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相続等により取得した空き家の譲渡所得3,000万円特別控除の特例

税理士法人今仲清事務所 税理士 今仲 清

3.被相続人との共有物件の場合

空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除の特例は、相続又は遺贈(死因贈与を含みます。)によって取得した被相続人居住用家屋とその敷地について適用があります。被相続人居住用家屋とその敷地のうち、相続人が被相続人の相続開始前にすでに共有によって所有している相続人所有部分については、この特例の適用はありません。

4.譲渡所得の相続税の取得費加算の特例との選択適用

相続した土地等を相続税の申告期限の翌日から3年を経過する日までに譲渡した場合には、相続税額の一部を取得費に加算して譲渡所得を計算することができる特例がありますが、「空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除の特例」はこの特例との選択適用となります。この「譲渡所得の相続税の取得費加算の特例」は、取得費に加算できる相続税額が、相続によって取得した財産を譲渡した者が納付すべき相続税額に相続によって取得した財産価額の合計額に占める譲渡した財産価額の割合を乗じた額となりますので、多くの場合が「空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除の特例」の適用を受けたほうが有利になると考えられます。一方で、相続によって財産を取得した人の相続税額が3,000万円を超える場合であれば、例えば、相続した財産のすべてが被相続人居住用家屋とその敷地で、そのすべてを譲渡したときには、譲渡所得の相続税の取得費加算の特例を選択した方が有利になります。譲渡所得の相続税の取得費加算の特例を選択した方が有利になる場合は、次の条件を満たす場合でしょう。

<特例のイメージ>

5.相続税の「小規模宅地等の課税価格の特例」との適用関係

被相続人の居住用家屋の敷地を相続する場合、特定居住用宅地等については、相続税の課税価格から面積330㎡までその評価額の80%を減額できる特例(「小規模宅地等の課税価格の特例」)があります。被相続人の居住用家屋が相続後に空き家となった場合であっても、次の2つの要件を満たせば、この特例の適用が受けられます。

1 被相続人に配偶者又は相続開始直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋に居住していた親族でその被相続人の相続人がいないこと
2 相続人(取得者)が相続開始前3年以内に日本国内にある自己又はその配偶者、その者の3親等内の親族・同族会社・一般社団法人等が所有する家屋に居住したことがなく、かつ、相続開始時に居住していた家屋を(相続前に)所有していたことがないこと

このような場合、小規模宅地等の課税価格の特例の適用を受けた上で、空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除の特例の適用を受けることもできます。
ただし、小規模宅地等の課税価格の特例においては、その宅地等を相続税の申告期限(相続から10か月以内)まで所有していることが要件とされていますので、相続してすぐに譲渡しないようご注意ください。

6.他の特例との適用関係

居住用財産の譲渡所得の3,000万円特別控除の特例の適用を受けた場合、その年、その翌年及びその翌々年に特定居住用財産の買換え特例、居住用財産の買換えの場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除、特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除、住宅ローン控除の適用を受けることができません。しかし、空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除の特例の適用を受けてもこれらの制限は課されないこととされています。ただし、同一年内に居住用財産の譲渡所得の3,000万円特別控除の特例を併用する場合に限り、2つの特例を合わせて3,000万円が控除限度額となりますのでご注意ください。

7.適用時期

この特例は平成28年4月1日から令和5年12月31日までの譲渡に適用することとしており、相続の時から相続開始日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までが譲渡期限とされます。

※本サイトに掲載の内容は、令和2年7月現在の法令に基づき作成しております。

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