[ English ]
気候関連開示(「TCFD提言」に沿った情報開示及び各国法令に基づく情報開示への対応)
ガバナンス
積水ハウスグループでは、ESG経営に関わるあらゆる取り組みが社会の常識や期待と合致しているかをチェックしながら、その活動方針を定め推進する「ESG推進委員会」を取締役会諮問機関として設置し、3ヵ月に1回開催しています。気候変動対応は本委員会の重要議題の一つとして位置づけており、活動方針の妥当性や進捗状況の評価を行うとともに、重要事案については取締役会に報告しています。
ESG推進委員会の傘下に、環境経営に関わる本社部門の職責部長及び各事業部門の環境責任者を中心とした全社横断の「環境事業部会」を設置し、3ヵ月に1回開催しており、環境関連の情報共有ならびに活動方針等の決議事項の検討など、組織全体のベクトルの一致に向けて活動しています。また、ESG推進委員会の決定事項は環境事業部会を通じて、関連会社を含む全グループに展開し浸透させています。
ESG推進委員会を通じた経営層の監視の実効性確保のために、取り組みの推進は、各業務の担当取締役や経営層との日常的な報告と指示を経て進めており、これによってタイムリーな監視・監督機能を確保しています。
戦略
当社グループは目指すべき事業全般の脱炭素化への歩みを着実に進めるために、今後起こり得るさまざまな事態を想定し、戦略の妥当性や課題を把握すべく、事業活動及び資源の固有の状況や、物理的リスクについて想定される事業活動・期間・資産の耐用年数などを考慮したシナリオ分析を行っています。また、移行リスクについて法制化、技術開発、市況に係る潜在的なシナリオに基づき評価し、事業活動に与える気候関連のリスク(物理的リスク及び移行リスク)と機会を抽出し、対応しています。
すでに、ほとんどの事業に対してリスク評価と適応計画の策定を終えていますが、ここ数年でM&Aを含む新領域への事業拡大も進めたため、2028年頃をめどに物理的リスクへの適応のための固有状況に応じた移行計画を既存事業のすべてに対して対応する計画を有しています。また、今後の新規事業のすべてに対しても早期にリスク評価・対応を行う体制を整え、必要な情報を開示していく考えです。
なお、参照しているシナリオは表1に示す1.5℃シナリオですが、仮に1.5℃を目指し規制が強化されたとしても、各国の足並みが揃わず、結果として気候変動の大きい4℃シナリオで想定される世界となる可能性も否定できないため、両方のシナリオに同時に備える必要があると考えています。
2025年2月には、ネットゼロ達成に向けた日本の新たな温室効果ガス削減目標として、「2035年度および2040年度において温室効果ガスを2013年度からそれぞれ60%、73%削減」が設定され、これに基づき住宅産業関連で「2050年にストック平均でのZEH(Net Zero Energy House)・ZEB(Net Zero Energy Building)基準の水準の省エネルギー性能の確保を目指し、これに至る2030年度以降に新築される住宅・建築物はZEH・ZEB基準の水準の省エネルギー性能の確保を目指す」「家庭部門の非化石転換やディマンド・レスポンス(DR)も併せて進めていく観点から、家庭部門のエネルギー消費の約3割を占める給湯器の省エネルギーや非化石転換の加速、DRに必要な機能の具備の促進、開示を通じたエネルギー供給事業者の取組強化などの制度面での対応を進める」などの方向性も示されました。そのため、全事業を対象としてあらためて大規模なシナリオ分析を実施し、戦略の見直しを行いました。さらに、2025年度は各国法令に基づく気候関連情報の開示義務化への準備を進めました。オーストラリアにおいては「オーストラリアサステナビリティ報告基準(ASRS)」に準拠した報告書の提出に向けた準備、アメリカのカリフォルニア州においては「カリフォルニア州気候変動開示法(「気候関連企業データ説明責任法(SB253)」と「温室効果ガス:気候関連財務リスク(SB261)」)」の動向の把握と適切な準備を進めました。これらの取組みにより特定した、主要なリスク・機会の潜在的な財務への影響度と対応を次ページにて示します。
なお、財務影響と想定期間については以下の通り定義します。
【財務影響】大:300億円以上、中:100億円以上、小:100億円未満
【想定期間】短期:2025年から3年間、中期:2030年まで、長期:2050年まで
表1 参照したシナリオ
| 項目 | 前提 |
|---|---|
| 参照したシナリオ |
