トップメッセージ

代表取締役 社長執行役員 兼 CEO

仲井 嘉浩

人生100年時代へ
住まい手価値の創出を目指し、
「住」を基軸にハード×ソフト×サービスを提供する
グローバル企業への変革に邁進します。

 新型コロナウイルス感染症により、お亡くなりになられた方々やご家族の皆様に謹んでお悔み申し上げます。また、罹患された方々や、影響を受けられた皆様には、心よりお見舞いを申し上げます。そしてエッセンシャルワーカーとして支えてくださっているすべての皆様に感謝を申し上げます。積水ハウスグループは、お客様、取引先、関係者の皆様、そして従業員の安全を最優先として、感染拡大の抑止のために必要な対応・対策を継続しながら、社会の発展に向けて全力で貢献する決意です。

2021年6月

揺らぐことのない根本哲学「人間愛」と
新しい5つのマテリアリティ

 今回の新型コロナウイルス感染症のようなパンデミックに限らず、激甚化する自然災害、世界的な住宅の需給ギャップ、先行き不透明な世界経済など、住宅を取り巻く環境は大きく変化しようとしています。しかし、積水ハウスグループは、常に時代に先駆け社会課題を解決する先進的な技術開発や生活提案などを行い、お客様に付加価値の高い住宅を供給してまいりました。昨年、積水ハウスグループは、創立60周年を迎え、企業理念である根本哲学「人間愛」を起点とした「『わが家』を世界一 幸せな場所にする」というグローバルビジョンを掲げた30年ビジョンを発表しました。

 創業から30年間に当たる第1フェーズはシェルター機能を備えた安全・安心な住宅の供給、第2フェーズとなる次の30年は快適性や環境に配慮した住宅の追求と普及です。そして第3フェーズと位置づけた2020年からの30年では、人生100年時代の幸せを具現化し、住宅からさまざまな価値を供給していきたいと考えています。積水ハウスグループはこの実現に向け、創業以来培われてきた組織風土を、これからも未来に向かって脈々と受け継ぎ、「住」を基軸に、融合したハード・ソフト・サービスを提供するグローバル企業へ着実に歩を進めていきたいと思います。

 このグローバルビジョンの実現に向けて、積水ハウスはESG経営のリーディングカンパニーを目指すべく、ESG経営推進本部を立ち上げました。そして2021年、当社のESG経営におけるマテリアリティ(重要課題)として新たに、「『住』の可能性を追求する」「地域社会と共生する」「多様なチカラを結集する」「脱炭素社会を先導する」「インテグリティを体現する」の5つを定めました。企業理念やDNA、大切にしている価値観、また、これからの世界における事業環境を踏まえ、あらためて最優先で取り組むべき重要課題として位置づけました。「ESG経営のリーディングカンパニー」としてこれらの課題に対して、積水ハウスグループが持つさまざまな資本や資産、知恵、人の力を結集して取り組んでまいります。

第5次中期経営計画を着実に進め、未来への布石に

 現在進めている第5次中期経営計画は、この5つのマテリアリティに取り組み、新たな事業基盤を構築することで、コアビジネスのさらなる深化を進めると同時に、新規事業への挑戦を行っていくための布石となる3年間だと考えています。請負型をはじめとするコアビジネスでは、ハードとソフトをさらに融合させ、環境対応や新しい室内環境システムをはじめ、お客様のライフスタイルに合わせて「ファミリー スイート」や「みんなの暮らし 7stories」のコンセプトといった付加価値の高い提案を一層進めます。同時に、将来に向けては、「プラットフォームハウス構想」の研究・開発や、ブロックチェーン技術を用いた賃貸入居者様の手続きをワンストップ化したサービスの展開などに取り組むとともに、新規市場へのビジネス機会の創出を図ります。一方、国際ビジネスでは戸建住宅で1万戸の供給を目指し、さまざまなマーケティングや販売手法をはじめ、国内で培った先進技術を取り入れるなど、チャレンジし続けます。積水ハウステクノロジーのグローバル化は着実に進んでいます。

