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サプライチェーン・マネジメント

基本的な考え方

 積水ハウスでは、公平・公正や信頼関係を基盤とし、「最高の品質」「強靭な供給体制」「合理的な価格」に「ESGの推進」を加えた調達方針を基本として、サプライチェーンを含めた持続可能な社会の実現を目指して、社会・環境に配慮したCSR調達に取り組んでいます。
 サプライチェーンにおける人権、労働、脱炭素など、CSR調達の課題に取り組むには、サプライヤーからさらにそのサプライヤーへと、働きかけの輪を広げていくことが不可欠です。そのため、サプライヤーのモニタリングに加えて、説明会などを通じたエンゲージメント活動にも注力し、サプライヤーの皆様とともに取り組んでいます。

QDC+ESGの推進

推進体制

 サプライチェーンにおける社会・環境に関する課題については、ESG推進委員会において重点課題として定めています。そのうち、人権や労働等の課題は社会性向上部会傘下の人権デュー・ディリジェンスミーティングで、脱炭素や木材調達などの課題は環境事業部会にて議論を重ね、取り組みを進めています。
 サプライチェーンのマネジメントについては、技術・生産部門担当役員のもと、関係各部署による相互協力を基盤として取り組んでいます。調達担当部署では、ESGの重点課題や品質、供給面のBCP(事業継続計画)に関して、「年度活動方針説明会」や各種勉強会などの開催を通して、サプライヤーの理解や意識向上を図っています。勉強会などの開催にあたっては、環境・人権など専門部署と十分な協議を行い、会社として一致したメッセージを発信するよう努めています。
 また、調達担当者は、ガイドラインをはじめ各種規定類を常時参照可能であり、常に最新の法令や社会課題と合致させるよう、部内の勉強会やワーキング活動を通して継続的な改善を行っています。

CSR調達のPDCAの実践

 積水ハウスは、2018年の国連グローバル・コンパクトへの署名を機に「グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)」のサプライチェーン分科会に参加し、サプライヤーに向けてGCNJ版SAQ(自己問診票)に準拠した「CSR調達ガイドライン*1」を制定しました。以来、サプライヤーには、ガイドラインの趣旨と内容を理解して遵守すること、その取り組みに関して定期的な確認または監査に協力することについて「同意確認書」の提出を求めるとともに、毎年春の「年度活動方針説明会」でCSR調達の意義や重要性の説明を行っています。
 また、毎年末にGCNJ版SAQに基づく自己診断チェックシートによる「CSR評価」を実施し、ガイドラインへの遵守状況を確認しています。これらの取り組みをもってCSR調達のPDCAを実践することにより、サプライヤーに対して社会的な責任に対する認識を高め、CSR調達を深化させています。新規サプライヤーの採用時には、事前に規定に基づいた評価を行い、ESGの観点からも適性を確認します。そのうえで、CSR調達ガイドラインの趣旨と内容を理解いただき「同意確認書」への署名および提出をいただいてから当社との取引を開始しています。

*1 GCNJ版SAQに準拠し、①コーポレートガバナンス、②人権、③労働、④環境、⑤公正、⑥品質・安全性、⑦情報セキュリティ、⑧サプライチェーン、⑨地域社会との共生 の9項目で構成

サプライヤーに向けた「年度活動方針説明会」の実施

 当社では、CSR調達を推進するため、毎年、サプライヤーに対して「年度活動方針説明会」を開催しています。サプライヤーに当社の調達活動への理解を深めていただくことを目的としており、2025年度は主要サプライヤー約220社が参加しました。説明会は、当社の調達活動に対する理解促進を目的としており、「CSR調達ガイドライン」の趣旨と内容の理解と遵守を要請するとともに、具体的な調達の取り組みを説明しています。
 また、サプライヤーの改善事例を共有し、優良サプライヤーに対する顕彰を行うほか、CSR評価のフィードバックや、社外の専門家によるESG課題に関する啓発のための講演会も実施しています。

「連携強化活動」の展開

 特に重要なサプライヤーとは、重点課題の認識の共通化を図り活動のベクトルを合わせて、改革・改善を推進するために「連携強化活動」を展開しています。2025年度は、計10社とこれらの活動を行いました。

社会課題に関するサプライチェーン方針

 「人権・労働」は、サプライチェーンにおいて重要な社会課題の―つと認識しています。「積水ハウスグループ人権方針」では、当社グループが本方針を遵守するのはもちろんのこと、協力工事店、サプライヤーを含むビジネスパートナーに対しても理解・支持いただきたい旨を表明しています。本方針は、公式ホームページで開示するほか、各種説明会等を通じて、サプライヤーへの周知と遵守を働きかけています。また「CSR調達ガイドライン」においては、「国籍や人種などによる差別」「非人道的な扱い」「強制労働」「児童労働」などを禁止、従業員の安全衛生や健康について主旨と内容を理解したうえで、サプライヤーから「同意確認書」を提出いただいています。

サプライチェーンにおける人権尊重の取り組み

 サプライチェーンにおける人権尊重を進めるためには、サプライヤーからさらにそのサプライヤーへと、働きかけの輪を広げていくこと不可欠と考え、毎年さまざまな取り組みを実施しています。


<年度ごとの取り組み>
2022年度:サプライヤー150社の参加を得て、社外専門家による勉強会を開催し、人権に関する意識向上と基本的知識の習得を促進。同年9月、日本政府による「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」策定を受け、サプライヤー360社に対して人権方針の策定・公開状況を調査。
2023年度:調査結果に基づき、サプライヤー157社と当社調達担当者が参加する勉強会を開催し、政府ガイドラインの理解浸透。
2024年度:サプライヤー279社を対象に「政府ガイドラインの実践ポイント」に関する勉強会を開催。
2025年度:サプライヤー471社を対象に「企業マネジメントの必須科目としての人権」に関する勉強会を開催。