なお、IPCC SSP 1-1.9やIEA SDS、IEA NZE 2050で示される、2030年までに地球全体のCO2排出量が約半減し2050年頃にはゼロとするシナリオの実現には、高額な炭素税の導入や脱炭素に向けた市場の移行といった政策導入などが必要と想定し、移行リスクの前提条件として活用しています。 |
| 対応 | 米国等の海外子会社を含む積水ハウスグループ*6の既存全事業(バリューチェーンの上流・下流の全体を含む)。 |
| 定量/定性 | 米国等の海外子会社を含む積水ハウスグループの既存全事業を対象に、主に定性的に分析。特に重要と考える機会とリスクについて財務影響金額を定量的に試算。 |
※ 日本国内の人口減少や高齢化など気候変動以外の要因も市場に影響を与えるが、本分析では、気候変動に焦点を当てるためそれらの影響は考慮しない。
*1 IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change):気候変動に関する政府間パネル
*2 IEA(International Energy Agency):国際エネルギー機関
*3 NGFS(Network for Greening the Financial System):気候変動リスクに係る金融当局ネットワーク
*4 NatHERS(Nationwide House Energy Rating Scheme):全豪住宅省エネ性評価システム
*5 BASIX(Building Sustainability Index standards):ニューサウスウェールズ州政府が定める建築持続可能性指数
*6 積水ハウス(株)および国内外の主要な連結子会社(2025年度は42社)
表2 主なリスクと財務への潜在的な影響、および対応
| 【移行リスク】カーボンプライシングの導入 | |||
|---|---|---|---|
| 影響 | カーボンプライシングは世界で広く採用されており、2026年4月から日本においても政府による排出量取引(GX-ETS)が開始する。カーボンプライシングが導入された場合、直接及び間接的な事業コストの増加や競争力低下の可能性がある。 | 財務影響 | 想定時期 |
| 大 | 短期 | ||
| 対応 | グループ全体やサプライヤー企業の事業活動における脱炭素に向けた取り組みは中期では道半ばであり、仮に炭素税や排出量取引単価が1万円/t-CO2程度かかると、その影響は大きい。RE100の推進、事務所や生産設備などの省エネルギー化、サプライヤーに対するアンケート調査や勉強会の開催等を通じた建材製造段階のCO2排出削減など、既にバリューチェーン全体においてさまざまな取り組みを始めており、この影響をできるだけ早期に減らしていくことを検討している。 | ||
| 【移行リスク】 住宅の価格上昇・市場の縮小 | |||
|---|---|---|---|
| 影響 | 長期的には、ネットゼロに求められる規制強化に対応するための住宅価格の高騰、また省エネルギー性能や耐震性能に劣る住宅が減り、良質な住宅ストックの住み継ぎが増えることにより、新築市場自体が縮小する可能性がある。また、海外においても、特にファーストホームバイヤーを対象とした低価格帯の商品については、原価上昇の影響が甚大なものとなり得る。 | 財務影響 | 想定時期 |
| 大 | 長期 | ||
| 対応 | 短中期の規制強化に対する積水ハウスグループへの影響は小さい見込みだが、長期のさらなる規制強化に対しては、コストを抑えた脱炭素住宅の開発に計画的に取り組む必要がある。また、あわせて新築市場縮小に備え、ストック型ビジネスを強化することを検討している。 | ||
| 【移行リスク】市場の変化による賃貸事業収益の低下 | |||
|---|---|---|---|
| 影響 | 管理物件の内、脱炭素化性能が不十分な物件は競争力を失い、入居率・家賃の低下につながる。 | 財務影響 | 想定時期 |
| 大 | 長期 | ||
| 対応 | 管理物件のZEH住戸比率を高めるとともに、非ZEH住戸の脱炭素化リフォームを推進し、借り手に訴求力のある賃貸住宅の価値の維持・向上に努める。 | ||
| 【移行リスク】被災リスクの高い管理物件の賃貸事業収益の低下 | |||
|---|---|---|---|
| 影響 | 気候変動に伴う災害(河川の氾濫による浸水、土砂災害等)の増加により、被災するリスクが高い区域に立地する管理物件において、入居率・家賃の低下につながる。 | 財務影響 | 想定時期 |
| 大 | 長期 | ||
| 対応 | 行政のハザードマップを確認し建設予定地の危険について把握するなど、課題として認識し、継続して検討している。 | ||
| 【移行リスク】事業活動の脱炭素化に必要なコスト | |||
|---|---|---|---|
