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地方創生事業

基本的な考え方

 少子高齢化や大都市圏への人口流出による過疎化は、地方自治体にとって重要な課題の一つです。この社会課題の解決に向け、地方で魅力的な雇用を創出し就職者を増やすことは、都市から地方に戻るUターン就職の促進にもつながります。こうした考えに基づき、全国で事業を展開する積水ハウスグループでは、地方における魅力的な仕事の創出として、住宅技能工「クラフター」の採用強化に取り組んでいます。
 また、地方には自然の豊かさやゆったりとした時間の流れ、採れたての野菜など、その地域に行かなければ感じられない魅力があふれています。これらの魅力を活かした観光促進を通じて地域経済の活性化に寄与するため、当社はマリオット・インターナショナルとともに、道の駅を拠点にした「地域の知られざる魅力を渡り歩く旅」を提案する地方創生事業「Trip Base(トリップベース)道の駅プロジェクト」に取り組んでいます。
 さらに、近年は若年層の流入促進と産院不足の解消が同時に求められるなど、地域課題が複合的になっています。当社グループでは、地域の社会課題を把握し、行政との関係を構築し、拠点運営者と連携しながら、地域社会との共生に資する事業に取り組んでいます。体制の構築にあたり、当社グループでは、全国で事業を展開している強みや、多彩な分野のエキスパート・専門部署の知見、社外有識者等とのネットワークを活かし、さまざまなソリューション提案を通じて、地域・社会課題の解決を目指しています。

家づくり職人の育成と雇用の創出

住宅技能工「クラフター」の採用強化

 住宅技能工「クラフター」は、当社グループの積水ハウス建設グループにおける住宅建築に携わる職種の一つであり、住宅建築の現場でさまざまな技術や技能を駆使して、お客様の建物を建築する重要な役割を担っています。近年、日本の建設業界全体が人手不足という大きな課題を抱えています。この課題を解決すべく、積水ハウス建設グループでは、高校卒業予定者を中心とした住宅技能工「クラフター」の採用を強化し、「日本一の施工会社」を目指し、施工力強化と人財育成に取り組んでいます。
 積水ハウス建設グループにおける2026年4月入社のクラフター新卒採用者数は、112人となりました(2026年3月時点)。また、2027年度の新卒採用も同水準の113人の採用を計画しています。クラフターの育成については、入社後6ヵ月間、全3ヵ所の自社研修施設である「訓練校」にてクラフターに必要な社会人としてのマナーや、施工に関する知識・技能が体系的に学べるようになっています。現場でのOJTでは経験豊富なチーフクラフターが新入社員2名に対し1名の体制できめ細やかな指導ができる環境を整えています。
 また、指導者となるチーフクラフターに対しても、育成指導方法に関する研修等を実施し、育成力の向上を図っています。チーフクラフターが持つ経験や知識を次世代に伝えることで、持続的な技術の継承を可能とする育成体制としています。
 今後も継続的な採用と育成を通して、施工力を強化し、業界内でのさらなる地位を確立するとともにクラフターの働きやすい環境や働きがいを実現し、家づくり職人の魅力を向上させ、良質な住宅ストック形成に寄与できる就業環境を整備し日本一の施工会社を目指し、施工力強化と人財育成に努めます。

パートナー企業との共同建築事業「SI(エス・アイ)事業」

 2023年、積水ハウスは独自の耐震技術を広くオープン化し、木造住宅の耐震性を強化する業界初の共同建築事業「SI事業」を開始しました。
 「SI事業」では、木造住宅の耐震面において最も重要なスケルトン部分を当社が設計し、基礎・躯体・接合部の施工は積水ハウス建設が担当します。一方、外装や内装などのインフィル部分はパートナー企業が担い、地域での高い土地仕入れ力や販売力を活かして、地域特性に沿った提案を行うことで地域密着型の顧客対応を実現しています。
 この取り組みにより、高い耐震性を備えた木造住宅を全国に広げ、良質な住宅ストックの形成を推進するとともに、地方を基盤に事業を展開するパートナー企業との共存共栄を図り、地方における雇用の創出にも貢献してまいります。2025年度末時点で、パートナー企業は10社となり、東北から九州にかけて事業を展開しています。

第3回積水ハウス大工選手権大会 WAZA 2025

 当社の魅力ある住まいづくりを国内最高レベルの技術によって支える全国の大工職人へのねぎらいと感謝の気持ちを表し、モチベーションを高めていただくとともに、夢のある職業として大工職の魅力を社外へ発信したいという想いから、2023年から「積水ハウス大工選手権大会 WAZA」を開催しています。第3回となる2025年は、若い大工職人さんのやる気や活躍を後押しする場となり、モチベーションもアップし、技術力の継承へと繋げていきたいと考え、「U-35部門(35歳以下)」を設けました。各エリアの推薦により選ばれた「U-35部門」13名、「マスター部門」13名の精鋭26名が、住まいづくりの内装工事における工程に取り組み、頂点を競いました。

