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多様な働き方の推進
基本的な考え方
積水ハウスグループでは、執務環境の変革やICT環境の整備、制度・規則の最適化により、コミュニケーションを活性化させるとともに、誰もが働く場所や時間にとらわれず、柔軟かつ自律的に働きながら一人ひとりの個性や能力を最大限に活かすことが重要であると考えています。そのため、多様な働き方を支援する制度および公平な評価制度の拡充、心理的安全性の高い職場風土づくりの推進に取り組んでいます。
適正な労働時間管理と有給休暇の取得促進
多様な働き方を推進するうえでは、長時間労働を解消し、誰もがいきいきと働くことのできる職場環境づくりが大切です。そのため、労働時間の実態を把握することから始め、まずは法令の遵守(36協定時間)に重点を置いた取り組みを実践し、部門ごとに月平均総労働時間の目標値を設定することで、労働安全衛生法上の時間外労働時間を削減し、従業員の健康維持・促進を図りました。
また、年休取得においても目標値(2025年度は取得率85%、取得日数17日間)を掲げ、計画的な取得を促すとともに、働く場所と時間の制約を緩和する諸制度を導入し、自律的な働き方の推進に取り組んでいます。特に育児や介護等で働く時間や場所に制約のある従業員にとって、仕事との両立を支援するための制度は、キャリアロスなく安心して働くために不可欠です。さらに、2023年3月からは、勤続年数にかかわらず、すべての従業員に初年度から年間20日の有給休暇を付与しています。この取り組みは、従業員が公私のバランスを取りながら、健康かつ自律的な働き方を実現するための支援の一環として位置づけています。当社国内グループにおける2025年度の年次有給休暇取得率は、83.0%です。
多様な働き方の制度拡充
スライド勤務制度
2018年4月より、ワークライフバランスの推進と効率的な業務遂行のため、基準就業時間はそのままに、個人ごとに勤務開始時間を午前7時から午前11時の間に15分単位で、繰上げまたは繰下げできる制度を運用しています。従業員一人ひとりが働く時間を意識し、上司と対話しながら活用しています。
テレワーク制度
2017年2月より、育児等で就業時間に制約のある従業員が活躍できるよう、在宅勤務制度として運用を開始しました。コロナ禍において、全従業員を対象にした暫定的な運用を経て、2023年4月から在宅勤務以外にもモバイル勤務等が可能となり、従業員が働く場所を選択してより効率的に働くことができるようになりました。月平均7日以下のテレワークが基本ですが、特例申請が承認されれば、月平均8日以上のテレワークも可能としています。
所定休日の変更制度(Your holiday制度)
2024年10月より、火曜日・水曜日が所定休日の事業所において、従業員が所定休日を振り替えて、月に一回、日曜日または土曜日に休日を取得する制度を導入しました。家族、友人、地域とのコミュニケーションなど、家庭や個人の事情に合わせ、誰もが自律的に働き、持続的に成長できる職場の形成を目指しています。
仕事との両立支援制度の拡充
育児のための勤務時間短縮・就業時間変更
小学校3年生までの子を養育する従業員は、所定勤務時間の短縮(曜日ごとの設定可、1日につき2時間を上限、15分単位)の適用を受けることができます。また、子が小学校6年生までは所定就業時間の始業および終業を午前7時~午後8時の間で繰り上げ、または繰り下げる措置の適用を受けることができます。
保活コンシェルジュ
出産後1年以内に復帰予定の従業員に対し、個々の事情(子の誕生月、居住地など)に応じた活動方法やノウハウ、保育所関連の情報を提供し、妊娠中から保育施設決定まで個別にサポートします。
介護支援制度
要介護者を介護する従業員は、所定勤務時間短縮(1日最大3時間)、または所定勤務日数短縮(1週につき1日)や、所定就業時間変更などの制度適用を受けることができます。「子の看護等休暇」「介護休暇」は、年5日間(対象者が2人以上の場合は10日間)の有給休暇を「時間単位」で取得できます。なお、2024年から毎年11月に介護に関するアンケートをグループ会社の多くに実施し、従業員に寄り添った施策の検討を進めています。また、希望者には社内外相談窓口での個別相談も実施しています。
子どもサポート休業制度
従来の育児や介護の制度では対象外となっていた、看護・不登校等の付き添い・見守りが必要な18歳以下の子がいる従業員に、2年以内の休業、所定勤務時間や所定勤務日数の短縮等を適用することでキャリアの継続を支援しています。