| 影響 | 事業活動の脱炭素化を進めるために、事業拠点のZEB化、社用車の電動化、生産設備の省エネルギー化など、さまざまなコストが発生する。 | 財務影響 | 想定時期 |
| 小 | 短期 | ||
| 対応 | 事業活動全般において、計画的に脱炭素化を推進しており、現時点で事業に影響を及ぼす大きなコストが発生するリスクは小さい。 | ||
| 【移行リスク】政府による規制強化に伴うコスト増 | |||
|---|---|---|---|
| 影響 | 豪州事業において、長期のプロジェクトの開発途中で気候変動に関する規制が強化される可能性があり、その結果、プロジェクトの遅延に伴う金利の支払いの増加など、収支計画に影響を及ぼす可能性がある。 | 財務影響 | 想定時期 |
| 小 | 中期 | ||
| 対応 | 中規模でより短期間のプロジェクトへのシフトや、既存のプロジェクトの合弁事業化により、リスクを適切に管理する。 | ||
当社保有資産およびバリューチェーンの気象災害による被害
当社グループでは、これまで経験したことがないような激甚化した豪雨または暴風の影響を、以下の通り想定し、リスク管理を行っています。
表2 主なリスクと財務への潜在的な影響、および対応
| 【物理的リスク】当社保有資産の気象災害による被害 | |||
|---|---|---|---|
| 影響 | 全国規模での気象災害により、積水ハウスグループで保有する資産(工場、オフィスビルなどの事業拠点、生産設備や車両など)が罹災し、事業が継続できなくなる、また、補修や交換のための大きなコストが発生する可能性がある。 | 財務影響 | 想定時期 |
| 大 | 中期 | ||
| 対応 |
当社グループは日本国内では沖縄県を除く全国で事業展開しており、本社機能を含む一部エリアで災害が発生した場合は、被害のないエリアがサポートすることで事業を継続できる体制を既に構築済みである。このような事業継続性に関するBCP対応は、リスク管理委員会により適切に管理され、必要に応じて更新している。なお、日本国内の5工場について河川氾濫ハザードマップまたは内水氾濫シミュレーションにより浸水深を想定して被害額を算定したところ、浸水被害を受ける可能性のあるのは兵庫工場を除く4工場であり、最も大きい被害が想定される関東工場についてIPCC RCP8.5シナリオに基づくさらに詳細な分析を行った結果、既に加入済みの保険の補償範囲内であることを確認済みである。ただし、今後、さらに自然災害の激甚化が増加し、大規模災害が全国で同時に発生した場合を想定すると、当社事業も甚大な被害が想定されることから、災害へのレジリエンス性強化の検討は継続する。 |
||
| 【物理的リスク】当社バリューチェーンの気象災害による被害 | |||
|---|---|---|---|
| 影響 | 気候変動に伴う災害の激甚化や水害・猛暑日・豪雪の増加により、サプライチェーンが被災し、建築資材が入手困難となる頻度が高まる。また、同様の理由で工事現場が影響を受け、工期が延びることにより、管理費が増大する可能性がある。当社グループの海外事業においても、特に米国のカリフォルニア州では山火事等による被害の影響が大きく、土地開発計画の遅れや開発予定地の価値下落などの可能性が起こりうる。また、渇水による水資源の不足によって生じる開発可能な区域の縮小、温暖化による病虫害に伴う木材の生育阻害等もコストアップのリスクと考えられる。 | 財務影響 | 想定時期 |
| 非算出 | 中期 | ||
| 対応 | すでに、サプライヤー企業の工場や輸送ルートの被災を想定したサプライチェーンの分散化や、工事現場における熱中症対策等は行っているが、国内外の自然災害の規模・頻度の増加を想定し、継続的な検討が必要。 | ||
その他のリスク
国内外において販売する土地の購入については、事前にハザードマップやWRI(世界資源研究所)が開発したWRI Aqueduct等の水リスク分析ツールの予測値に基づくリスクの検討を義務づけています。また、マンションなどのビル建築時においても、ハザードマップを参考に被害が最小限になるような計画を行っています。ただし、気候変動の影響は年々大きくなり、さらに自然災害の規模や頻度が増加する可能性があるため、当社グループとしては、今後も対応の検討を継続していきます。
表3 主な機会と財務への潜在的な影響、および対応
| 【主な機会】ZEH・ZEB受注の増加 | |||
|---|---|---|---|
| 影響 |
