取得するだけでなく、育休期間をより良いものにしていくために

積水ハウスは2019年より、男性の育休取得をより良い社会づくりのきっかけとしたい、との思いから、9月19日を「育休を考える日」として記念日に制定し、産官学で男性育休を考えるプロジェクト「IKUKYU.PJT」を実施しています。その一環として、「男性育休白書2025発表会」を開催。7年目となる今回は、「共育(トモイク)プロジェクト」や男性の育休取得実態調査、育休取得者や賛同企業の事例などを紹介し、より良い育休期間を過ごすためのヒントを探りました。

主催者挨拶

執行役員 ESG経営推進本部長
山田 実和

ESG経営推進本部長の山田から、積水ハウスが男性育休取得促進に取り組むきっかけとなったエピソードや具体的な取り組みなどについて発表し、挨拶を行いました。

育休は、家族の幸せを育み、未来の家族の形をつくっていく時間

積水ハウスは “「わが家」を世界一幸せな場所にする”というグローバルビジョンを実現するため、まず社員とその家族が幸せになることが重要と考え、男性の育休取得推進を積極的に推進しています。きっかけとなったのは、2018年に代表取締役の仲井がスウェーデンを訪れた際、平日の公園でベビーカーを押す父親たちの姿に衝撃を受けたことでした。当たり前のこととして育児を楽しむ父親たちの姿がとても幸せそうで、当社社員にもぜひそうであってほしいと考え、すぐに「男性育児休業(育休)制度」の運用を開始。それ以降、1カ月以上の育休取得率100%を継続しています。


2019年からは、さまざまな立場の方々とともに男性育休を考えるプロジェクト「IKUKYU.PJT」を毎年開催。「日本でも男性の育休取得が当たり前になる社会を目指す」とのビジョンのもと、男性育休白書の制作やCM放映、SNS発信などを通し、育休は家族の幸せを育む時間でもあるというメッセージを社会に届けています。また、積水ハウスは子育てを応援する社会を先導するキッズ・ファースト企業として、子どもたちが健やかに育つ社会の実現を目指しています。未来を生きる子どもたちの幸せを企業活動の柱に据えるこの考えは、育休取得の推進にも通じています。


育休は単なる制度ではなく、人生の大切な1ページです。子どもと過ごす時間、パートナーと協力し合う時間、そして自分自身と向き合う時間。そのすべてが、未来の家族の形をつくっていきます。そのためにも、育休を取得するだけでなく、誰もがより良い育休期間を過ごすことが大切です。積水ハウスは、これからもさまざまな取り組みを推進し、皆様と力を合わせて歩んでまいります。

厚生労働省 「共育(トモイク)プロジェクト」

厚生労働省 雇用環境・均等局 職業生活両立課長
上田 真由美 氏

厚生労働省の上田真由美氏より、2025年7月からスタートした共働き・共育て推進事業「共育(トモイク)プロジェクト」について、厚生労働省の調査データとともにご紹介いただきました。

社会状況や若年層の意識の変化を踏まえ、新プロジェクトを始動

「共育(トモイク)プロジェクト」とは、男性の育休取得促進・柔軟な働き方を実現するための措置の導入・活用促進により、共働き・共育てを定着させていくための広報事業です。2010年度より実施していた「イクメンプロジェクト」の後継事業として、2025年7月よりスタートいたしました。


まず、男女の育児休業の取得率を見ると、女性は8割台で推移。女性と比較すると低水準ではあるものの、男性の取得率もここ数年は急速な上昇傾向にあり、2024年度では40.5%となっています。育児休業の取得期間については、女性の9割以上が6カ月以上、男性は約4割が2週間未満。男性の取得期間も伸びてきていますが、依然として女性に比べて短期間の取得が多いという状況です。働き方にも関連してくる家事関連時間は、妻が6時間32分であるのに対し、夫は1時間57分と3.4倍の差があります。


仕事と子育てのジェンダー意識においては、若年層に顕著な特徴が見られます。例えば、子どもの毎日の送迎や熱を出した時の対応、掃除や洗濯など日常的な家事などに関し、若年層の7割以上が「性別は関係ない」と回答。育休取得についても、男性・女性ともに7割以上が「性別は関係ない」と回答しています。また、若年社会人の約8割、男性の7割が1カ月以上の育休取得を希望。就職活動の際にも、男性の育休取得率や育休取得者をカバーする社内のサポート体制などを重視する傾向が見られます。


