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水セキュリティ
ガバナンス
推進体制
積水ハウスグループでは、ESG推進委員会のもと、気候変動への対応に加え、自然資本や生物多様性保全の観点からも水の問題に取り組んでいます。さらに、工場においてはISO14001(環境マネジメントシステム)をもとに管理体制を整え、その運用を通じて水に関する取り組みを進めています。
戦略
当社グループでは、住宅や建築、リフォームなど事業活動に伴う水の使用量が少ないビジネス展開を行っています。しかしながら、気候変動がもたらす人間社会や生態系への影響が年々増大する中、世界的に水資源についての注目が非常に高まっています。特に長期的な視点では、水不足が世界的な水リスクとして認識され、水ストレスを指標とする水資源の保全が課題とされています。水のサステナビリティを確保することは、自社ビジネスにおける水リスクを回避するだけでなく、関連するサプライチェーンへの影響も多大なものと捉え、当社グループでは効率的な水の使用、水質汚濁防止等に取り組んでいきます。そのため、水リスク評価を実施し、水使用量に対する削減目標の設定を行い、水資源の有効活用や排水質の管理対策等を実施しています。
リスク管理
国内工場における取り組み
当社の国内工場(東北工場、関東工場、静岡工場、兵庫工場、山口工場の全5工場)では、鉄骨部材の塗装や住宅用外壁の製造・塗装工程などで、上水、工業用水のほか、地下水を使用しており、全5工場において水の管理計画を策定しています。これらの工程における排水の水質管理と水資源の効率的な利用に、継続的に取り組んでいます。具体的には、月1回以上の排水質分析や、処理水を洗浄用水への再利用などを行うことで、水使用量の削減に努めています。国内工場(全5工場)からの排水については、場内の排水処理設備で浄化後、水質汚濁防止法や工場所在地の条例よりも厳しい自主基準値を毎年の目標として設定し、管理したうえで、公共下水道や河川に放流しています。2025年度においても、自主基準値を下回る実績を残しており、水質汚濁防止に努め、工場周辺地域の水質環境を保全しています。また、5工場間において排水の水質測定実績を共有し、万が一自主基準値を超えた事例が生じた場合、責任者会議で水質汚濁リスクの発生状況を共有することで、再発の防止につなげています。
生産拠点における水ストレスレベルの評価
当社では、WRI(世界資源研究所)が開発した「WRI Aqueductツール」を活用し、生産拠点における水ストレスレベルを評価しています。2024年度は、水資源の有効活用と使用量削減に対する社内の意識を高め、取り組みを加速させるために、本評価の閾値を「高い(high)」から「中程度~高い(medium-high)」に変更し、再評価した結果、関東工場および静岡工場が「中程度~高い(medium-high)」、東北工場、兵庫工場、および山口工場が「低い~中程度(low-medium)」のレベルに位置していることを確認しています*1。
*1 イングルバーン工場(オーストラリア)は、水ストレスレベルが“高い(high)”に該当していますが、水を使用した生産工程はないため、対象外としています。
指標及び目標
生産拠点における水ストレスレベルの評価*2
| 東北工場 | 関東工場 | 静岡工場 | 兵庫工場 | 山口工場 | |
|---|---|---|---|---|---|
|
水ストレス地域に属する 自社拠点(生産拠点) |
○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
|
当社生産拠点における 水ストレスレベル |
Low - Medium | Medium - High | Medium - High | Low - Medium | Low - Medium |
*2 WRI(世界資源研究所)が開発したWRI Aqueductツールによる評価
水ストレス(Medium - High)地域の概要
| 集計範囲 | 単位 | 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 | ||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 水ストレス地域の資産・生産・収益の数、比率 |
最大生産能力 |
静岡工場 | 棟/月 | 800 | 800 | 800 |
| % | 29 | 29 | 29 | |||
| 関東工場 | 棟/月 | 870 | 870 | 870 | ||
| % | 31 | 31 | 31 | |||
| 水ストレス地域の取水量・水の消費量*3 | 取水量 | 静岡工場 | 1,000㎥ | 58.7 | 69.6 | 66.9 |
| 関東工場 | 463.4 | 411.4 | 413.3 | |||
| 水の消費量 | 静岡工場 | 1,000㎥ | 6.4 | 12.7 | 12.3 | |
| 関東工場 | 254.9 | 195.6 | 215.4 | |||
*3 水の消費量=取水量-排水量
水ストレス地域での水の消費/取水の削減に向けた目標
当社の生産拠点のうち、水ストレスレベルが比較的高いと評価された拠点から優先的に、水の消費/取水の削減に向けた目標を設定する取り組みを進めています。
静岡工場では、従来の上水を使用していた工程において、工業用水の積極的利用を図っています。さらに2030年までに、工場内の排水処理場における工業用水の使用量について、2021年度比で80%削減を目標に掲げています。削減に伴い、放流水の一部を再利用した場内循環水ならびに雨水の利用拡大も推進していきます。
関東工場においても、水の保全に積極的に取り組む姿勢を示し、目標設定に取り組んでいます。
