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キッズ・ファースト
基本的な考え方
積水ハウスグループは創業以来、住宅は重要な社会資本の一つであると考えています。社会資本であるからこそ、長期にわたり住み継がれていく良質な住宅を残すことが私たちの使命であり、そこに住まう人々の幸せを実現することも、私たちが担う役割だと認識しています。
一方で、日本の子どもたちの精神的幸福度は先進国の中でも特に低いと言われています。未来を生きる子どもたちにとっての影響が大きいこの課題を軸に、当社グループが果たすべきアプローチとして、「感性を重視したキッズ・ファースト」を位置づけました。
子どもたちが感性豊かに幸せに育てば、近い将来、発想豊かな大人になり、日本の社会にイノベーションを起こしてくれるだろうという考えのもと、事業を通じた「子どもたちへの感性アップ支援」、活動を通じた「子どもたちへの住育」、社会貢献を通じた「積水ハウス マッチングプログラム(従業員と会社の共同寄付制度)」の3つの取り組みに重点を置き、子どもたちの幸せづくりの一助となる施策に取り組んでいます。
子どもたちへの感性アップ支援
当社では、長年の住生活研究開発のノウハウをもとに、「積水ハウスのキッズでざいん コドモイドコロ」として、子どもの生きる力を育む「居どころ」づくりと、安全・安心と自主性を考えた「子どものためのスマートユニバーサルデザイン」を提案しています。この提案では、子どもたちが自ら育とうとする「子育ち」に着目しています。
「子育ち」の視点で、重要になってくるのが「感性」「身体」「知性」「社会性」の4つの力です。この4つの力は子ども時代に著しく発達をとげ、生涯を通じて重要な「生きる力」になります。また、子どもの発達には段階があり、当社では発達心理学の理論をもとに、現代の日本の子どもたちに即して6つの発達段階に分けています。
4つの生きる力を発達段階で見ると、それぞれに特に重要な時期があります。この子育ち視点の考え方から、当社のキッズでざいんのコンセプトを「子どもの生きる力を育む家」とし、発達に適した時期に4つの力を伸ばす提案としています。
「感性」は、「五感(体感力)」やその感覚に伴う感情「好奇心」「情緒力」「表現力」などです。重要発達期が乳児期から幼児期前期にあり、ごく幼い時期から体験を通して身につく力です。もちろん、重要発達期以外の各段階でも発達します。
当社の考える「子どもたちへの感性アップ支援」は、子ども視点のものづくり・まちづくり、すなわち、子どもたちの「感性」「身体」「知性」「社会性」をよりよく伸ばすための大切な住まい・まちを提供するため、感性の発達を促す提案を強化し、キッズでざいんを拡充することと考えています。
キッズデザイン賞の受賞実績
感性アップ支援の取り組みを評価・発信していくために、「キッズデザイン賞」への応募を行っています。キッズデザイン賞は、特定非営利活動法人キッズデザイン協議会による、子どもや子どもの産み育てに配慮したすべての製品・サービス・空間・活動・研究を対象とする顕彰制度です。
当社は、第1回から19年連続、累計127作品を受賞しており、これは住宅·建設業界の応募企業の中で最多となります。
2025年の「第19回キッズデザイン賞」では、合計6作品が「キッズデザイン賞」を受賞しました。
京都大学包括連携 公開報告会
※京大オリジナル(株)とも連携
事業展開に向けた大学との取り組み
積水ハウスは、子どもたちへの感性アップ支援に向け、大学との連携による研究活動を進めています。2024年からは、京都大学と「子どもの感性発達に有効な住提案に関する知見の拡大・創出」を目的に、3年間の包括連携を開始しました。
1年目は共同研究テーマの探索・設定を目的に、教育心理学や社会学、情報学、認知科学など多様な分野の研究者との議論を実施しました。また、住まいにおける家族のつながりが子どもの感性や幸福感に与える影響を探るため、全国の家族を対象としたプレ調査にも取り組みました。その結果、「人とのつながり」に着目し、身近で住まいとの関連が深い「家族」に焦点を当てた共同研究テーマとして、「住まいにおける子どもと家族との会話によるつながりに関する研究~子どもの感性・社会性の発達を目指して~」を設定しました。