Trip Base 道の駅プロジェクト

 当社は、マリオット・インターナショナルとともに、道の駅を拠点に「地域の知られざる魅力を渡り歩く旅」を提案する地方創生事業「Trip Base(トリップベース)道の駅プロジェクト」を展開しています。2020年10月より順次開業し、ファーストステージでは6府県15ヵ所1,152室を2022年3月までに開業。セカンドステージでは、8道県14ヵ所1,184室を2023年11月までに開業し、14道府県29施設2,336室の規模となりました。
 本事業では、地域の店舗などの利用促進を企図し、宿泊に特化したロードサイド型ホテル「フェアフィールド・バイ・マリオット」を運営し、地域およびアライアンスパートナーとの連携も深めています。
 当社は、2025年度も引き続きフードロス問題や地方創生に関心のある学生が参加する社会貢献型インターンシップ「クラダシチャレンジ」に協力し、京都府京丹波町では収穫した黒枝豆を活用した地域活性化提案を、和歌山県すさみ町では地元漁師さんのお手伝いを通じてスルメイカの活用方法を参加学生とともに考え提案しました。また、岐阜県美濃市・栃木県日光市では、地域と子育て家族をつなぐ保育園留学プログラムに協力し、兵庫県の養父市・淡路市では地域資源をテーマにした「農業」と「お金」が学べる子ども向け金融経済教育イベントを開催しました。さらに、本社のある大阪の梅田スカイビルでも、地域の魅力を都心部で発信する「みちる旅マルシェ」イベントを初開催しました。地元産業への理解・愛着を深め、地域のファンとなり関わり続けることで関係人口の増加を目指すなど、地域の課題解決を通じた地域活性化の取り組みを次々と実現しています。今後も、全国で3,000室程度までの拡大を目指しながら、観光の促進により地方創生に寄与していきます。

開発事業

都市再開発事業の基本的な方針

 積水ハウスは、長年の住まいづくりのノウハウを活かし、単なるスクラップ&ビルドではない都市再開発を行っています。賃貸マンションや分譲マンション、オフィスやホテル、商業施設、またこれらの複合施設の都市再開発を通じ、誰もが過ごしやすく、次世代に引き継がれる、人と街と未来を見据えた社会全体の価値を創造することを目指します。なお、都市再開発においては、各種法令や社内規定を踏まえて、環境や地域社会への影響も考慮し計画を行っています。

グランドメゾン福岡The Central Luxe(福岡市)

 福岡市中心部「天神」エリアで初めてのグランドメゾンである当物件は、その立地特性を生かし「The HOTEL Life」をコンセプトに住戸構成や住戸プラン、インテリアの計画を行いました。また、ファサードは住戸プランの切替階と合わせて、下層階は上下2フロア1グリッドのフレームを利かせたディテール、上層階は浮遊感を演出し360°美しい外観となるようデザインしました。外構においては、北東面の公開空地には植栽やベンチを計画し、街並みに潤いとやすらぎをもたらしています。

赤坂グリーンクロス(東京都港区)

 日本生命保険相互会社との共同事業として2024年5月に竣工した次世代型ハイグレードビルです。周辺の緑豊かな自然環境に調和しつつも、高い利便性とその圧倒的な存在感で人と人の繋がりを創出し、新しい事業の創造性を発揮する場として、使い手のWell-beingの実現に貢献します。

テナントや地域社会に向けた取り組み

 当社は「住」を基軸とした事業を行っています。激甚化する災害から入居者やテナントの従業員などの人命と財産を守ることは社会課題であり、当社の使命であると考えています。その考えのもと、当社が保有するオフィスやホテル、賃貸マンションなどにおいては、環境や地域社会への配慮に加えて、入居者・利用者・テナント従業員の快適性も考慮した物件の開発および管理を行っています。

大規模複合開発「ミラまち」

 愛知県豊橋市の27haの工場跡地の再開発事業において、地域の課題解決とコンパクトシティを具現化する複合開発により「ミラまち」は誕生しました。
 「ミラまち」は、「“未来”へつながる“まち”をつくる」をコンセプトに、未来へ向けての3つの価値を創造します。3つの価値は、「子どもに優しい・災害に強い・暮らしを楽しむ」です。「子どもに優しい」は、子育て支援センターや家族の憩いの場となる公園、防犯カメラを設置するなどまち全体で子育てをし、子どもの未来を見守っています。2つ目の「災害に強い」は、まち全体が高台に位置し、貯水池としての機能をもつ公園を設置することで、激甚化する台風や大雨の浸水も防いでいます。最後に「暮らしを楽しむ」では、当社のノウハウを活用し、ソフト・ハードの両面からコミュニティを形成しています。住み心地の良いまちづくりには、コミュニティの育成が重要と考え、住民主体のタウンマネジメントを目指す管理組合を設立し、住まう人はもちろん、まちを訪れる方々が交流を深められる環境づくりを行っています。
 また、電力スマートメーターの通信技術を活用した電気・ガス・水道共同での自動検針を全国で初めて実用導入しました。利用状況の「見える化」により、居住者の利便性向上と環境保全に資するものです。

