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労働安全衛生
基本的な考え方
積水ハウスグループでは、従業員ならびに施工協力会社の施工従事者等の安全と健康を第一に考え、日々業務を行っています。企業倫理要項*1および安全衛生管理規則において、職場の安全衛生の確保、快適な作業環境の形成および従業員の健康の維持・増進支援について定め、全役職員に遵守することを求めています。また、施工に携わるグループ会社や施工協力会社で構成される「積水ハウス会*2」や調達サプライヤーなどとも連携しながら、労働災害ゼロを目指し、すべての人にとって安全・安心・快適で健康な職場づくりに取り組んでいます。
*1 2026年2月より、「積水ハウスグループ インテグリティ・コード」として再編 詳細はこちら
*2 2025年2月1日現在、グループ会社の積水ハウス建設ホールディングス株式会社(積水ハウス建設グループを統括する中間持株会社)傘下の積水ハウス建設8社と、施工協力会社約7,000社(積水ハウス建設各社の施工協力会社で構成する「積和会」会員会社を含む)が加盟
労働安全衛生体制
「安全衛生管理規則」で定める安全衛生管理体制は、社長(代表取締役兼CEO 社長執行役員 仲井 嘉浩)のもと、従業員に対しては、人事部門担当役員(代表取締役 副社長執行役員 田中 聡)を配し、人事総務部が統括しています。各事業所では、安全衛生委員会を毎月開催し、職場における労働安全衛生の意識向上や改善に向け取り組んでいます。委員会のメンバーは、等級、資格にかかわらず年齢や性別など多様な属性のメンバーから選出し構成されています。委員会の活動内容は、メールや通知により従業員へ周知しています。加えて、適宜マネジメント層と協議できる体制として、労働者代表を各部門、事業所ごとに管理職ではない従業員から毎年1人を選出しています。
また、特定元方事業者として施工協力会社・施工従事者に対しては、技術・生産部門担当役員(常務執行役員 松村 耕也)を配し、施工管理部が統括しています。施工協力会社・施工従事者に関する全社的な「安全衛生年間計画」を毎年策定するほか、必要に応じて、「労働災害防止対策」も策定しています。安全衛生の水準向上のため、施工協力会社・施工従事者が行う安全衛生および雇用管理に関する教育の指導および援助を行います。
労働安全衛生マネジメントシステム認証の取得
当社の海外拠点の一つであるセキスイハウスオーストラリアの事務所および工場(イングルバーン工場)では、労働安全衛生マネジメントシステムの国際規格であるISO45001を取得しています。2025年8月には、これまで本社およびイングルバーン工場を対象としていた認証範囲を拡大し、戸建住宅事業・マンション開発事業の全拠点を対象とした認証を取得しました。これにより、全拠点の安全・環境・品質を国際基準に基づいて一貫管理でき、法令遵守・継続的改善への取り組みが保証されます。本認証は、毎年外部の監査を受け継続運用しています。
なお、全生産事業所数(国内5工場、海外1工場)に対し、ISO45001の認証取得事業所は上記1ヵ所であり、その割合は16.7%です。
従業員に対する労働安全衛生の取り組み
労働災害防止の対策として従業員に対し安全衛生教育を実施していますが、万が一、当社の従業員に労働災害が発生した場合には、発生した事業所から速やかに人事総務部に連絡し安全衛生委員会などを通じて全社で共有するとともに、安全衛生委員会で要因分析を徹底し、安全衛生意識の向上、不安全行動の防止、災害や疾病につながる長時間労働の抑止などの再発防止策に取り組んでいます。
さらに、業務上、多くの社用車を利用しているため、交通事故発生のリスクが高く、安全運転管理・教育が必要不可欠です。当社では、業務用車両安全運転管理規則を定め、各事業所に車両管理責任者、本社に総括管理者を配置し、各事業所における運行管理の徹底、安全運転指導・教育を行っています。また、全従業員を対象とした交通安全研修を毎年実施しています。
交通安全推進活動
毎年、春と秋に内閣府等が主催する「全国交通安全運動」に合わせ、全従業員を対象とした交通安全推進活動を行っています。事業所ごとに社内で発生した実際の事故映像や安全運転教材動画を視聴し、グループ対話を行うことで、危険予測に対するさまざまな考え方や行動の違いを学び、安全に向けた行動を考える機会としています。また、毎年「飲酒運転防止に係る誓約書」の提出を義務付けると共に、運転時にアルコールチェックの実施を徹底する等、飲酒運転を防止するための取り組みを推進しています。これらの取り組みを通して、一人ひとりが交通ルールを遵守し、安全運転を心がけることで、従業員が当事者となる交通事故の削減に努めています。
施工部門における労働安全衛生の取り組み