こうした社会状況や若年層の意識の変化などを踏まえ、新たに始動した「共育(トモイク)プロジェクト」。男性の育児参画や育休取得率の向上に留まらず、男性・女性の家事育児分担の見直しや、仕事と家庭の両立を難しくしている働き方の見直しなどを一体として積極的に進めてまいります。特に力を入れていきたいのが、「企業版両親学級の取組促進」です。各家庭でどのように家事・育児分担を行っていくのかを考えるきっかけになる取り組みとして、それぞれの職場において広く進めていただけるようにしていきたいと思っております。

「男性育休白書2025」発表

男性の育休取得がもたらすポジティブな変化とさらなる課題について

ダイバーシティ推進部長
横山 亜由美

積水ハウスでは、2019年から男性の家事・育児実態を把握するためのアンケート調査を実施し、その結果を「男性育休白書」として毎年発行しています。男性育休に関する当社の取り組み、男性の育休実態について調査した「男性育休白書2025」のトピックスなどについて、ダイバーシティ推進部長の横山が説明を行いました。

■「IKUKYU. PJT」

昨年より20社増加となる174の企業・団体の皆様にご賛同いただいた「IKUKYU. PJT」。7年目となる今年は、育休取得者の実体験や調査結果をもとに、WEB動画「僕のはじめての育休|#育休を考える日」を制作しました。育休期間を通じて家族の絆が増していく様子を描き、より良い育休期間を過ごすことが、取得後の家族の幸せを育んでいくきっかけになる、というメッセージを発信しています。

プロジェクトサイト「IKUKYU.PJT」 WEB動画「僕のはじめての育休|#育休を考える日」

制度の拡充を図りながら育休取得率100%を継続

積水ハウスでは、“「わが家」を世界一幸せな場所にする”というグローバルビジョンのもと、2018年から男性育休の取得を推進しています。男性育休制度の運用開始は2018年9月、取得対象者は3歳未満の子を持つ当社社員です。主な特徴は、育児休業1カ月以上の完全取得、最初の1カ月を有給(性別不問)、最大で4回に分割し取得できる点が挙げられます。取得の障害となりうる要因を制度によって解決できるようにしています。


また、2022年10月の法改正による運用開始に先駆け、2021年4月から「出生時育児休業」の運用をスタートし、男性育休制度を拡充しました。母親の産後うつの防止や、父親のサポートが最も必要とされる産後8週期間内に分割回数に関係なく、1日単位で自由に取得できるよう柔軟性を持たせた制度です。


当社では男性が育休を取得する際、まず「家族ミーティングシート」を作成します。育休をいつ、なぜ取得するのか。そして、現状・育休中・育休終了後、家事・育児の役割分担について事前に家族で話し合うためのツールです。育休取得前に家族としっかりコミュニケーションを取ることが、より良い育休や家族の幸せにつながると考えています。


2025年8月末時点で、取得対象の男性社員は3,428名。その内、取得期限を迎えた男性2,497名全員が1カ月以上の育休取得を完了しており、2019年2月の本格運用開始以降、取得率100%を継続しています。

■「家族ミーティングシート」

家族ミーティングシート ※自由にダウンロードしてご活用ください。

男性の育休取得率は年々伸長し、過去最高値に

「男性育休白書2025」から、ポイントとなる部分をご紹介します。未就学児と同居する男性の育休取得率は36.3%と過去最高を更新しました。7月に厚生労働省より発表された、直近1年間で子どもが誕生した男性の育休取得率も、昨年から約10%増加の40.5%と過去最高を更新。男性の育休は取得するのが当たり前のものとして浸透してきている実態がうかがえます。

育児に意欲的であるものの、スタートは手探り状態

夫が育休を取得した妻の43.5%が、夫の育休を「とるだけ育休とは思わない」と回答。昨年より10ポイント増え、非常にポジティブな変化が起きていることがわかりました。また、男性の育休取得の動機として、「自分の希望で自主的に取得」が約8割に。その一方で、育休取得男性の約5割が「取得前、育休中に何をすればいいのかわからなかった」と回答。取得に向けた意識は前向きに変化しているものの、多くの男性が手探り状態になっている現状を変えていくことが、より良い育休とするためのカギだと考えます。