2025年6月には、京都大学にて公開報告会を開催し、1年目の成果や今後の研究方針を報告しました。本報告会では、研究テーマ探索活動およびプレ調査の報告や、住まいにおける家族の会話が子どもの感性や社会性の発達に与える影響について知見を共有しました。また、2年目以降の共同研究の進め方や研究方針についても説明を行いました。加えて、京都大学および当社研究者によるパネルディスカッションを実施し、子ども・家族・住まいの関係性について多角的な視点から議論を深めました。
2~3年目は、設定した研究テーマに基づき、「住まいにおける家族の会話」に着目した共同研究を進めています。家族の会話スタイルの分類と、それらが子どもの幸福感や非認知能力に与える影響分析を行い、家族との会話が自然に生まれる空間に関するエビデンスの構築に取り組んでいます。住まいが家族のつながりを育み、子どもたちの感性や社会性の発達につながる「場」となることを目指し、学術的なエビデンスをさらに強化し、子どもの感性アップ支援の提案力を高めていきます。
子どもたちへの住育
当社では、2008年以降、住まいづくりやまちづくりで培った知識やノウハウを活用し、従業員による出張授業や当社施設を活用した体験授業を実施し、子どもたちが住まいについて楽しく学べる機会を提供しています。国や地方自治体、教育機関などと連携し、住まいや自然など、身近な題材をもとに、体験を通じて子どもたちが主体的に考えるプログラムを実施しています。
2008年度から2025年度までに、当社の従業員が実施する出張授業への参加者数は約2万8千人。工場や展示場、資源循環センターなどで開催する体験プログラムや施設見学などへの参加者数は約7万7千人です。また、「エコ・ファースト企業」で掲げる温暖化防止・生態系保全をテーマとしたプログラムや、当社の本社ビルに隣接する「新・里山」、関東工場の敷地内にある「積水ハウスエコ・ファーストパーク」を活用した環境教育プログラムを提供しています。学校の先生方と企画する授業や、職業講話なども実施し、子どもたちへ働くことの楽しさや役割について考える機会も提供しています。
また、2025年8月には、京都府木津川市に子どもたちの感性を育む大型住育エデュテイメント施設「JUNOPARK(ジュノパーク)」をオープンしました。当社が研究し続けてきた「住」を通してたどり着いた6つの「自分らしい幸せを感じられる感性」につながるさまざまなコンテンツで、遊びながら学ぶ体験とともに、子どもたちの感じる心を育む施設です。
住育エデュテイメント施設 JUNOPARK
JUNOPARKは、「住」にまつわるさまざまなテーマを通して自分らしい幸せを見つけ、人生を主体的につくっていくための感性を育む住育エデュテイメント施設です。2025年8月の開館時から、2万人を超える方にご来場いただいています。
人生100年時代を生きる子どもたちに、「住」に向き合い続けてきた積水ハウスができることのひとつが「日々の暮らしの中で、自分らしい幸せを感じる心」を育むお手伝いをすることでした。
当社の考える「暮らしの中で育まれる6つの感性」をテーマにしたオリジナルプログラムや展示を通じ、「楽しい」「やってみたい」という感情が自然と湧き上がるような体験を通して、子どもたちが自分らしい感性を育む場を目指しています。ここでは「正解は一つではない」「自分で選んでいい」。そんな価値観が受け入れられる空間が広がり、子どもたちが夢中をつくり出し、自分の「好き」や「大切にしたいこと」を見つけていく場所を提供します。
住まいを通じた子どもたちへの学習プログラム
2019年に、積水ハウスは文部科学省・総務省・経済産業省が連携して実施した「未来の学び プログラミング教育推進月間」に住宅・建設業界で唯一の協力企業として参加。全国5カ所にある当社の体験型施設「Tomorrow’s Life Museum」などで、約700人の小学生を受け入れ、当該施設で学んだ知識をヒントに、子どもたちがパソコン上の仮想空間を活用し、自分たちが考える未来の家を制作するプログラミング教育を提供してきました。
