[ English ]

化学物質等における環境汚染への対策

ガバナンス

推進体制

 関連する部門で使用する、汚染の予防に関連する化学物質等について、環境事業部会でその有用性とリスクを確認し、必要に応じて改善を指示するなど、適正な使用状況の監視・監督機能を確保しています。

戦略

化学物質による汚染防止

 積水ハウスは住宅のライフサイクルを通し、法規制を超えた汚染の防止、予防をするために、EVABAT(経済的に実行可能な最良利用可能技術)の適用による化学物質利用リスクの最小化を目指しています。化学物質の対応において、当社は、2007年に策定した「化学物質ガイドライン」を規範とし、化学物質マネジメントを維持してきましたが、2024年8月より、より強固なマネジメントに移行するため、製品の各ライフサイクルフェーズと関連する部門の手順との関係性を整理、内部の製品設計審査等の規定と「化学物質ガイドライン」の内容を統合しました。この統合により「化学物質ガイドライン」は同月をもって廃止としました。

ライフサイクルフェーズと部門•予防手順•リスク対象の関係

ライフサイクル
フェーズ
部門 設計・開発部門 生産部門 施工部門 設計・開発部
予防手順 リスク対象 環境配慮
設計
ISOに基づく
環境管理等の
基準・手順
施工管理の
基準・手順
住まい手に
影響が少ない
環境配慮設計
製品の
有害物質使用
情報の提供
1 製品設計、開発時 製品ライフサイクル全体に影響        
2 サプライヤー生産時 生産時におけるサプライヤー従業員へのばくろリスク

生産時における自然環境への汚染リスク
       
3 当社工場
生産時
生産時における従業員へのばくろリスク

生産時における自然環境への汚染リスク
     
4 施工時 部材取り扱い時の従業員へのばくろリスク

施工廃棄物の不適正処理による自然環境への汚染リスク
     
5 居住時 居住者のリスクは環境配慮設計にて対応      
6 製品廃棄時 解体施工時の従業員へのばくろリスク

廃棄物の不適正処理による自然環境への汚染リスク
     

配慮の優先順位

レベル 配慮の対象 適用対象事例 運用基準(criteria)
1 日本国内法規制により、使用が禁止されている化学物質 【アスベスト:石綿健康被害防止法等の対象】
【オゾン層破壊物質:オゾン層保護法に基づく特定物質】
【化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律第1種特定化学物質】
使用禁止、含有製品を採用してはならない。
2 リスクマネジメントの観点から管理体制等の確認を行い、必要に応じ使用量削減、代替物質への変更など進める化学物質 【労働安全衛生法第57条のリスクアセスメント実施義務がある危険・有害物質】<厚生労働省>
【シックハウス症候群等原因物質】<厚生労働省により指針値を示されたもの>
【土壌汚染対策法第二種特定物質】<環境省>
含有製品採用時は汚染の防止が確実に果たされることを確認する。若しくは性能と経済面とのバランスを考慮しながら代替物質への変更、使用量の削減などを検討する。
3 上記以外の日本国の環境関連法で規定されている化学物質全て 【PRTR法指定対象物質】<経済産業省等>
【毒物及び劇物取得法政令で定めるもの】<厚生労働省>
必要に応じた法規制内容の順守、使用量の把握と行政報告・情報公開などを行う。