ハード×ソフト×サービスによって、
社会へ新しい価値を提供

 「プラットフォームハウス構想」について、少し詳しくお話しします。
 住宅業界のこれからの30年に向けて、耐震性などの確保だけではなく、従来とは異なる新たな価値をどう提供していくか。まず、「人生100年時代」を迎えるにあたり、当社は幸せを「健康」「つながり」「学び」の3つに因数分解し、それぞれを結びつけお客様にいかに付加価値の高い住宅を提供できるのかを研究・開発してまいります。これからますます健康への関心が高まり、自宅でのヘルスケアが必須になるでしょうし、ITを活用した多様な「つながり」が求められる時代になることは間違いありません。コロナ禍では、特に「つながり」の重要性が再認識されました。「家」(ハード)が健康・スキル・知識といった無形資産(ソフト)や今までになかったサービスを生み出す場となり、お客様の「幸せ」をアシストすることを目指しています。

 企業のあるべき姿は、社会へ価値を提供し、そして事業を継続させていくことで、将来にわたり社会とつながりを持ち続け、さらなる価値を提供し続けることではないでしょうか。プラットフォームハウス構想は、非常にハードルの高い取り組みですが、日本の住宅業界のトップ企業としての使命感を持って進めたいと思います。第一弾として、多くのアライアンスパートナーと住宅内で急性疾患を早期に発見する技術開発を進めています。同時に、産学共同で先進技術開発を行うオープンイノベーションを推進しています。2020年12月からは、首都圏で戸建住宅を新築するお客様の中からこのパイロットプロジェクトへの参加を募り、賛同いただいたお客様の住宅に、「在宅時急性疾患早期対応ネットワーク HED-Net(in Home Early Detection Network)」の導入を開始しています。これは、お客様の実生活の中で非接触型の生体センサーを稼働させてデータの取得状況・判定プログラムの精度・システム稼働状況などを検証していくものです。今後さらに急性疾患早期対応の商品化・サービス化へ向け、センサーやアルゴリズムの精度と対応力を高めていきます。常に先進的な技術(ハード)を活かし、新たな価値を社会や人々に提供することは、積水ハウスのDNA。今回の取り組みも、まさにDNAの具現化です。

 また、2020年9月には、関東 住まいの夢工場にライフスタイル型モデルハウス7棟をオープンしました。ここでは「みんなの暮らし 7stories」として、それぞれ違った家族構成、年齢、職業、趣味、価値観、ライフスタイルまでを具体的に設定し、実際に人が住んでいるかのような感覚でご覧いただける、リアリティのある暮らしを体験いただけます。当社の住生活研究所が研究を続けている「幸せ住まい」を、当社の技術力、商品力に加え提案をワンストップでできる独自の新たな取り組みです。従来のLDK発想から脱した大空間リビングである「ファミリー スイート」も同研究所によるソフトをハードに融合した仕様で、多くのお客様に採用いただいています。

 環境の取り組みについても業界を常に先導しています。積水ハウスグループは1999年に「環境未来計画」を宣言し、今では世界で最も多くのネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)を販売している企業です。今後はさらに、マンションのZEH化と、賃貸住宅「シャーメゾン」での環境対応を積極的に進めます。賃貸住宅でZEHを普及させれば、そこにお住まいの多くのお客様に環境貢献の意義を実感いただけるからです。集合住宅での取り組みは、環境課題の解決のために非常に重要ですので、これからも果敢に挑戦したいと思います。

