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人権の尊重

人権レポート

 人権方針に基づき、人権デュー・ディリジェンスのプロセスを事業活動に組み込み、経営トップからグループ全従業員、さらにはお客様、サプライチェーンや協力工事店で働く人たちへの啓発の取り組みを推進しています。
 本レポートによってこれらの取り組みの全体像と進捗ならびに課題を明確にするとともに、人権方針にも定める「情報公開」の責任を果たします。

基本的な考え方

 積水ハウスグループは、従業員やサプライヤーをはじめとした事業活動によって影響を受ける可能性のある、すべてのステークホルダーの人権を尊重します。
 当社グループは2020年4月に公表した「積水ハウスグループ人権方針」(以下、人権方針)において、あらゆる差別やハラスメントを行わないこと、強制労働および児童労働を認めないことを明示しています。人権方針は、当社グループのすべての役員および従業員が遵守しなければならないものであり、全従業員に研修などを通して周知を図っています。

当社グループ事業に関わる人権リスクマップ

事業における重要な人権課題の特定と対応

 人権デュー·ディリジェンスミーティングにおいて、毎年、人権リスクマップ(上図)を作成するプロセスで重要な人権課題を特定し、定期的に検証しています。
 2025年度に特定した重点課題は①職場のハラスメント、②施工現場の安全衛生、③サプライチェーン上の人権課題、④施工現場の外国人就労の4つです。

重点課題① 職場のハラスメント

 約3万人の従業員が働く積水ハウスグループにとって、心理的安全性が確保された適切な職場環境の整備は、優先して取り組むべき重点課題の一つです。
 「セクハラ・パワハラホットライン」を設置し、グループ全従業員に周知しています。あらゆる人権課題に幅広く相談を受け付けています。相談を受け付けた場合には、迅速な対応を行い、必要に応じて調査し、是正・救済措置、再発防止策を講じます。これらの相談内容を検証した結果を、全従業員向けに実施している「ヒューマンリレーション研修」のテーマに反映させる等し、ハラスメントの未然防止や発生した際の適切な対処に取り組んでいます。

重点課題② 施工現場の安全衛生

 危険が伴う建設現場では、労働環境が人命に関わる災害に直結する可能性があることから、施工現場の労働安全衛生は当社グループにとって最も根底にある課題です。施工従事者が安全に働ける環境の整備のために、さまざまな措置を行っています。

重点課題③ サプライチェーン上の人権課題

 人権や労働の権利の尊重を含む「CSR調達ガイドライン」を制定し、主要なサプライヤーと共有しています。毎年「同意確認書」を提出いただき、新規サプライヤーとの取引開始時も同様に提出をお願いしています。
 主要なサプライヤーには、毎年GCNJ*1発行のSAQに基づく自己診断による「CSR評価」を実施しています。評価結果から、注視すべきサプライヤーにはモニタリングを実施し、その実態を確認しています。さらに、主要サプライヤーが集まる年度活動方針説明会などを通じて、人権方針の理解と周知を図り、サプライヤーからそのサプライヤーへと働きかけの輪を広げていくことで、サプライチェーン上の人権尊重を進めています。

*1 グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン

重点課題④ 施工現場の外国人就労

 当社グループの施工現場でも外国人施工従事者が増加しており、その労働災害の発生率が日本人よりも高いことがわかりました。そこで、その要因と考えられる日本語理解の不足や、コミュニケーション不足による危険情報の伝達不十分に着目し、その対策として、ピクトグラムと多言語表記を用いた建災防の統一安全標識10種類の採用や、多言語や「やさしい日本語」を用いた「雇入れ時教育テキスト」補助教材の製作などに取り組んでいます。
 技能実習生に対しては、技能実習生および施工協力会社向けの相談窓口を設置しています。特に人数の多いベトナム人技能実習生には、実習および生活面の支援を行うほか、担当者が監理団体とともに定期面談を実施し、雇用主とは異なる立場から対話を実施し、日本語学習状況の確認や助言も行っています。