日本政府が家庭部門の温室効果ガス排出量を2030年までに2013年度比で66%削減することを目標に掲げるなど、ZEH・ZEBの普及は重要施策として位置づけられている。 また、消費者のエシカル志向や、事業者の脱炭素指向が進み、今後ますますZEH・ZEBの需要が高まると考えられる。さらに、海外でもZEH仕様の製品需要が高まることも想定される。 |
財務影響 | 想定時期 |
| 大 | 中期 | ||
| 対応 | 積水ハウスの戸建ZEH比率は90%を超えており、既に標準仕様であり、新たなZEH基準(GX ZEH)への対応も進めている。また、賃貸住宅や分譲マンション、非住宅建築でも積極的にZEH・ZEBの推進を図っており、グループ全体においてZEH・ZEB受注を拡大していく。海外においては太陽光発電パネルおよび蓄電池設置義務化が進んだ場合、早期にZEHの標準化に対応している当社は、調達面等で優位性をもつほか、将来にわたり高いリセールバリューを維持できるなどの顧客メリットを訴求できる。 | ||
| 【主な機会】賃貸管理物件のZEH化による賃貸事業収益の増加 | |||
|---|---|---|---|
| 影響 | 日本政府は2030年度以降に新築されるすべての建物でZEH水準の省エネルギー性能を求める考えであり、いずれは賃貸住宅のZEH化が一般化する中、消費者のエシカル志向の高まりとともに、ZEH賃貸住戸のニーズが飛躍的に高まる可能性がある。 | 財務影響 | 想定時期 |
| 大 | 中期 | ||
| 対応 | 当社は2018年に日本で初めて全住戸ZEH基準を満たす賃貸住宅を竣工して以来、入居者に訴求できるZEH住戸の普及に取組んでいる。着実に受注実績を伸ばし、将来のエシカル消費者を中心とした賃貸ZEHの需要拡大に備えている。 | ||
| 【主な機会】脱炭素化リフォーム受注の増加 | |||
|---|---|---|---|
| 影響 | 2030年度までの政府目標「家庭部門の温室効果ガス排出量2013年比66%削減」の達成にはストックの省エネ改修も不可欠であり、さまざまなリフォーム支援の政策も実施され、脱炭素化リフォームの受注が好調に推移している。 | 財務影響 | 想定時期 |
| 大 | 中期 | ||
| 対応 | カスタマー対応、リフォーム提案などにより、断熱改修や燃料電池、蓄電池の受注等を推進している。工期やコストのお客様負担が少ない居住エリア中心の部分的な断熱強化を行う「いどころ暖熱」や、災害レジリエンス性を高める点に訴求するなど、今後も現実的に普及可能なリフォーム提案を推進していくことを検討している。 | ||
| 【主な機会】 RE100推進コストの削減 | |||
|---|---|---|---|
| 影響 | RE100の達成は、脱炭素社会の実現に必要不可欠である。ただし、再生可能エネルギー電力の調達には通常大きなコストが必要となる。 | 財務影響 | 想定時期 |
| 小 | 中期 | ||
| 対応 | 「積水ハウスオーナーでんき」の取り組みにより、再生可能エネルギー電力を、コストをほとんどかけずに調達している。社用車のEV化など将来的に事業用エネルギーの電化が進む可能性を考えると、一般的な調達方法では電力コストが増加する可能性がある。「積水ハウスオーナーでんき」により削減されるコストは、他の用途に活かすことができるため機会と考えられる。 | ||
| 【主な機会】生産段階の脱炭素化 | |||
|---|---|---|---|
| 影響 | バリューチェーン全体の脱炭素化で、サプライヤーによる建設資材の製造段階における排出削減の取り組みは困難を伴う。 | 財務影響 | 想定時期 |
| 小 | 短期 | ||
| 対応 | 外壁、軸組など、建設資材に占める自社生産の割合が高いため、社外調達に依存する場合に比べて、計画的な技術開発や設備投資により、資材生産に係る温室効果ガス排出量を削減しやすく、結果的に炭素税の影響を抑えられる。削減されるコストは、他の用途に活かすことができるため機会と考えられる。 | ||
| 【主な機会】気象災害の多発、甚大化によるインフラ工事、廃棄物処理の増加 | |||
|---|---|---|---|
| 影響 |
短時間豪雨の発生頻度が増加すると見込まれるため、老朽化したインフラの更新やメンテナンスなど流水・治水に係るインフラ工事の需要が増加する。 加えて、想定を超える降水により被害を受けた廃棄物の適正処理の需要が増加する。 |
財務影響 | 想定時期 |
| 小 | 長期 | ||
| 対応 | 災害対策に係るインフラ整備の需要増に対し、予防保全型インフラ更新やメンテナンスなどによる長寿命化のノウハウを構築し、受注に備えた人員配置を行う。風水害で被害にあった建物・家財等の廃棄物について、高いリサイクル率の廃棄物処理など競争力と差別化を図るため技術開発や新技術導入への投資を行う。 | ||