また、2021年からは、全国にある当社モデルハウスを活用した「幸せ住まい学習」を実施し、子どもたちの住まいに対する関心や興味を育む体験の機会を提供してきました。モデルハウスに組み込まれた住まいづくりの工夫を、子どもたち自らの視点で探索・発見し、普段触れる機会が少ない住まいの側面を体感する内容となっています。モデルハウスなどで実物に触れる現場見学型と、学校にいながらタブレットを活用して疑似体験するオンライン型を実施し、約600人の子どもたちが参加しました。
新たな取り組みとして、2025年3月に、CVCファンド「積水ハウス投資事業有限責任組合」が支援する株式会社RePlayceとともに、子どもたちの豊かな感性を育む住育プログラム「もしもわたし/ぼくが家を建てたら?自分ハウス選手権」を小中学生へ実施しました。未来を生きる子どもたちの幸せにつながる感性を重視した住育プログラムを今後も展開していきます。
体験授業「Dr. フォレストからの手紙」
Dr. フォレストと称する緑の専門家である当社の従業員が、校庭などの自然を使い生物多様性に関する授業を実施しています。子どもたちがミッションをクリアしながら、緑と生き物の関わりを楽しく学び、身近な自然を守る行動につなげていくことを目的としています。本プログラムをベースにした教員研修(教育委員会、教科研究会などが主催する研修会への講師派遣)などの要望にも対応しています。
出張授業「“いえコロジー”セミナー」
講師である当社従業員とともに、暮らしの中でできる省エネについて学ぶ実験型プログラムを実施しています。住宅の断熱性能の比較と省エネ機器の性能の理解をテーマに、子どもたちが地球温暖化と暮らしの関わりを学び、エコな暮らし方の理解と自発的な行動を促す機会を提供しています。
特別協賛「第7回Minecraftカップ」
当社は2021年度以降、ゴールドパートナーとしてMinecraftカップ全国大会に協賛し、子どもたちのデジタルものづくりを応援しています。Minecraftカップは、子どもたちのプログラミング思考の醸成に向け、世界各国の教育現場で活用されている「Minecraft Education(教育版マインクラフト)」を活用した作品コンテストです。第7回となる2025全国大会は、「まちづくり」と「たてもの」の2部門836作品の応募がありました。まちづくり部門では、海外を含めた14ブロックから勝ち進んだファイナリスト28組が最終審査に進みました。
住育への子ども参加人数
| 単位 | 2008~2025年度 | |
|---|---|---|
| 従業員による出張授業への参加(延べ) | 人 | 28,520 |
| 当社施設見学・体験プログラムへの参加(延べ) | 人 | 76,873 |
※ 2025年度より子どもと一緒に参加した大人の数も含む
積水ハウス マッチングプログラム
積水ハウスグループでは、従業員と会社の共同寄付制度「積水ハウス マッチングプログラム」を2006年より実施しています。従業員の寄付と同額を会社が拠出するマッチングギフト形式の「こども基金」「環境基金」を創設し、子どもたちが幸せに暮らし続けられる社会・環境づくりを目的に、非営利団体への助成を実施しています。
短期的な支援だけではなく、中長期的な団体の基盤づくり支援も実施し、2006年度の制度開始以降、2025年度までに延べ696の非営利団体へ約5.5億円を助成しています。2025年度末時点で、7,365人のグループ従業員が制度へ加入しています。
積水ハウス マッチングプログラム助成額
| 集計範囲 | 単位 | 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 従業員と会社の共同寄付総額 | グループ(国内)*1 | 万円 | 5,055 | 5,302 | 5,200 |
| 共同寄付制度加入従業員 | 人 | 7,944 | 7,628 | 7,365 | |
| 融合した従業員発案アイデア | ー | 件 | ― | 117 | 117 |