育休取得前も育休中も、家族でしっかり話し合うことが重要

夫の育休取得に関する家庭内での事前のコミュニケーションについて、夫は「とるだけ育休」と認識する妻の満足度は55.6%。夫は「とるだけ育休」ではないと認識する妻の満足度は86.6%と、約31ポイントの差があります。また、育休取得中に感じた悩みとして、男性は「パートナーの気持ちや変化に気を配るのが難しかった・疲れた」、女性は「自分ばかりが頑張っている・配慮していると感じ、不満が募った」が上位で、コミュニケーションで解決できる内容。育休取得前も育休中も、夫婦間のコミュニケーションが重要だと言えます。

育休中の満足度は、育休取得後の家事・育児満足度にも影響

「家庭内コミュニケーションに満足」と答えた人は育休中の満足度も76%と高いのに対し、不満足層の育休中の満足度は29.1%。育休期間終了後の家事・育児の満足度についても、同様の傾向が見られます。また、家庭内コミュニケーションの満足度が高い人は、育休前に「育休取得期間の確認」「育休中の役割分担の確認」についても十分に会話をしていることがわかりました。

約80%の男性が、育休取得後も子育ての楽しさを実感

取得前は何をしたらいいかわからないという「手探り育休」の状態であっても、家庭内コミュニケーションに満足している男性の約80%が、取得後に「子育てが楽しくなった」「家に帰るのが楽しみになった」と回答。一方、不満足の男性はどちらも約30%と低く、家事・育児を楽しめていない傾向が見られます。また、家事・育児の実践数や育休取得日数が少ないほど、「とるだけ育休」と認識する傾向が高くなることもわかりました。

男性の育休取得で、女性の心境にもポジティブな変化が

育休を経験したことでの男性の変化として、「子どもの寝かしつけや食事など、 自分ひとりで任されても問題なく対応できると感じる」との回答が、男女とも1位に。女性から見た夫の変化として、「子どもと2人での外出も計画的にこなせる」「子どもの生活リズムを身体で把握できている」と評価。育休取得によって、夫の家事育児実践数も増加しています。さらに、男性の育休取得によって「夫婦間での家事・育児のチーム意識が強くなった」「育児や家事のストレスが減った」「睡眠時間の確保がしやすくなった」と、女性自身にもポジティブな変化が見られました。

より良い育休を過ごした男性は、職場にもプラスの影響を生む

育休期間の満足度が高い男性は、職場においてもポジティブな変化を実感しています。「職場でお互い様という気持ちや行動が増した」「時間管理の意識が増した」など、より良い育休を応援することで、職場にもプラスの効果が生まれているようです。また、男性の育休取得の目的・理由を全社に向けて発信している職場は、周囲も男性育休に対する理解度が高く、協力的であることもわかりました。

家庭内コミュニケーションを充実させる工夫が必要

積水ハウスでは、冒頭に紹介した「家族ミーティングシート」を用いて、育休取得前に夫婦で育休を取得する目的や期間、育児・家事分担について話し合うなど、コミュニケーションを充実させる取り組みを行っています。その結果、育休を取得した当社男性社員の家庭内コミュニケーションの満足度は一般の育休取得男性より高く、育休期間中の満足度も平均より10ポイントほど高い傾向にありました。


日本における男性の育休取得率が過去最高となる中、改めてよりよい育休期間にするにはどうしたら良いのか。「男性育休白書2025」の調査が、育休の質を考えるきっかけになれば幸いです。育休取得は、家族の幸せを育てる大切な期間。積水ハウスは引き続き、男性が当たり前に育休を取得できる社会づくりを応援してまいります。

■「男性育休白書2025」

※詳しくはこちらをご覧ください。 

男性育休取得社員 体験談

育児を通して家族と向き合い、妻と同じペースで親として成長

経営戦略本部 戸建事業戦略部 SI戦略室
木村 昇平
2007年入社


業務

共同建築事業「SI事業」推進、技術支援・開発


家族構成
妻、1子(6カ月)、2子(6カ月) ※2025年3月双子誕生


育休取得期間
1回目/2025年3月12日~5月6日(29日間取得)
2回目/2025年7月14日~7月27日(10日間取得)

双子の育児にそなえ、長めの育休取得を計画

双子の出産後すぐと7月に、2回の育休を取得しました。1回目の育休取得については、去年の10月頃から夫婦で話し合い、取得期間や時期も早めに決定。初めての育児であり、さらに双子であることから、長めの育休が取れたらと夫婦で考えていました。