※ 汚染:本章では必要な防護策を怠るなどで生態系や人の健康に悪影響を及ぼす状態を汚染とします。

有害廃棄物の適正処理に関する方針

 積水ハウスグループは、事業に伴い生ずる廃棄物のうち、廃棄物処理法で規定する「特別管理産業廃棄物(バーゼル条約で規定する特定有害廃棄物等を含む)」を、本書で扱う「有害廃棄物」としています。「有害廃棄物」は、各種法令、行政や業界団体等のガイドライン等に基づき適正に処理(保管~収集運搬~処分)を行っています。
 「有害廃棄物」の発生源は、主に「工作物の建設工事及び解体工事(改修工事を含む)」と「工場部材生産に伴い副次的に生ずる化学物質の残渣」になります。「工作物の建設工事及び解体工事(改修工事を含む)」では、廃石綿等、石綿を含有する保温材・断熱材・耐火被覆材、鉱さい、基準値を超える汚泥、その他建設工事に係る有害廃棄物等が現場状況によって発生することがあります。
 これら有害廃棄物の処理は、原則として自然環境へ排出されない防止処置を施した管理型最終処分場で埋め立てられます。「工場部材生産に伴い副次的に生ずる化学物質の残渣」は、それぞれの性状、性質により中和、還元処理や焼却熱回収などを通じ全量リサイクル処理されています。
 有害廃棄物の中で環境負荷が大きい工場由来の有害廃棄物について、工場は、事故、地震等災害などの緊急時における汚染の予防と緩和の手順を定め、適宜テストを繰り返すことにより、緊急時においても自然環境への排出ゼロを維持する様に取り組んでいます。

リスク管理

化学物質による汚染リスクへの対応

 製品に使用する化学物質については利用リスクに応じた管理レベルの設定などで、企業活動と化学物質対策のバランスを考慮した運用に常に努めていく必要があります。当社は製品のライフサイクルの各フェーズに応じた各種の基準・手順を内部規定により定め維持しています。

土壌・地下水汚染に関するリスクへの対応

 自社保有地はもとより、土地取引のプロセスにおいても調査、対策などを通して管理することで、二次汚染の防止などリスクの最小化に取り組んでいます。
 土地の購入・販売代理の契約に先立ち、独自の土壌汚染チェックシートを用いた事前審査制度(調査内容:土地の利用履歴変遷調査、地形・地質・地下水に関する調査、自治体による周辺の環境測定データ調査、現地視察調査、順法確認)を運用することで、土壌・地下水汚染に関するリスク特定を実施しています。
 工場跡地など土壌汚染の可能性がある土地については、売主が自主調査を実施するケースが増えています。当社では土地購入の際、その調査報告書の内容を専門部署で精査し、情報の網羅性に問題がある場合は売主に追加調査を依頼しています。
 汚染のおそれがあると判断された場合は、指定調査機関を交えた分析を行い、取引の妥当性を評価しています。また、調査の結果、土壌汚染が判明し、その程度(濃度および分布)が軽微な土地(主に重金属などに汚染された完全浄化が担保できる土地)については土壌入れ替えによる浄化などを実施し、販売にあたっては対策を講じたことを重要事項として説明しています。
 自社保有地のうち、措置を怠ると汚染リスクにつながる国内工場においては、調査、予防対策、日常管理、緊急時の対応(汚染の防止と緩和)手順などを定め、汚染のリスクマネジメントを実施しています。

有害廃棄物の適正な処理のための取り組み

 取り扱う有害廃棄物(特別管理産業廃棄物)の約95%は既存構造物から排出される廃石綿(レベル1、レベル2)であり、これらは特別管理産業廃棄物として厳密な処理を行っています。残りは国内生産工場で扱う原料の化学物質を使用した後の残渣物質が主な対象です。
 国内工場において排出される特別管理産業廃棄物については、廃棄物処理法、その関連法令(特定化学物質障害予防規則など)や業界のガイドラインの遵守にとどまらず、重大な環境影響につながる事故および緊急事態の可能性を特定し、有害な環境影響を防止する、または影響の拡大を最小限にするための緩和処置を行う手順を定め、事故および緊急事態への準備と対応の手順の年1回のテストや内部監査を通じ、対応手順の有効性を維持しています。

指標及び目標

工場生産における化学物質の大気など工場外排出

  集計範囲 目標 2022年度 2023年度 2024年度 2025年度
PRTR法*1対象物質
積水ハウス(株)
  • 適切な防護措置の継続
  • 化学物質起因の事故ゼロ維持
工場生産における化学物質起因の災害事故は発生していません 同左 同左 同左
揮発性有機化合物(VOC)
大気排出量*2
2010年度比
60%減
78%減 87%減 89%減
  集計範囲 単位 2022年度 2023年度 2024年度 2025年度
PRTR法対象物質の
排出量・移動量*3
積水ハウス(株) t 48 59 55
PRTR法対象VOCの排出量*3 20.0 18 11.5
PRTR法対象外VOCの排出量*3 42.9 43.8 43.9
硫黄酸化物(SOx)排出量 0.052 0.047 0.052 0.083
窒素酸化物(NOx)排出量 3.37 3.17 2.72 6.02