施工部門における労働安全衛生マネジメントシステム
積水ハウスは、施工部門において、厚生労働省が推奨する「労働安全衛生マネジメントシステム」に施工現場の特性を加味して独自に構築した「積水ハウス危険ゼロシステム」を組み入れ、安全衛生管理活動を展開しています。労働災害を低減するには、法令や過去の災害からの対策だけではなく、リスクアセスメントにより危険源を特定・評価し、実施事項を年間計画に策定し実行することが肝要です。蓄積してきたノウハウを尊重・継承し、管理ツールを構築・改善することにより全体の底上げを図り、施工現場における安全衛生の確保に最大の効果を上げることを目的としています。
全社の災害・事故の傾向分析を効率化するため、安全管理のシステム化に取り組んでおり、災害発生時の報告・情報共有・情報を管理する「災害システム」や施工現場の安全巡回時の指摘事項・是正確認の記録をシステム化した「安全推進書アプリ」を開発し運用しています。さらに2026年から「施工管理アプリ」を導入し、施工現場の図面確認、現場管理、安全推進書等の情報をデータ上で管理し、施工関係者間の双方向での管理を効果的に進めていきます。このような取り組みを通して、施工現場における労働災害の低減を図っていますが、施工現場で労働災害・事故が発生した場合には、発生した事業所から施工管理部に連絡し、全社で情報共有しています。
安全衛生方針の表明
積水ハウスでは施工現場の安全衛生水準の向上を図るため、以下の安全衛生方針を表明しています。
- 全ての関係者は、安全衛生関係法令及び社内基準を順守する。
- 全ての関係者は、当事者意識をもって施工上の安全確保に取り組む。
- 「公衆災害の防止に重点を置いた施工計画」を立案し、その実施・管理を徹底する。
積水ハウス危険ゼロシステムの概要
2025年度における施工現場の災害防止重点テーマと計画骨子
前年度の施工現場の災害発生状況の振り返りから、2025年度は「墜転落災害の撲滅」「建設機械・クレーン災害の撲滅」「重点施策の定着・推進」を重点テーマとして定め、全社共通の年間計画を作成しました。安全活動の基本事項の徹底と実践を継続し、実効性のある対策を定着させることにより、安全・安心な施工現場実現に取り組みました。
2025年度スローガンポスター
2025年度施工安全衛生年間計画の骨子
- 墜転落災害などの重大災害(人命に関わる災害)は施策の定着を徹底します。
- 建設機械・クレーンについては、転倒および構造物や人への接触など、人命や大規模損壊とならないように、安全施工基準の実践および作業計画の作成、指導を徹底し撲滅を図ります。
- 工具·資材による切る・刺す災害に対し、全施工従事者の耐切創手袋の所持と適正なタイミングでの着用を徹底させます。
重点テーマにおける具体的な取り組みと振り返り
「墜転落災害の撲滅」
- 重大災害(人命に関わる災害)につながるため、現場への指導・教育を強化しました。
- エレベーター開口部墜転落防止対策として、「墜転落防止柵」の工場リース運用を開始しました。
- 脚立・可搬式作業台からの墜転落対策として、適正使用の指導を徹底し実施の定着を図りました。
- 高所作業従事者へフルハーネス型安全帯使用の合同特別教育を実施。作業従事者が適切な使用方法を理解し安全に作業が行えるよう災害の未然の防止対策に努めました。
「建設機械・クレーン災害の撲滅」
- 移動式クレーンの作業計画書作成と、現場掲示の実施率100%の実施を確認しました。
- 玉掛け研修を全国で実施し、全事業所建築課員のクレーン作業時の知識習得による適切な指導体制を強化しました。
「重点施策の定着・推進」
- 切創災害の要因を分析した結果、耐切創手袋使用の有効性を確認し、施工現場で耐切創手袋が適正に所持、使用できる環境を整えました。
- 物の落下防止に対し、リスクの高い足場上作業者へ工具落下防止ワイヤーの装着を推進し、再発防止の徹底に取り組みました。
「災害全般の共通取り組み」
- 2024年12月にKY*3を電子化し、2025年より本格運用を開始しました。管理者と施工者との相互確認をスマートデバイスで行うことによりKYの形骸化防止を図りました。
- 電子化したKYシステムの機能に安全動画の視聴を組込み、作業前の動画視聴により災害防止活動を展開しました。
- スマートデバイスを利用しリモート安全ミーティングによる双方向での対話を重視した安全啓蒙活動の普及を推進しました。
*3 危険(kiken)予知(yochi)の略称。作業の状況の中に潜む危険要因を予知、予測すること。
施工に関わる安全衛生教育研修の実施
全社の安全管理体制を強固なものとするべく、管理者の法令知識、安全基準のさらなる向上を目的として、全国の各拠点に在籍する現場管理者向けの研修を実施し、約2,400名が受講しました。本研修では、管理者層の法令知識や施工現場の安全管理の水準を確認するとともに、管理体制の全国統一化を図りました。この取り組みは、安全意識の高揚を図るとともに知識の定着を目指しています。今後も継続的に実施し、より強固な安全管理体制の構築に努めます。