安定期に入った10月、上長に出産時期を報告し、12月から業務分担を徐々に進めていきました。取得直前の2月にはメンバーへの業務の引継ぎも完了。すでに予定していた研修などは、1日単位で取得可能な「出生時育児休業制度」を利用し参加しました。

育児のスキルや知識を身につける準備期間に

育休の取得前、お互いサポートし合いながら夫婦ともに育児・家事ができるようになろうと話し合いました。今振り返ると、1回目の育休は夫婦ともに育児に慣れることがメインで、お互い切磋琢磨しながら育児に対するスキルや知識を身につけるための準備期間になったと思います。


2回目の育休は、妻の手術・入院中の家事・育児と、退院後の妻のフォローをするために取得。1回目の育休で、ある程度の育児スキルが身についていたこと、寝かしつけや授乳用の道具などを駆使したことで、私一人でも何とか乗り切れました。                                                    

育児の良き相談相手としてコミュニケーションを深める

育休中は、育児も家事も夫婦で協力することを重視。親として同じペースで成長していきたいという思いもあり、今後の育児ビジョンを共有しながらいろいろ話し合いました。今は、お互いが育児の良き相談相手になっているような感じです。


育休を取得して良かったのは、産後すぐの妻のケアができたこと。また、双子育児の大変さを夫婦で共有でき、助け合う意識も強くなりました。育休は、育児を通して家族と向き合い、妻と一緒に成長するいい機会です。急なハプニングにも自分一人で対応できる自信がつき、家族への愛情もより深まったと実感しています。

《賛同企業事例紹介》

株式会社ルネサンス

人事部 人材開発チーム兼DE&I推進チーム
課長代理 田原 哲 氏


創業
1979年10月8日


従業員数
1,958名(2025年3月31日現在)


事業内容
スポーツクラブ事業、自治体や企業等での健康づくり事業、介護リハビリ事業など

当事者同士が相談・支援し合えるネットワークを充実

当社は、「生きがい創造企業」という企業理念のもと、女性活躍の推進、育児と仕事の両立支援にも力を入れており、2016年には育児中社員のネットワーク組織「るねふぁみ+(プラス)」を設立。「男性従業員の育児家事参画推進」も含め、当事者同士が相談・支援し合える関係性を築き、将来のキャリア形成を見据えた働き方の実現を目指しています。男性の育休取得率はここ10年で着実に伸び、2024年度は94.4%に。100%を目指すとともに、育休の期間や過ごし方についても充実した状態をつくっていきたいと考えています。


男性の育休取得・両立支援の主な取り組みは、「育休ガイドブックの作成」「イベントの実施」「パパ同士のつながりの形成」です。当社の施設や店舗は全国展開しているため、当事者同士のネットワークが築きにくく、得られる情報が限定的になりがちです。上記取り組みを通じて、育休取得や家事・育児参画についても、会社全体で見ればたくさんの好事例や創意工夫があるということを伝えていきたいです。

大日本印刷株式会社(DNP)

ダイバーシティ&インクルージョン推進室
室長 本田 忠 氏


創業
1876(明治9)年10月9日


従業員数
36,890名(連結)(2025年3月31日現在)


事業内容
総合印刷業(スマートコミュニケーション部門、ライフ&ヘルスケア部門、 エレクトロニクス部門)

トップ自らが先頭に立ち、男性育休取得を積極的に推進

DNPグループは、2020年12月に社長自ら男性育休100%宣言を行い、全社的な取り組みとして育休取得を推進しています。2020年度の男性育休取得率は50%台でしたが、社長の宣言により2021年度には80%台に向上。2024年度の取得率は96.4%、平均取得日数は27.6日と、取得率のみならず取得日数も着実に伸びています。現在は、平均取得日数40日を目標に掲げています。


男性育休施策の一環として、仕事と育児の両立支援セミナー「カンガルーの会」を開催。社外のパートナーも参加可能で、今の時代に必要な情報をインプットし、夫婦でチームとしての子育て戦略を話し合い、育児経験のスタートラインを揃えます。。このほか、グルーブ全社員を対象にしたEラーニング研修を実施し、男性育休を取りやすい職場風土を醸成。イントラネットに、男性育休取得者の体験談や座談会の掲載も行っています。経験談に基づくメッセージを次の世代にバトンとして渡し、DNPグループの中で育休への理解・応援の輪が広がるよう尽力しています。