プラチナ事業

 プラチナ事業とは、積水ハウスグループが取り組む、高齢者向け住宅、介護サービス事業所、クリニックなどの医療施設、幼保育施設などの建築事業の総称です。
 子どもから大人まで、高齢者や障がい者を含む一人ひとりの多様なライフステージや地域ニーズに応える環境を創ることで、「その地域にずっと住み続けたい」という想いを実現しています。
 当社は、ご利用者、入居者様、患者様はもちろん、医師やスタッフにとっても、わが家のような暮らし心地と使いやすさを兼ね備えた安心・快適な建物を、総合的な企画力・技術力・施工力で提供しています。さらに、当社ならではのユニバーサルデザインや環境配慮技術を活かし、ご利用者や、入居者、そして働く人目線に立った「人に快適なデザイン」を実現しています。

  集計範囲 単位 2023年度 2024年度 2025年度
高齢者・介護系施設 単体 1,556 1,599 1,638
医療系施設 3,865 3,951 4,067
障がい者系施設 623 662 695
保育系施設 441 445 452

PPP/PFI事業

 国は、公共施設等の整備・運営に民間の資金や創意工夫を活用することにより、効率的かつ効果的で良好な公共サービスを実現するため、PPP/PFI事業を積極的に推進しています。PPPは「官民連携事業」の総称で、PFIはPPPの代表的手法である「民間の資金やノウハウを活用した公共施設の整備・運営事業」です。
 積水ハウスグループでは、これらPPP/PFI事業に積極的に参画することで、社会課題や地域課題の解決の実現を目指しています。具体的には、公共施設、公的賃貸住宅、まちづくり、医療・介護・子育て・公園の分野を中心に、当社グループ独自の知見やノウハウを活かして、さまざまなソリューション提案をしています。また、国土交通省の「PPP協定パートナー」にも選定されており、PPP/PFIの普及・啓発にも貢献しています。

ファミール産院ありだ

産院でのミーティング

PPPプロジェクト「ファミール産院ありだ」

 「ファミール産院ありだ」は、“自分のまちで安心して出産・子育てができる、地域に根差した分娩施設”を目指して2024年4月に開院しました。人口減少が進む中、医療過疎問題や医師不足による地域医療の崩壊は、日本全国共通の社会課題ですが、単独の行政や企業だけでは解決が難しく、本プロジェクトはPPP(官民連携)だからこそ実現できた事業です。
 本施設は、和歌山県有田市所有の旧保育園を「減築+リノベーション」により再生したクリニック外来棟と、隣接する旧園庭に新設した分娩入院棟の2棟で構成されています。2026年1月時点で、開院以来250名の赤ちゃんが誕生しています。
 本プロジェクトは、有田市の民間提案制度を活用した事業で、医療法人社団マザー・キー、積水ハウス株式会社、鴻池ビルテクノ株式会社の3社によるコンソーシアムが応募し、選定を受けました。有田市とコンソーシアムメンバーは、データ分析に基づくロジカルな提案により対話の質を高め、丁寧に対話を重ねることで、「官民連携」と有田医療圏域自治体による「広域連携」の両立を実現しました。施設整備事業は完了しましたが、今後の有田医療圏における分娩サービスを持続的に提供し続けるために、継続的なコミュニティ支援を目的とした、地域のつながりを増やす交流イベントを開催しています。大学生や地域の医療、介護、福祉に携わる専門職の方々との共創が続いています。2025年度「第19回キッズデザイン賞」において、少子化問題に対して真摯な実践は地域の活性化につながる枠組みとして高く評価され、こども政策担当大臣賞を受賞しました。

台の森プロジェクト

地域資源を未来に継承する交流拠点づくり「台の森プロジェクト」

 仙台市の「台の森プロジェクト」は、代々受け継がれてきた屋敷林や井戸、樹齢300年を超える貴重なケヤキ、実のなる木などの貴重な地域資とともに、暮らしの記憶も継承する共生型コミュニティづくりの取り組みです。
 当社は、陶芸教室、カフェ、ギャラリー、レストラン、障がい者グループホームが共存する地域に開かれた拠点づくりを提案しました。震災の教訓から、顔が見える多世代の関係づくりを重視し、子どもの頃の想い出インタビュー(90歳ヒアリング)や周辺住民との意見交換を重ねたうえで計画を練り、訪れる人たちが愛着を持ち、かかわりを増やしていける「新しい居場所」づくりを実践しました。
 敷地に残されていた板倉を利用して建てた蔵ギャラリー(施工:木工房瑞)や、カフェ、レストランの内装づくりには、運営事業者のご家族や地域ボランティア、子どもたちにもワークショップ形式で参加してもらい、力を合わせて“場をつくる”体験もできました。このプロセスは、「子どもたちのまちづくり参画のロールモデルになり得る」として高く評価され、2021年度キッズデザイン協議会会長賞を受賞しています。2024年度には国土交通省住まい環境整備モデル事業で先導モデルに採択されるなど、さらなる持続可能な拠点として日々成長を続けています。