施工現場の安全性におけるリスクの確認
当社の事業では重機の使用や高所での施工も行います。万が一事故が発生した場合には死亡事故につながる可能性も高いため、各事業所で受注をする新規物件についてはすべての現場確認を行い、マニュアルに沿った施工計画や施工従事者の安全に関するリスクチェックだけでなく、日本国内法に関する地域住民への影響についても計画段階から検討をしています。
安全衛生管理の取り組み
当社の労働安全衛生に関する内部監査として、全95事業所に対し「技術監査(安全審査)」を行っています。これは、従前の重大な事故や違反が発生した場合に実施する後追い型の「特別安全監査」に変わり、施工現場の安全管理の徹底により災害を発生させない予防型の管理にシフトした施策として、2025年より開始しました。
- 安全管理の強化:現場でのリスク低減策を確認し、改善指導を行うことで労働災害防止を徹底。
- 安全意識の定着:監査を通じて施工現場の安全文化を醸成し、持続的な改善を促進。
この取り組みにより、当社はガバナンスの透明性を高めるとともに、社会的責任としての安全確保と品質保証を強化しています。
鴻池組の労働安全衛生への取り組み
グループ会社の鴻池組では、労働安全衛生に対する取り組みとして、全店で建設業労働安全衛生マネジメントシステム(COHSMS)を2014年から継続して認定取得しています。定期的な内部監査や建設現場に対する安全衛生パトロール、職員や協力会社事業主やその労働者を対象とした安全衛生教育を実施することにより、災害事故撲滅に取り組んでいます。
「積水ハウス会」との協同
当社グループの最大の強みが、施工に携わるグループ会社や施工協力会社によって構成される「積水ハウス会」の存在です。創業当初から「責任施工」を実践してきた当社にとって、施工協力会社の存在はかけがえのないものであり、「運命協同体」として長きにわたり信頼関係を育み、常にその絆を大切にしてきました。「積水ハウス会」では、お客様満足を実現するために当社の各事業所と連携し、安全対策や品質向上はもとより、お客様や近隣の皆様への対応、ゼロエミッション活動、現場美化、人財の育成、労働環境の整備など、さまざまな取り組みを進めています。
さらに、各施工現場や施工協力会社が抱えている課題を共有して解決策を検討する情報交換の場や、研修・勉強の場を設け、業務改善や施工改善に努めています。また、地震や水害などの自然災害発生時には、初動対応から復旧・復興活動まで「積水ハウス会」の存在が大きな推進力になっています。これからも「積水ハウス会」とともに、お客様の満足向上に全力を尽くし、積水ハウスブランドの価値向上に取り組み「運命協同体」として共存共栄を目指します。
お客様満足を実現する「運命協同体」としての取り組み
委託業者を含めた現場の安全パトロールの実施
事故を未然に防ぐため、積水ハウスでは各事業所において定期的に安全パトロールを実施しています。安全パトロールでは当社の安全基準に沿って施工を行っているかを確認しますが、当社の現場管理者だけでなく委託業者もともに現場巡回を行います。施工関係者が関わることにより一方的な指摘、指導とならず、より実質的に安全衛生基準を理解する場となっています。
労働災害発生状況
過去3年間の当社グループ従業員の死亡者数は0人です。また、当社の委託業者(施工部門)における労働災害による死亡者数は、2023年度1人、2024年度および2025年度は0人でした。2025年度の当社グループ*4従業員の休業災害度数率は0.82となりました。一方、当社グループ*5の委託業者(施工部門)における休業災害度数率は1.99と向上しました。引き続き、労働災害ゼロに向け、年間計画を立て取り組みを強化していきます。
*4 積水ハウス、積水ハウス不動産グループ、積水ハウス建設グループ、積水ハウスリフォーム、積水ハウス ノイエ
*5 積水ハウス、積水ハウス ノイエ、鴻池組
| 対象 | 集計範囲 | 休業災害度数率(休業1日以上を集計) | 業務上疾病度数率(休業1日以上を集計) | |||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 | 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 | |||
| 従業員 | ||||||||
| 事務部門 |
グループ (国内) |
0.21 | 0.16 | 0.83 | 0.11 | 0.02 | 0.04 | |
| 生産部門 | 積水ハウス(株) | 0.00 | 0.00 | 0.44 | 0.00 | 0.00 | 0.00 | |
