バリューチェーンを通じた顧客満足の追求 お取引先との相互コミュニケーション

積水ハウスグループでは、取引先との連携を強化し、相互のレベルアップによる全体最適化を図るため、2019年度も継続して「方針説明会」開催、「
BCP(事業継続計画)

BCP(事業継続計画)

Business Continuity Planの略。企業が自然災害などの予期しない緊急事態に遭遇した場合に、重要業務に対する被害を最小限にとどめ、最低限の事業活動の継続・早期復旧を行うために事前に策定する行動計画のこと。

」推進、「方針連携強化活動」などの取り組みを実施しました。 また、2017年に見直した新たな
CSR

CSR

Corporate Social Responsibility の略称。企業が事業活動において利益を追求するだけでなく、あらゆるステークホルダーとの関係性を重視しながら果たす社会的責任。

推進体制の下で設置された「CSRサプライヤー分科会」を継続実施し、グローバルコンパクト版CSR 調達SAQに準拠した「
CSR調達

CSR調達

コンプライアンス(法令遵守)や公正性、さらに人権や労働問題への取り組みなど、調達先のCSR活動も考慮に入れた調達のこと。

ガイドライン」の運用を行っています。

「方針説明会」の開催

 積水ハウスでは、地域分社制を設けず、管理の一貫性やスケールメリットなどに配慮し、原則として本社で一括購買を実施しているため、資材の調達においては本社が「重要事業拠点」に該当し、下記の通りマネジメント、コミュニケーションを行っています。
 なお、全国の各支店における施工労働力の調達は、地元の積和建設および協力工事店から行い、地域経済に貢献しています。

 取引先各社の会社方針と積水ハウスの調達方針との整合性を図り、相互理解を深めるために、主要な取引先約150社に参加いただき、年1回の「方針説明会」を開催しています。積水ハウスグループの経営概況、中期経営計画、調達方針を説明の上、最新の改善活動の事例を紹介し、取引先の活動の指針となる情報を発信しています。また、品質・価格・供給・CSR等についての評価基準に基づき「取引先評価」を実施し、その中からベストパートナーを選出し、優秀会社賞として表彰しています。
 併せて「改善事例発表会」を開催。各社の企業体質改善活動などの好事例を発表いただき、取引先が相互に刺激し合い、気付きを得る場として生かしています。

BCP(事業継続計画)の推進

 東日本大震災以降も、内外の異常気象に伴う自然災害による生産リスクの顕在化など、事業継続を困難にするさまざまな事象が発生しています。継続して「災害初動体制訓練」の重要性を啓発し続けています。訓練を通じて、取引先各社のBCM(事業継続マネジメント)の現状を確認し、迅速な情報収集および対策の早期立案ができるよう促しています。
 2019年も2018年に続いて自然災害が頻発しました。取引先各社へ自然災害発生に対する対策や発生後の対応などについてのセルフチェック調査をかけた(6月末)直後に台風被害が発生し、実際の災害に対する実践に直面することになりましたが、各社とも毎年の訓練の成果を遺憾なく発揮して対策を実施し、迅速に被災状況の把握ができました。また、早期に供給再開への対策立案も実行できました。

「方針連携強化活動」「関係強化活動」の推進

 取引先と積水ハウスの方針を共有し、活動のベクトルを合わせるとともに、社内関連部署の連携を円滑化することにより、大きな改革・改善を推進する活動「方針連携強化活動」を展開しています。2014年度からは、対象取引先を拡大し、「関係強化活動」を追加実施しています。

図:「方針連携強化活動」「関係強化活動」の推進

お取引先の企業体質改善をサポート

 企業にとって競争力の源泉は優良な原材料や設備に由来します。積水ハウスにおいては、これらを供給いただく取引先と共に成長することを重視してマネジメントを行っています。
 安定した企業体質と品質管理があって初めて高いレベルでの調達方針の実践が成り立つと考え、主要取引先には工場訪問や品質管理体制の確認などを継続的に実施しています。

「取引先評価」の実施

 公平・公正な取引を行うため、1998年から「取引先評価」を実施しています。2009年からは、取引先の体質改善に役立つように評価結果を開示しています。評価は資材部と開発・生産部門が連携して実施し、定期的に評価項目や基準を見直しています。単なる評価にとどまらず、取引先におけるPDCAをより実践的なものとし、具体的な改善行動につなげていくことを第一の目的としています。優れた成果を上げた取引先に対しては、前述の「方針説明会」にて表彰を行っています。
 今後もより透明性の高い「取引先評価」の実施とともに、取引先の体質強化支援と公平・公正な取引を維持継続していきます。
 取引先評価に際しては、結果のみで一律に選別するのではなく、指導によって改善を促すプロセスマネジメントを重視しています。