治療と仕事の両立支援制度
がん・不妊・指定難病等や障がい等に関わる治療に取り組む従業員が安心して仕事を続けられるよう、所定勤務時間や所定勤務日数の短縮、就業時間変更等の適用を受けることができます。治療と仕事を両立できる職場環境の実現に加え、円滑な職場復帰支援の一助としています。
勤務エリア継続制度(治療・育児・介護支援用)
治療・介護・育児等の事情により、規則で定める利用条件に該当する期間について申請可能な制度で、転居を伴わず同一エリアで勤務を継続することができます。2025年8月より制度を開始し、当社グループ*1で現在91名が利用中です。
*1 積水ハウス(株)、積水ハウス不動産グループ、積水ハウスサポートプラス(株)
人事制度
2021年を人事制度改革元年と位置づけ、これまで取り組んできた「D&I」「働き方改革」に加え、「自律的なキャリア形成のサポート」を目的に、評定制度・等級制度・報酬制度を改定しました。また、グループ会社においても人事制度改革の導入や検討を進めています。
管理職における複線型キャリアコースの導入
管理職には、マネジメント力を発揮する「マネージャー職」と、高度な専門性を発揮する「スペシャリスト職」を設置し、自身のキャリアコースを自らが選択し、実現できる人事制度を導入しています。
管理職登用体制
2022年4月の人事制度改定において、一般社員の等級階層を従来の9階層から5階層に減らし、優秀な従業員を早期に管理職に登用できる体制を構築しました。2023年4月には、入社から最短5年で管理職に登用できる制度へ改定しました。これにより、年齢や勤続年数にかかわらず、個人の能力や実力発揮に基づく昇格・登用を実施しています。
人事制度改定の概要
公正な評価制度の拡充
公正で納得性の高い人事評価を行うことを重視し、2010年度より本人に評価結果を伝え、強みや改善ポイントについて対話をするフィードバック面談を実施しています。また2021年度には、新人事制度の導入に伴い評価制度も改定しました。一人ひとりの従業員がモチベーションを高く働き続けられる環境を構築するために、「能力・行動評定」と「業績評定」の2つの観点で従業員の能力や成果を適切に評価しています。「能力・行動評定」では、能力・知識・スキル、意欲・姿勢とそれらを通じた具体的な行動を評価し、昇格、昇給、退職金に反映しています。一方、「業績評定」ではMBO(Management by Objective:目標管理制度)を用いて最終的な成果につなげるためのプロセスとその結果を評価し、業績賞与に反映しています。営業部門においてはこれらに加え、個人の業績に基づいた月次の業績手当も支給しています。
新たな評価制度では、定量的な成果に加え、定性的なチャレンジ力や貢献度、発揮した創造性なども評価項目とし、より総合的な視点で各人の実績を評価しています。また、高度な専門性を発揮し組織貢献を果たす「スペシャリスト職」の認定基準や能力基準を定め、目指すべき姿や期待する役割を等級別に明確にしました。さらに評価者会議において複数の目線で評価を議論・精査することで、入社年次や年齢にかかわらず、求められる能力や役割に応じて、各人の実績を公正に評価・反映した報酬や昇格の機会を提供しています。
評価制度の全体像
エンゲージメントにおけるリスク管理
企業理念や行動規範、ビジョンや戦略、従業員の自律、職場風土、コンプライアンスの視点から当社の現状を把握する「ガバナンス意識調査」を国内のグループ従業員を対象に毎年1回実施し、調査結果をもとに部門での課題抽出と解決を促しています。全社的課題については、全社施策・研修プログラムなどへ反映し、従業員のエンゲージメント向上による人財維持を図っています。主な取り組みは以下の通りです。
- 高度な専門性によって組織貢献を果たすスペシャリスト(SP等級)の認定基準や能力基準を定め、目指すべき姿や期待役割を明確にしました。また、スペシャリスト職がより魅力的になるような検討も行っています。
- 評価者および被評価者別にMBOに関するe-ラーニングを実施しました。仕事を通じた成長を遂げるための目標設定、評定結果の受け止め方や今後へのつなげ方を学びました。相互のコミュニケーションを通じて成長課題を共有することで、より納得性と透明性の高い評定へつなげ、さらなるモチベーションの向上や自己成長と組織の成果創出を目指しています。
ガバナンス意識調査の結果
