進んでいます。これにより、樹種の選択肢が広がり、お客様の住まいにより近い産地で育った国産ブランド材を提供することができます。

お客様へ国産材の魅力を伝える仕組み

 建築現場で国産材活用が実感できるよう、国産ブランド材の構造柱に樹種と産地を表示することにより、お客様や近隣の方、工事関係者にも国産材を身近に感じてもらえます。また、国産材について社内の勉強会を実施したり、産地見学会を行うなど知識を深めています。

写真:国産材についての伐採現場研修

国産材についての伐採現場研修

こうした国産材導入推進の社内キャンペーンや、社員の伐採現場での産地見学・勉強会などの成果もあり、木造軸組工法の「シャーウッド」においては、2017年度22%であった国産材の柱への採用率が、2019年度は30%を超え、累積出荷棟数も4000棟を突破しました。

秋田スギ(秋田)、日光ヒノキ(栃木)、秩父ヒノキ(埼玉)、 木曽ヒノキ(岐阜)、東濃ヒノキ(岐阜)、吉野ヒノキ・スギ(奈良)、 美作ヒノキ(岡山)、 石鎚ヒノキ(愛媛)、土佐ヒノキ(高知)、飫肥スギ(宮崎)、甲州ヒノキ(山梨)、しずおかヒノキ(静岡)、大山出雲ヒノキ(島根)、道産カラマツ(北海道)、日田ヒノキ(大分)。

日本初の国産材認証制度SGEC住宅の提供

 最近の生活者の環境意識の高まりの中で、認証住宅等に対して関心を持つ層も増えつつあります。

 我が国では、数世紀にわたり林業と木材利用の歴史がありますが、持続可能であり適切に管理されているかを評価する制度として「SGEC」という、国内森林認証制度(注)があり、国際森林認証制度「PEFC」と相互承認を取得しています。

 当社は2019年に、個人住宅としては日本初の「SGEC/PEFCプロジェクトCoC全体認証の家」を建築しました。これは、SGEC/PEFC認証の普及発展を進める「合同会社 森林認証のもり(吹田市、森匡子代表)」の住宅建設に協力したものです。認証取得に際しては、建設に使用された全ての木材のうち、70%以上が国産の認証材で、それ以外の木質由来の材の材に関しても壁紙、襖紙などの紙製品も含め適切に管理された森林由来のものか確認作業を行いました。全てのサプライヤーに樹種、産地、現地のNGOとの問題が生じていないかなど木目細かな情報提供を求めた取組みにより、当社は森林認証住宅についての知見やノウハウを得ることが出来ました。この経験を、今後の住宅の新たなメニューとして展開していくことを検討しています。

注: 国内森林認証制度:SGEC (Sustainable Green Ecosystem Council)は、国際森林認証制度:PEFC(Programme for the Endorsement of Forest Certification)から2016年に相互承認を取得。共に、環境・経済・社会の三分野から森林を守る為に持続可能な経営が行われている森林を認証(森林管理認証)、その認証森林から出材された原木を加工・流通の過程で適切に分別・管理していることを認証(CoC認証:Chain of Custody認証)、最終製品にSGEC/PEFCロゴラベルを付け、消費者に安心を提供する制度です。

写真:SGEC 認証住宅の内部構造