風土改革としての「イノベーション&コミュニケーション」

 世界的な感染拡大が続いているコロナ禍の中においても、従業員は誰一人立ち止まることなく、「お客様にどういう価値を提供していくべきなのか、そのために何が必要なのか」を自ら考え行動しました。例えば、請負型ビジネスやストック型ビジネスでは「おうちで住まいづくり」など、在宅でもオンラインでご相談いただける仕組みを構築。従業員が出演者となって3日間でCMを作成して放映するなど、営業部門と本社スタッフ部門が一丸となって受注回復に大いに貢献してくれました。技術部門もウイルスや花粉などに配慮した次世代室内環境システム「SMART-ECS(スマート イクス)」の実用化を急ピッチで進め、窓開け換気だけに頼らずに、温度変化を抑えながら換気、空気を短時間で清浄し、健やかできれいな空気環境を実現できる、新しい生活様式にいち早く対応しました。従業員には、「イノベーション&コミュニケーション」を合言葉に、従業員間でアイデアを出し、活発にコミュニケーションをしてほしい。その中から新たなイノベーションが生まれるという話をしています。今回のコロナ禍でのスピード感ある従業員の行動には、底力を感じるとともに、風土改革の手応えを感じました。また、半年に1回の事業所社長表彰をESGの観点からの評価を組み込んだ制度として実施しています。ESGを経営トップから落とし込むのではなく、従業員自身がESGを意識せずとも行動できること自体がESGだと私は考えます。会社の中にESGがあるのではなくESGの中に会社がある姿を目指したいと思います。

さらに強く、健全な成長を支えるガバナンスへ

 積水ハウスグループは、2018年をガバナンス改革元年と位置づけ、矢継ぎ早に改革を進めてまいりました。代表取締役70歳定年制の導入、取締役会における独立社外取締役比率の向上、取締役任期の見直しなど、3年間で21項目の改革に取り組んでまいりました。中長期的に事業経営を推進するという考え方のもと、役員報酬についても抜本的な見直しを行いました。役員報酬は1対1対1の割合で基本報酬・短期・中・長期とし、短期と中・長期部分を業績連動型報酬としました。中期の達成評価指標の中には、日本ではまだ少数と言われているESGのKPIを20%組み込んでいます。3年ごとに中期経営計画を発表しますので、その期間内でステークホルダーとの約束を果たしていきたいと考えています。そして、2021年4月の株主総会では、当社のグローバルビジョンの実現に向けて構築したスキルマトリックスに基づく取締役会の構成を承認いただきました。新しい取締役会は、社外取締役比率が40%となり、経営の透明性・実効性を一層高めます。ダイバーシティの観点では、取締役10名のうち3名に女性取締役を登用し、監査役まで含めた女性比率は30%を超える水準となりました。さらに、公平性、透明性を高めるために、2020年に人事・報酬諮問委員会の委員長を社外取締役とし委員会の体制を見直しました。2021年の株主総会後には、取締役会議長についても社外取締役とすることを決定しました。

 公平で公正な企業経営を行うガバナンス改革に終わりはありません。これからも時代に応じた改革を積極的に進めてまいります。

取締役会の機能、構成の目指すべき姿

 積水ハウスは、取締役会の独立性向上による監督機能の強化と、経営会議・執行役員制度改革による権限委譲の促進を図り、経営監督機能と業務執行機能の緩やかな分離を進めます。社外取締役を含む多様な知識・経験・能力で構成するスキルマトリックスを具備した取締役会が、経営方針や経営戦略・経営計画の策定に加え、中長期の重要な業務執行を担うことを維持するとともに、短期およびセグメントごとの業務執行機能を経営会議などに委譲します。そして、執行役員制度は、取締役を兼務する「委任型執行役員(社長・副会長・副社長・専務)」、取締役候補の「委任型執行役員(常務)」に加え、執行の責任を担う「雇用型執行役員」およびその候補となる「業務役員」の4階層にする大改革を行いました。この改革の大きな目的は、経営人材の強化とリーダーパイプラインの構築です。「請負型ビジネス部門」「戦略部門」など、6つの部門と、4つの階層を掛け合わせ、計24のマトリックスで経営人材の育成や確保を組織的に行い、持続的なリーダーパイプラインを構築します。さらに、雇用型執行役員と業務役員は従業員の地位を維持したままでの登用ですので、若手人材の抜擢を可能にするとともに、部門間の計画的な人事ローテーションにもつながります。

 最後に、私の使命は、より多くの皆様に人生100年時代の幸せをお届けする企業グループとして、力強く持続的成長を成し遂げていくことであると考えています。

 引き続きご支援を心よりお願い申し上げます。