ガバナンス意識調査の「人財育成」においては、面談や評価、育成風土に関する項目で測定しています。2022年から経年で各ポイントが上昇しており、公正な評価制度が着実に機能していることが表れています。一方で、失敗を恐れずに取り組む風土は全項目のうち低い傾向にあるため、法令遵守のガバナンス意識の良さを残しつつ向上することが課題と考えています。
ガバナンス意識調査スコアの推移(積水ハウス支店スコア)
心理的安全性の高い職場風土づくり
キャリア面談
多様な働き方を推進するためには、信頼関係に基づく安心安全な職場風土の醸成が必要です。積水ハウスグループでは、上司とメンバーの信頼関係を重視しています。その思いは人事施策にも表しており、年に5回キャリア面談を実施しています。当社グループのキャリア面談は、従業員が自らの視点に基づく課題や自身の強み、能力を発揮したことや目標を率直に表現し、上司はそれらを丁寧に聴き切り、受け止めることが求められています。これにより、トップダウンの業務進捗確認ではなく、従業員が自己表現の機会を通じて自身の目標や志向を明確にし、キャリアプランを共有することができます。また、上司はメンバーの意見や想いを真摯に受け止め、一人ひとりを深く把握したうえで適切なアドバイスや問いかけを行い、行動変容や成長を促しています。上司とメンバーがオープンな対話ができるキャリア面談は、信頼関係の構築やコミュニケーションの促進など心理的安全性の高い職場風土の醸成だけでなく、共に問題に取り組む姿勢を持つことでより効果的な解決策を見出し、従業員のエンゲージメント向上および組織全体のパフォーマンス向上にも貢献しています。
当社グループでは、キャリア面談を実施する上司およびメンバーを対象としたアンケート調査を半期に一度実施しています。分析した調査結果は、キャリア面談に臨む際のコツやヒントとともに従業員に共有しています。2025年度下期は、面談満足度が10点中7.2点でした。また、キャリア面談を通じて「上司が自分の話を聴きとってくれた」と感じたメンバーは95%*2、「上司は自分の良いところを承認してくれた」と感じたメンバーは92%*2でした。上司には、コーチングや傾聴スキルなどを学ぶ機会を提供し、面談スキルを向上することで、メンバーとのより充実したコミュニケーションや信頼関係の構築を図っています。
*2 とてもそう思う/そう思う/あまりそう思わない/そう思わないの4段階尺度のうち、とてもそう思う/そう思うと回答した割合
組織開発支援プログラム
多様な人財が集まる組織では、リーダーとメンバーが互いに信頼関係を築き、心理的安全性の高い職場風土を形成することが不可欠です。2024年11月より「組織開発支援プログラム」を開始し、これまで12拠点で対話型セッションを実施してきました。これらのセッションを通じて、コミュニケーションの活性化やリーダーとメンバーの方向性の共有を促進し、失敗を恐れず高い目標に挑戦できる組織づくりを推進しています。
ダイバーシティマネジメントの推進
多様な働き方が可能な職場環境を形成するには、リーダーの役割が大きいと考え、2015年から2021年まで育児者とその上司を対象とした「仕事と育児の両立いきいきフォーラム」を開催しました。2022年からは、全リーダー(一次評価者*3)を対象とした「ダイバーシティマネジメントフォーラム」へ刷新しました。育児に限らず、介護や治療など多様化している従業員の事情に寄り添い、柔軟な働き方を推奨し、個人事情と業務の両立、業務での活躍を推進できるリーダーを育成する研修です。多様な人財を活かすことができるリーダーの育成を行うことで、心理的安全性のある職場形成につなげています。
*3 両立のための柔軟な働き方をまず相談する上司
幸せ度調査を活用した効果検証
年に一度、全従業員を対象に実施している幸せ度調査の「職場の幸せ力」には、「職場オススメ度」「信頼関係のある職場の雰囲気」「安心安全な風土」「チャレンジを推奨する雰囲気」が含まれており、当該指標により多様な働き方の推進の進捗や成果も検証しています。24年度と比較し横ばいで推移しているため、向上にむけ今後も注力します。
| 集計範囲 | 単位 | 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 職場の幸せ力 |
グループ (国内)*4 |
ポイント | 66.59 | 67.44 | 67.39 |
*4 積水ハウスおよび国内連結子会社から、鴻池組を除く