人権尊重の推進体制

 人権方針に定める通り、取締役会が人権方針の遵守および取り組みを監督しています。取締役会の傘下には、経営会議、ESG推進委員会、リスク管理委員会を置き、それぞれの機関が有機的に機能することにより、当社グループ全体の人権尊重の推進体制を構築しています。また、人権の専任部署としては、積水ハウスに「人権・コンプライアンス推進部」を設置しています。
 人権に関する重点課題と方針は、ESG推進委員会傘下のガバナンス部会で決定しています。ガバナンス部会の中には複数の関連部署が参加する「人権デュー・ディリジェンスミーティング」(事務局:人権・コンプライアンス推進部)を設置し、それぞれの人権課題を担当し互いに連携し情報共有を行うことにより、人権推進に取り組んでいます。
 人権尊重の取り組みは、リスク管理委員会にも定期的に報告されています。リスク管理委員会では、人権に関するテーマとして主にグループ従業員の労働や健康に関する戦略的な取り組み、ハラスメントや労働災害などについて、リスク管理の観点から議論しています。

コーポレートガバナンス体制図(2026年2月時点)

人権デュー・ディリジェンス体制

人権に関する相談窓口

 積水ハウスグループは、人権・コンプライアンス推進部による「セクハラ・パワハラホットライン」「積水ハウスグループ コンプライアンス・ヘルプライン」「席数いハウスグローバルヘルプライン」をはじめとした複数の通報システムを設置し、適切に運用することで、相談窓口体制の充実を図っています。
 相談・通報に対して迅速な対応を行い、必要に応じて調査し是正・救済措置を講じます。利用に際しては秘密が厳守され、利用者は相談・通報をしたことによるいかなる不利益も受けません。

事業所のセクハラ・パワハラ相談窓口担当者

 グループ会社を含めた国内の全組織には男女1人ずつの相談窓口担当者(計736人:2026年3月時点)を配置しています。この相談窓口担当者には、人権・コンプライアンス推進部が毎年研修を実施し、相談対応のスキルアップと連携強化を図っています。

セクハラ・パワハラホットライン

 当社グループの従業員や継続的取引先を対象に、各種ハラスメントや人権に関する相談を幅広く受け付けており、受け付けした全件に対応しています。解決是正に向けての対応以外にも、内容に応じて相談者への助言などの支援を行っています。また、受付件数のうちのハラスメント以外の内容については、多くはマネジメントや職場の人間関係に起因する相談になっています。

  集計範囲 単位 2023年度 2024年度 2025年度
相談受付件数 グループ(国内) 253 258 309
相談受付件数のうち、ハラスメントに関する申し出の件数 131 150 196
ハラスメントに関する申し出のうち、解決是正に向けて対応した件数 76 83 130

 データが示す通り、セクハラ・パワハラホットラインへの相談件数は年々増加しています。当社グループは、ハラスメント被害を防止・軽減するためには、早期の相談が必要と考えています。また、相談者が一人で悩みを抱えて相談できない状況にならないためにも、秘密厳守の安心した環境で、レポートラインの外で声を届けられる相談窓口の役割が大きいと考えています。このため、当窓口の相談対応や周知活動を通じて、従業員が気軽に相談できるような環境整備に力を入れてきました。よって、相談件数の増加は、その活動の効果としての窓口への信頼度の現れであると肯定的に捉えています。
 また、今後も活動を継続することで、しばらくの間、相談件数は増加傾向を示すと考えています。寄せられた相談内容や傾向、経年の推移をもとに、従業員への教育等を含めた施策を講じていきます。

公開ウェブサイトへの人権に関する問い合わせ

 2020年4月の人権方針策定時より、公開ウェブサイトで、人権に関する問い合わせを外部からも受け付けています。2025年度は、8件すべての問い合わせに対して状況確認と対応を完了しており、問い合わせの中に当社グループの事業が与える重大な人権侵害は確認されませんでした。