■ 取引先評価表

図:取引先評価表

評価項目に基づき、A~Eの5段階で総合評価。

バランスチャートを用いて強みと課題を可視化

「方針」を推進するための考え方

 上記の「方針説明会」「方針連携強化活動・関係強化活動」「取引先評価」「日常活動」の各項目の役割を明確にした上で、PDCAのサイクルを強化し、「方針管理」の考え方に基づいて推進しています。

図:「方針」を推進するための考え方

「CSR調達基準」に基づく、「CSR調達ガイドライン」の改定と「CSR評価」の実施

 2018年は、2015年に制定した社内に向けた「CSR調達基準」を世界の時勢に即して改訂し、併せて「CSR調達ガイドライン」を制定して取引先にもその遵守を要請するなど、取引先に対しても社会的な責任に対する認識を高めて持続可能な発展を促しました。

 2019年は改訂した「CSR調達基準」に沿った「CSR評価」を実施しました。「取引先評価」の評価項目の一つである「CSR評価」は、各社に9つの大項目に属する全47の中項目に対する取り組みを5つ(①法律の認識 ②方針 ③体制・責任 ④取組み結果の確認 ⑤是正)の観点で事前に自社評価してもらい、結果を点数化・評価しています。なお、2019年度の「取引先評価」を行った主要サプライヤー151社の取引額は、購買額全体の76%です。また、評価結果から判明した注視すべき取引先(3社)に対しては、訪問でのモニタリングを実施し、その実態を確認しています。

■ CSR調達基準

CSRにかかわる
コーポレートガバナンス
法規範の遵守、CSR推進体制の構築、内部統制の構築、事業継続計画(BCP)体制の構築、内部通報制度の構築、CSRにかかわる社内外への情報発信
人権 人権に対する基本姿勢、人権の尊重と差別の禁止、人権侵害の加担・助長の回避、先住民の生活および地域社会の尊重
労働 労働に対する基本姿勢、雇用における差別の禁止、人材育成等に関する従業員への平等な機会提供、非人道的な扱いの禁止、適正な賃金の支払い、労働時間の公正な適用、強制労働の禁止、児童労働の禁止、操業する国や地域の宗教的な伝統や慣習の尊重、結社の自由と団体交渉の権利の認識と尊重、従業員の安全衛生、健康についての適切な管理
環境 環境に対する基本姿勢、化学物質の管理、排水・汚泥・排気の管理および発生の削減、資源(エネルギー・水・原材料等)の持続可能で効率的な利用、GHG(
温室効果ガス

温室効果ガス

二酸化炭素、メタンなど、自然の生態系や人間社会に大きな影響を及ぼし、地球温暖化をもたらしているガス。

)の排出削減、廃棄物の特定・管理・削減、
生物多様性

生物多様性

地球上のさまざまな生き物たちの豊かな個性とつながりのこと。食料をはじめ、私たちの日常の暮らしは、この生物多様性に支えられて成り立っている。

に関する取り組み
公正な企業活動 公正な企業活動に対する基本姿勢、政治・行政との適切な関係の維持、顧客・取引先等との適切な関係の維持、競争法違反の防止、反社会的勢力・団体との関係排除、知的財産の保護、社外からの苦情や相談窓口、インサイダー取引の禁止、利益相反行為の禁止、輸出入取引管理
品質・安全性 品質・安全性に対する基本姿勢、品質・安全性の確保、事故や不良品流通の発生時の適切な対応
情報セキュリティ 情報セキュリティに対する基本姿勢、コンピュータ・ネットワークへの脅威に対する防御、個人情報および機密情報の管理・保護
サプライチェーン サプライチェーンに対する基本姿勢、紛争や犯罪へ関与の無い原材料の購入・使用
地域社会との共生 地域社会への負の影響を減らす取り組み、持続可能な発展に向けた地域社会との取り組み

新たな「CSR調達ガイドライン」の拡大

 
SDGs

SDGs

2015年9月の国連総会で採択された「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」の略。2030年までに、環境破壊、人権配慮や貧困解消など世界で解決すべき目標を示したもので、17の目標と169のターゲットで構成されている。持続可能な社会の実現に向けて、国や自治体だけでなく、企業の役割と関与の重要性を初めて明確に示した点が特徴。

が世界的に広く浸透していく中で、2018年度は、国連グローバル・コンパクトへの加入を行い、従来のCSR評価の考え方をさらに充実し、
グローバル・コンパクト

国連グローバル・コンパクト

1999年の世界経済フォーラムにおいて、当時国連事務総長であったコフィー・アナンが企業に対して提唱したイニシアチブ。各企業が責任ある創造的なリーダーシップを発揮することによって、社会の良き一員として行動し、持続可能な成長を実現するための世界的な枠組みづくりに参加する自発的な取り組みを進めている。

の考え方に準拠した「CSR調達ガイドライン」を制定して、その稼働を開始しました。

図:新たな「CSR調達ガイドライン」の拡大