| 集計範囲 | 単位 | 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 | 目標 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
|
水ストレス地域の排水処理場における工業用水取水量削減率*4 |
静岡工場 | % | 93.5*5 | 22.5*6 | 38.3 |
80 (2030年度) |
*4 2021年度を基準年とした工業用水取水量に対する削減率
*5 再利用した水の一部に不備があったため、次年度の削減率は減少しています。
*6 2024年度より、削減率の算定方法の見直しを行いました。
原材料としての水の使用量の削減に向けた目標と進捗状況
当社グループでは、原材料としての水の利用はありません。
水関連リスクを緩和するための研究開発への投資
グループ会社の鴻池組では、さまざまな汚染物資に対して土壌浄化を行った実績と高度な技術を積み重ね、土壌だけでなく水質汚染対策や災害廃棄物処理にも数多く取り組んでいます。
| 集計範囲 | 単位 | 2024年度 | 2025年度 | |
|---|---|---|---|---|
| 水質浄化技術の開発 | (株)鴻池組 | 百万円 | 7 | 2 |
| 難分解性物質処理技術の開発 | 44 | 54 | ||
| 保有環境技術の高度化(固化・不溶化・バイオ処理など) | 10 | 3 |
その他の指標に関しては、ESG Data Book 2026をご覧ください。
その他の取り組み
各種ステークホルダーとの協働
<お客様との協働>
積水ハウスグループが建設する新築住宅においては、2020年より以前から住宅設備機器メーカーが供給する節水性能の高い最新機器(蛇口、シャワー、水洗トイレなど)を標準品として大多数の住宅に実装することで、住宅における水使用量の削減に貢献しています。さらに既存住宅に対しても、リフォーム事業を通じ、節水型機器への更新や普及を図っています。
<水ストレス地域に位置する生産拠点での協働>
静岡工場では、大井川水系の上水を利用しており、東遠工業用水道企業団からの要請を踏まえ、工業用水を積極使用することで上水使用量の削減につなげています。
<公的機関との協働>
当社グループの鴻池組では、脱炭素社会への貢献を目的とする再生可能エネルギー事業に取り組むとともに、地域に根差した小規模分散型エネルギー開発を自治体と協働しています。現在、兵庫県では神戸市東灘区や香美町で小水力発電事業に取り組んでいます。また、島根県では隠岐の島町と再生可能エネルギーに関する包括協定を締結して再生可能エネルギー事業を進めています。2024年に開設した小水力発電の南谷発電所、バイオマス発電の下西発電所に加えて、2025年に小水力発電の油井発電所を開設して発電事業に取り組んでいます。当該事業を通じて地域活性化に貢献していきます。
<当社の生産拠点における水資源利用と自然環境・生物多様性との関係性調査>
当社の直接操業を行う国内5工場において、取水源(河川水・地下水)や排水先(河川)の自然環境の特徴および生物多様性の状況を詳細に調査・把握しました。これにより、各工場の水資源の利用が周辺の自然環境にどの程度依存し、また影響を与えているかを評価しました。この評価結果に基づき、各工場で優先的に取り組むべき水資源の保全施策を検討する予定としています。今後、当社では取水・排水に関わる流域を意識した水資源の保全をさらに強化し、地域環境との共生を推進していきます。
<同地域で活動する他社との協働>
当社工場の製品のみならず、協力メーカーの商品を工場から施工現場へ出荷・輸送する際には、当社の輸送用ケースを利用しています。使用後は施工現場から工場へ回収され、洗浄後、繰り返し使用しています。この洗浄水は、洗浄装置内で使用した排水を循環利用することで、水使用量の削減を図っています。また、一部の工場内にある社員食堂は、外部の給食会社に運営を委託し、節水活動の一つとして、使用するお米は積極的に無洗米*7を採用しています。
*7 とぎ洗いせずに水を加えるだけで炊飯できる米
<投資家との協働>
当社が保有するビル等の不動産ポートフォリオ関連では、積水ハウス・アセットマネジメントに運用を委託し、水の使用量のモニタリングや目標を設定するなど、適切な管理を行っています。
国際事業における取り組み
オーストラリア・ブリスベンにおける複合開発プロジェクトWest Villageでは、環境配慮と社会的持続可能性への取り組みが、外部から高く評価されています。2017年に、GBCA*8(オーストラリアグリーンビルディング協会)のレーティングで最高位の6-Starに認定されたことに続き、2023年にはUDIA*9(オーストラリア都市開発協会)から、模範的なプロジェクトとして「Marketing Excellence Award」に選出されました。
同プロジェクトはマンション8棟のほか、緑に覆われた4つの小径や2つの公園を含む1ha近い緑地・オープンスペースから構成され、敷地内のモリソン公園では、自然保全活動と歴史的建造物保全への取り組みを行っているほか、隣接する2棟のマンションからの生活排水を敷地内で浄水処理した250kLの再利用水タンクと50kLの雨水タンクを活用して、公園内の散水に利用するなど、環境配慮への取り組みを推進しています。
*8 GBCA(Green Building Council of Australia):豪州最大の全州を網羅した自由参加型かつ総合判断による評価システムであるGreen Starを通じて、建物、設備、コミュニティの持続可能性を評価
*9 UDIA(Urban Development Institute of Australia):豪州最大の不動産業界団体