 これらの勉強会には調達業務担当者も参加し、実践的な知識の向上を図っています。今後も継続して、サプライチェーンにおける人権尊重に努めるとともに、社会課題に関する研修の場として勉強会を開催する方針です。

サプライヤーのモニタリング

 CSR評価は、GCNJ版SAQに基づく自己診断チェックシートにより実施しており、コーポレートガバナンス、人権、労働などの9項目について、サプライヤー自身に5つの観点(①法律の認識、②方針、③体制・責任、④取り組み結果の確認、⑤是正)から自社の取り組みを自己評価していただき、結果を点数化し評価するものです。
 既存サプライヤーへのCSR評価において、評価結果から環境や人権などでリスクが発見された場合は、注視すべきサプライヤーとしてWEBまたは訪問により評価基準や到達度に関する助言を行うモニタリングを実施、実態を確認することによりデュー・ディリジェンスを行っています。なお、重大なリスクが発見された場合は、関連部署と協議して適切に対応するとともに、調達先評価の結果点数により取引縮小などの措置を規定しています。CSR評価の対象は、取引金額上位から順に選定しており、調達額全体の95%を超え、重要取引先を全て網羅しています。2025年末、190社に対してCSR評価を行った結果、注視すべきと判断したサプライヤーは、人権面で5社、労働面で4社、サプライチェーン面で5社(重複あり)でした。各社に対してモニタリングを行い、レベルアップを図っています。

 KPI 集計範囲 単位    2023年度    2024年度    2025年度 目標
CSR調達 人権・労働・サプライチェーンスコア 単体 ポイント 88.3   89.0      87.8*2           86.0

*2 2025年度より、対象とする主要サプライヤーを拡大

 また、当社は建設業として大量の木材を消費することから、木材調達に関しては特に厳格な関与が必要と認識し、約60社の主要木質建材サプライヤーに対して、木材調達におけるリスク調査を年1回実施しています。
 さらに必要に応じ、サプライチェーンの最上流である伐採地視察など、国内外を問わず現地確認を実施しています。2025年度の実績としては、調査対象が約60社、現地確認はタイ、ベトナムおよびマレーシアの伐採地や木材サプライヤーに対し実施しました。

社会的問題に関するリスク評価

 2021年度よりサプライヤーに対して、CSR評価での各設問への回答に加え、各種法令への違反内容の報告を求めています。CSR評価結果を補完し、コンプライアンスに抵触しかねないリスクの高いサプライヤーを特定して、迅速な対処を図ります。
 2025年度は3件の報告がありましたが、いずれも行政の指導に従って適切に処理されていることを確認し、コンプライアンス違反は確認されませんでした。また、リスクが高いと判定したサプライヤーはありませんでした。

持続可能な調達の強化

BCP(事業継続計画)の推進

 積水ハウスは、従前からサプライヤーとともに、自然災害における災害初動連絡体制の構築や訓練を行ってきましたが、近年では、自然災害や企業火災にとどまらず、世界的な半導体不足や原材料不足、地政学リスク、サイバー攻撃など、従来では想定し得なかった調達リスクが頻発しています。
 これらのリスクに幅広く対処するため、2021年9月に約160社、2022年9月には約260社に参加いただいて、「サプライチェーン強靭化推進大会」を開催しました。サプライチェーンの強靭化にはサプライヤーからそのサプライヤーへと、働きかけの輪を広げていくことが不可欠です。大会ではBCP強化に向けた当社の活動状況を説明するとともに、サプライヤーの具体的事例を共有し、意識向上を図りました。さらに2023年度以降は、供給リスクと影響度からマッピングを行い、ターゲットを明確にして、活動の実効性向上を図っています。
 また昨今、世界的なサイバー攻撃が拡大していることを受け、サプライヤーに向け情報セキュリティガイドラインを策定しました。勉強会を行うとともに、全サプライヤーに対してガイドラインに基づく評価を実施し、評価結果に応じて個別モニタリングを実施しました。

調達先評価表(サンプル)

「調達先評価」を通したプロセスの改善

 公平・公正な取引を行うため、サプライヤーに対してQDC(Quality、Delivery、Cost)や技術力などについての「調達先評価」を実施しています。CSR評価も「調達先評価」項目の一つです。各社の体質改善・強化に活用していただくため、評価結果は対象のサプライヤーに開示しています。調達先評価に際しては、結果のみで―律に判断するのではなく、改善を促すプロセスマネジメントを重視しています。
 2025年度に調達先評価を行ったサプライヤーは140社で、調達額全体の76.2%*3を占めています。今後も、より透明性の高い調達先評価の実施とともに、サプライヤーの体質強化支援と公平・公正な取引を継続していきます。

*3 サプライヤー全体に対する調達先評価の実施比率(調達金額ベース。商社は評価対象外)

「パートナーシップ構築宣言」への参画

 当社は2022年11月に、内閣府によって創設された「パートナーシップ構築宣言」に参画しました。本宣言は、サプライチェーンの取引先や価値創造を図る事業者の皆様との連携・共存共栄を進めることで、新たなパートナーシップを構築することを、「発注者」側の立場から企業の代表者が宣言をする取り組みです。88,,000社を超える企業が宣言を行っています。
本宣言では、各企業が下記について専用のポータルサイトに掲載しています。

  1. サプライチェーン全体の共存共栄と規模・系列などを超えた新たな連携
  2. 親事業者と中小受託事業者との望ましい取引慣行(「振興基準」)の遵守