*1 PRTR(Pollutant Release and Transfer Register)法:特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律。これに政令で指定された一定の条件に合致する事業者は、指定された化学物質の排出量と廃棄量について、年1回の報告が義務づけられています。
*2 揮発性有機化合物VOCについては、一般社団法人プレハブ建築協会「エコアクション2020」の管理調査におけるVOC大気排出量確認対象物質の80物質の排出量を確認・監視しています。
*3 行政年度報告のため、本レポート対象期間とは異なる2023年4月~2024年3月の集計数値となります。

工場生産における化学物質の大気など工場外排出

  目標 2023年度 2024年度 2025年度
工場生産時
  • 有害廃棄物の自然環境への排出ゼロ維持
不適正な処理、飛散事故はありません 同左 同左
施工時
  • 適切な防護措置の継続
  • 化学物質起因の事故ゼロ維持
化学物質起因の事故は発生していません 同左 同左
自然環境
(土壌)
  • 土地購入時における重大リスクゼロ維持*4
法基準を超える汚染地もしくは未対策土地の購入(販売)はありません 同左 同左
施工廃棄物
  • 新築工事における有害廃棄物の環境への曝露ゼロ維持
曝露事故は発生していません 同左 同左
解体廃棄時
  • 当社が請け負った解体工事における有害廃棄物の自然環境への排出ゼロ維持
環境への排出事故は発生していません 同左 同左

*4 重大リスクにはブラウンフィールド(産業活動などに起因した汚染土地の存在、もしくは存在する可能性により遊休化した土地)の再開発を含みます。

汚染、廃棄物、原材料使用が及ぼす費用(シャドウコストを含む)並びに、影響の軽減又は防止に向けた研究開発投資

 当社の生産工場では、資源循環センターにおいて、施工現場等からの排出物を取り扱い、資源循環に向けたプラスチック製品の分別、金属等有価物の回収などを行っています。2025年度の集荷拠点運営から資源循環センター運営費用まで(外部経済コストを含む廃棄物課題が及ぼす費用)は17億2百万円でした。
 また、当社グループの鴻池組では有機フッ素化合物の処理技術や施設・設備解体の自動化技術開発のため105百万円を試験研究のために投資しています。

その他の取り組み

都市のブラウンフィールドの再開発に関するエビデンス

 不動産購入においては、当社基準のもと、全件で土壌汚染チェックシートに基づきリスク評価を行っています。土壌汚染のおそれがあると判断した場合は専門部署に相談ののち、土壌調査や汚染対策を行ったうえでお客様に販売しています。当社が開発している、地域の課題解決とコンパクトシティを具現化する複合開発「ミラまち」は、愛知県豊橋市の27haの工場跡地に対するリスク評価を経て誕生しました。
 また、グループ会社の鴻池組では、工場跡地などの再開発のため、有害物質の漏出や重金属、揮発性有機化合物などによる土壌汚染対策について、調査結果を踏まえて豊富な実績と技術メニューから最適な対策方法の計画・提案および対策の実施を行っています。例えば、水銀による土壌汚染が判明した工場跡地において、現場内に仮設の土壌洗浄設備を設置し、汚染土壌を洗浄する工事を行いました。土壌洗浄による処理では通常水による洗浄を行いますが、小さな土粒子に強固に吸着している水銀は、水洗浄だけでは落ちにくいため、専用の溶媒を使用して水銀を土粒子から分離・除去します。処理能力は150m³/日で、1ヵ月で平均3,000m³の汚染土壌を処理することができます。現地で洗浄処理することで、洗浄後の土壌を掘削後の埋戻し土として再利用できるため、購入土等が不要となります。また、従来の場外搬出による処理に比べて、工事車両の出入を大幅に低減することができます。