|
従業員 (合計) |
グループ (国内) |
0.20 | 0.15 | 0.82 | 0.10 | 0.02 | 0.04 | |
| 委託業者 | ||||||||
| 生産部門 | 積水ハウス(株) | 1.63 | 0.96 | 0.96 | 0.00 | 0.00 | 0.00 | |
| 施工部門 | 積水ハウス(株) | 2.87 | 2.95 | 2.29 | 0.53 | 0.62 | 1.02 | |
|
グループ (国内) |
2.37 | 2.49 | 1.99 | 0.42 | 0.53 | 0.92 | ||
〈算定基準〉
休業災害度数率:100万延べ労働時間当たりの休業災害による死傷者数
業務上疾病度数率:100万延べ労働時間当たりの職業性疾病件数
対象:
- 従業員には、アルバイト・パートは含まない。
- 施工部門の委託業者には、一人親方、事業主を含む。
集計範囲:
- 従業員のグループ(国内)は、2023年度まで積水ハウスと積水ハウス不動産グループ、2024年度は積水ハウスと国内主要グループ会社(鴻池組除く)
- 委託業者(施工部門)のグループ(国内)は、2024年度は、積水ハウス、積水ハウス ノイエ、鴻池組。2025年度は、積水ハウス ノイエの組織再編に伴い、積水ハウス、積水ハウス 建設(ノイエ事業)、鴻池組。
延べ労働時間:
- 従業員と委託業者(生産部門)は、実労働時間に基づき算定
- 積水ハウスの委託業者および積水ハウス建設(ノイエ事業)の委託業者(施工部門)は1人工当たり8時間として算定。なお、積水ハウス(株)特建事業*6の委託業者(施工部門)については、2024年度より実労働時間に基づき算定。
- 鴻池組の委託業者(施工部門)は、1人工当たり9時間として算定
*6 鉄筋コンクリート造などの一般在来工法による建設事業
労働災害度数率(業界平均)
| 2022年度 | 2023年度 | 2024年度*7 | ||
|---|---|---|---|---|
| 総合工事業 | 1.47 | 1.69 | 1.91 | |
| 請負金額 | 10億円以上 | 1.22 | 1.48 | 1.66 |
| 5億円以上10億円未満 | 2.49 | 2.39 | 2.28 | |
| 5億円未満 | 1.89 | 1.88 | 2.32 | |
出所:厚生労働省「令和6年労働災害動向調査(事業所調査(事業所規模100人以上)及び総合工事業調査)の概況」より当社作成。
*7 2025年度データは本レポート発行時には公開前のため、2024年度までとしています。
死亡者数
| 対象 | 集計範囲 | 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 |
|---|---|---|---|---|
| 従業員 | グループ(国内)*8 | 0 | 0 | 0 |
| 委託業者(施工部門)*9 | 単体 | 1 | 0 | 0 |
*8 積水ハウスおよび国内グループ会社
*9 1人親方、事業主を含む
施工現場における労働災害発生状況と対応
- 2025年度の施工現場における休業1日以上の労働災害発生件数は、76件で前年度比76%と減少しました。
- 災害型別でみると、「墜転落」「切る・刺す」「転倒」が全体の約7割を占め、うち「墜転落」「転倒」は休業日数が長期化する傾向にあります。そのため、墜転落では特に発生率の高い脚立の「適正使用」を重要テーマとして施策を展開しました。
- 「墜転落」災害においては、脚立・可搬式作業台災害に対する施策の周知、定着を図るため「脚立・可搬式作業台災害撲滅強化期間」展開し、【危険だよ その使い方 3大災害 命を守る 勇気の一声】をスローガンに脚立・可搬式作業台の使用の適正化を図りました。
- 熱中症(不休災害を含む)は前年度比113%と増加しましたが、90%は休業3日以内の軽症でした。軽減策として、2025年6月の法改正に則り、社内の管理体制を強化するとともに、昨今の気象状況を踏まえ「現場クールプロジェクト」に取り組んでいます。ウインドエアコンの活用やエアコン付き休憩BOXの設置を推進し、現場の作業環境の改善を促進しています。
施工現場における労働災害発生状況*10
| 対象 | 集計範囲 | 単位 | 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 施工現場災害(熱中症を除く) | 委託業者(施工部門)*11 | 単体 | 件 | 97 | 100 | 76 |
| 熱中症 | 18 | 21 | 34 |
*10 休業1日以上の災害件数を集計
*11 一人親方、事業主を含む
災害型別・施工現場労働災害発生状況(不休災害含む/熱中症除く)