| 助成プロジェクト | 94 | 56 | 53 |
*1 2023年度は、積水ハウスおよび国内主要グループ会社(鴻池組を除く)、積水ハウスフィナンシャルサービス、積水ハウスアセットマネジメント、2024年度は積水ハウスイノベーション&コミュニケーションを含み、2025年度は積水ハウス梅田オペレーションも含む
2023年度より、「SHIP(創発型表彰制度)」へ投稿される従業員発案の社会貢献やソーシャルイノベーションにつながるアイデアと、非営利団体の活動を融合したプロジェクトを企画し、助成を行う申請を開始しました。
2024年8月から11月末までに非営利団体とプロジェクトを企画し、2ヵ月にわたる社内審査を経て、53プロジェクトへ5,200万円の助成を決定しました(2025年度助成)。地域社会との共創を通じてさらなる社会課題の解決を実現していきます。助成対象プロジェクトの中には、空き家や廃材の有効活用、子どもたちの居場所づくりや体験機会の創出、環境保全活動など117件の従業員発案アイデアが含まれています。
積水ハウス マッチングプログラムの助成団体は、共創パートナーであると考えています。従業員のアイデアと非営利団体との活動を融合したプロジェクト企画をきっかけに、当社グループ従業員のボランティア活動への参加のみならず、助成団体の活動拠点となる建物の改修や新規事業へ向けた連携等、当社グループの事業領域での連携事例も広がっています。
2025年度助成プロジェクト
NPO法人「レイライン」との共創プロジェクトでは、経済的に困難な家庭の子どもたちを対象に、シャーメゾンを活用した無料の学童クラブを開放し、マインクラフトを使ったプログラミング教室や絵画教室など、多様な教育機会を提供しました。十分な経験を得られず、自分自身に価値を見出しにくい状況にあった地域の子どもたち330人が、この場所で出会った夢中になれる体験を通して、誰かに認められる喜びを知りました。一つひとつの体験が、子どもたちの胸の奥で小さな灯火となり、やがて「自分もできる」という確かな自信へと育まれています。
また、NPO法人「チーム1.5おおいた」との共創プロジェクトには66人の子どもたちが参加し、「子ども地球教室」の活動を通して、森の香り、川のせせらぎ、地域の暮らしに触れながら、子どもたちは、「地球は守られるべき」ではなく、「自分たちが共に育んでいく存在なのだ」と感じ取ります。こうした気づきは、環境への意識を高めるだけでなく、自ら行動する人へ成長する力そのものを育てています。これらの活動に参加していた子どもが、今では団体のスタッフとして地球や地域が持続するための活動に携わり、かつて体験した学びと喜びが、今度は支援する側として未来の子どもたちへ受け継がれ、好循環が生まれています。子どもたちの小さな一歩が、地域に、そして未来に、大きな希望の芽を育てています。
新しい芸術文化を発信「絹谷幸二 天空美術館」
当社は、芸術文化振興による社会創造を目指し、文化勲章受章画家でフレスコ画(壁画の古典技法)の第一人者として日本の美術界を牽引した故・絹谷幸二氏の作品を展示する『絹谷幸二 天空美術館」を、本社のある梅田スカイビルに開設・運営しています。色彩豊かな絵画や立体作品の展示に加え、作品世界に飛び込む3D映像や、生前の絹谷氏が館内やアトリエを紹介するVR映像などの体験型コンテンツも提供しています。2016年12月の開館以来、累計来館者数は50万人を超え、国内外から多くの方にご来館いただいています。
キッズ・ファーストの理念に基づき、地域の小学校の校外学習の受け入れを積極的に行うとともに、作品をじっくり見る力を育む鑑賞プログラムを実施し、子どもたちの学びと創造性を支援しています。さらに、2021年からは小中学生を対象とした「キッズ絵画コンクール」を毎年開催しており、第5回となる2026年には日本全国に加え海外からの応募も増え、2,223点の作品が寄せられました。このように、唯一無二の体験型ミュージアムとして学びの場を提供しながら、芸術文化の魅力発信を継続しています。
第5回キッズ絵画コンクール表彰式