積水ハウスグループの既存戦略の強靭性に関する確認結果
検討の結果、当社グループの戦略は、すでに事業活動全般において脱炭素化への対応や異常気象への対応を始めており、脱炭素社会への事業転換に対する移行リスクや気候変動による物理的リスクのいずれにおいても、致命的な影響は現時点において見受けられないものと判断しました。
リスク管理
当社グループでは、グループ全体のリスクマネジメントプロセスの一環として、気候変動関連リスクおよび機会を判断するための評価をTCFDの提言に基づき実施しています。リスクと機会の抽出は、グループ全体を対象に各事業の主管部署を中心に行い、その結果を環境事業部会で集約し、財務影響評価を行っています。このプロセスに基づき特定した主要なリスクと機会については、取締役会の諮問機関であるESG推進委員会において検討した後に、取締役会に報告し、必要に応じてリスクの緩和・移動・受容・コントロールについて検討します。また、「事業運営リスク」や「ハザードリスク」に関係する事項についてはリスク管理委員会にも共有し、グループ全体のリスク管理体制の中で検討・管理しています。
指標及び目標
積水ハウスグループでは、2008年に、2050年までに住まいからのCO2排出ゼロを目指す「2050年ビジョン」を宣言し、事業活動全体において、再生可能エネルギーの利用も含めてネットゼロを目指し、既にさまざまな取り組みを開始しています。
この目標達成へのマイルストーンとして、2030年までにスコープ1*7(直接排出量:自社の工場・オフィス・車両などによる燃料消費)とスコープ2*7(間接排出量:購入した電力など自社で消費したエネルギー)において75%削減(2013年度比)、およびスコープ3カテゴリ11*7(販売した製品の使用)において55%削減(2013年度比)することを目指し、SBTi*8の1.5℃に整合する目標として設定しています。なお、現在は2023年度実績を基準年として同等の削減目標を設定、さらに同時に2050年までにバリューチェーン全体のネットゼロ目標も設定の上、SBTiによる認証をそれぞれ取得しています。スコープ1、2については2022年度で2030年を目標としていた50%削減を既に達成したため、より野心的な目標に上方修正したものです。
また、RE100加盟企業として、事業活動で消費する電力を2030年までに50%、2040年までに100%再生可能エネルギーに転換する目標を掲げています。すでにこれらの目標達成のためにさまざまな取り組みを開始しており、2023年度に50%の再生可能エネルギー転換を達成しました。
*7 Greenhouse Gas Protocolのカテゴリに基づくCO2排出量
*8 SBTi(Science Based Targets initiative):2015年にWWF、CDP、世界資源研究所(WRI)、国連グローバル・コンパクトにより設立された共同イニシアティブ
積水ハウスグループのスコープ1、2におけるCO2排出量削減実績
積水ハウスグループのスコープ3におけるCO2排出量削減実績
積水ハウスグループの今後の課題
これまでに示したように積水ハウスグループでは、気候変動により予測されるリスクに対しては、既に対策を進めており、財務上の大きな負担はないと考えていますが、これまでと同様に、今後も脱炭素経営を確実に遂行していくために、今回の分析で特定した財務影響の大きい主なリスク要因について継続的にモニタリングするとともに、リスクのさらなる定量化や分析精度の向上を図りつつ、必要な取り組みを強化していきます。さらに、オーストラリアとカリフォルニア州における法令に基づく気候関連情報の開示に加え、国内におけるサステナビリティ開示基準(SSBJ)への準拠に向けた対応も進めていきます。今後の課題として、新たに連結子会社となったグループ会社に関連する、リスクのさらなる定量化や精度向上、持続可能な社会への移行に貢献することが当社グループに課せられた使命と考えています。
また、気候変動は不確実な部分が多いことから、社外から広く英知を結集して対応する必要があります。当社グループが国際社会においてリーダーシップを発揮するため、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)や、日本の民間企業で唯一加盟しているGlobalABC(Global Alliance for Buildings and Construction:建築・建設部門におけるグローバルアライアンス)をはじめ、さまざまな国内外のイニシアチブに参加するなどにより、ステークホルダー・エンゲージメントにさらに注力していきます。