  集計範囲 単位 2023年度 2024年度 2025年度
公開ウェブサイト
人権に関する問合せ件数
一般からの
問い合わせ
32 10 8

従業員への継続的な人権研修

 毎年、グループ全従業員*3を対象に、人権課題の啓発や従業員が働きやすい職場環境の醸成を目的として「人権·コンプライアンス研修」実施しています。自らの人権感覚を高めつつ、日常業務と連動した自らの問題として考える場とするため、従業員同士での対話を重視した研修スタイルをとっています。
 また、人権·コンプライアンス研修に加え、社内イントラネットや事業所内に掲示する人権標語のポスターにて、人権に関する相談窓口を全従業員に毎年周知しています。

*3 有期雇用となる派遣社員、パート・アルバイト従業員などの参加は任意ですが、テキストは必ず配布しています。また、海外を含む一部のグループ会社は、その事業内容等に応じた独自の研修を行っています。

  集計範囲 単位 2023年度 2024年度 2025年度
ヒューマンリレーション研修*4 組織別実施率 グループ(国内) % 100 100 100
全従業員研修 受講者数 24,260 23,156 25,755
研修時間 時間/人 3.0 3.0 3.0
推進委員研修 受講者数 6,864 6,635 7,396
研修時間 時間/人 2.0 2.0 2.0

*4 海外を含む一部のグループ会社は、その事業内容等に応じた独自の研修を行っていますが、本研修の受講者数には含めていません。

ステークホルダーとの連携

海外事業における人権尊重の取り組み

 2024年から2025年にかけて、人権デュー・ディリジェンスミーティングのメンバーが、オーストラリア、アメリカ、タイ、ベトナムのグループ会社施工現場を訪問し、オンサイトデュー・ディリジェンスを実施しました。現場の視察やヒアリング、現場を統括するグループ会社の責任者や現地スタッフとの直接対話により、現地スタッフや施工協力会社従業員の人権状況、人権課題の予防・軽減の取り組みなどを確認しました。

お客様への取り組み

 積水ハウスグループでは、お客様との対話を重視し、より良い住環境の提供につなげることを重要な企業責任と考えています。住まいの提供後も、定期点検やアンケートを通じてお客様の意見を収集し、商品やサービスの品質向上に活用しています。また、積水ハウス不動産グループでは、賃貸住宅の入居者募集時におけるLGBTQフレンドリーな対応の推進のため、従業員と加盟店への研修を継続的に行うなどし、多様な価値観を尊重した住環境の提供を目指しています。このように、当社グループはお客様の多様なニーズに対応することで、すべての人が公平にサービスを受けられる社会の実現に貢献しています。

人権団体・外部ステークホルダーとの連携

 積水ハウスは、2018年に国連グローバル・コンパクトの掲げる人権・労働・環境・腐敗防止の4分野10原則を支持し署名しました。これを機に、日本のローカルネットワークである「グローバル·コンパクト·ネットワーク·ジャパン(GCNJ)」の分科会(サプライチェーン分科会・HRDD分科会·人権教育分科会)に参加し、企業の人権尊重の推進に取り組んでいます。また、同和問題をはじめとするさまざまな人権課題に関する関係諸団体と連携し、最新の情報を収集しながら、社内啓発や研修プログラムに反映することで、従業員の人権意識の向上に努めています。

労働基準の順守と対応

 当社は、労働基準の遵守を重要な責務とし、労働基準に関する申し立てがあった場合は全件対応し、適切な調査と指導を実施しています。特に、労働時間に関する申し立てがあった場合、該当事業所の業務状況を確認し、業務効率の改善を含めた適切な指導を行います。この取り組みは、社内のコンプライアンス管理の一環として位置付けられており、労働環境の継続的な改善を図ることで、従業員が安心して働ける職場環境を維持しています。なお、2025年度において、労働時間に関する労働基準監督署からの是正勧告はありませんでした。