男性育休白書
2025

47都道府県の20代~50代のパパ・ママ9,262人に聞く
育休の実態を徹底調査!

RANKING
発表!男性の家事・育児力全国ランキング

積水ハウスが独自設定した
男性の「男性の家事・育児力」を
決める4つの指標

4つの指標

積水ハウスでは、右記の4つを男性の「男性の家事・育児力」の指標として設定しました。
これら4指標5項目でそれぞれ数値化して、47都道府県別に
ランキング化し、「男性の家事・育児力」を算出しました。

沖縄県男性の家事・育児力ランキング 1位

215

女性(妻)から見た男性(夫)の家事・育児の実践数 5 7.8
女性(妻)から見た男性(夫)の家事・育児関与度 17 0.51pt
男性の育休取得日数 1 30.0
女性(妻)から見た男性(夫)の家事・育児時間 2 18.0
時間/週
男性が感じる家事・育児幸福度 2 1.19pt

岡山県男性の家事・育児力ランキング 2位

184

女性(妻)から見た男性(夫)の家事・育児の実践数 10 7.5
女性(妻)から見た男性(夫)の家事・育児関与度 18 0.50pt
男性の育休取得日数 6 19.0
女性(妻)から見た男性(夫)の家事・育児時間 1 18.7
時間/週
男性が感じる家事・育児幸福度 21 0.94pt

鹿児島県男性の家事・育児力ランキング 3位

180

女性(妻)から見た男性(夫)の家事・育児の実践数 3 8.1
女性(妻)から見た男性(夫)の家事・育児関与度 21 0.46pt
男性の育休取得日数 18 13.3
女性(妻)から見た男性(夫)の家事・育児時間 4 17.5
時間/週
男性が感じる家事・育児幸福度 11 0.99pt

FACTS
育休取得の実態

育休、取得した?

男性の育休取得率(未就学児のいる家庭)

36.3%

(34.4%/2024年)

男性の育休取得日数(未就学児のいる家庭)

21.5

(36.1日/2024年)

結果

未就学児のいる家庭の
育休取得率は過去最高に!
育休取得日数は減少傾向

未就学児と同居する世帯、つまり、比較的若いパパ・ママ層の家庭や子どもが小さい家庭では、男性の育休は取るのが当たり前のものとして浸透しているようです。一方、取得日数は減少傾向で、取得率公表の義務化など法改正の影響もあり、「少ない日数でも少しでも取得させたい!」という企業の姿勢が反映されているようです。また、取得方法も多様化したことで、一度に長期間取得するだけでなく、家庭の都合に合わせ必要な日数を取得したり、働き方改革やフレックス勤務などの各種制度により、仕事しながら家庭にコミットしやすい状況が浸透してきていることなどが考えられます。

TOPICS

①家庭編

なぜ、育休取得した?

自分の希望で自主的に取得

79.8%

会社からの指示で取得

42.3%

育休取得中の悩みは?

そう思う 思わない

育休取得前
取得中に何をすればいいのか
正直分からなかった

53.6%

育休取得男性(n=1,271)
育休を取得した男性の自身の悩み TOP5
育児に不慣れで、
何をすればよいか迷うことがあった
25.6
収入の減少による生活面の不安があった
23.0
パートナーの気持ちや変化に気を配るのが
難しかった・疲れた
21.9
職場復帰後の仕事に対する不安があった
(ブランク・評価など)
17.1
育休をしっかり活かせていないのでは、と感じた
16.1
育休取得男性(n=1,271)(%)
夫が育休を取得した女性の自身の悩み TOP5
収入の減少による生活面の不安があった
31.2
自分ばかりが頑張っている・配慮していると感じ、
不満が募った
27.9
育児に不慣れで、
何をすればよいか迷うことがあった
25.1
意見の食い違いなどでストレスを感じた
21.2
育休をしっかり活かせていないのでは、と感じた
20.9
夫が育休を取得した女性(n=1,167)(%)

結果

「とるだけ育休」から
「手探り育休」へ。

会社で育休取得が推奨されるからという外的要因ではなく、子どもの成⾧を見守り育児を自分ごと化したいという、育児に積極的な人が多くなっています。一方で、育休取得男性の約半数が「正直何をすればいいのか分からない」”手探り”状態でのスタートに。家事育児を何もしない、やる気もない「とるだけ育休」からやる気はあるが、実際何をしたらいいか分からない「手探り育休」へと、取得に向けた意識はポジティブに変化していると言えます。また、育休取得中に感じた悩みでは、お互いのコミュニケーションで解決できそうな悩みが多いことが分かりました。

家庭内コミュニケーションの
満足度は?

育休を取得した夫を持つ
女性の評価

夫はとるだけ育休ではない

86.6%

満足した+やや満足した

夫はとるだけ育休

55.6%

満足した+やや満足した

家庭内コミュニケーションの
満足度が高い人の会話の傾向

Q. 育休をする際、パートナーとのコミュニケーションは取れていましたか?
(スコアは「十分できていた」「まあできていた」の合計値)
満足層(n=1,635) 不満足層(n=803)

結果

より良い育休を過ごすために
大事なのは、
家庭内のコミュニケーション

夫が育休を取得した際の、妻の家庭内コミュニケーションの満足度を、夫が「とるだけ育休」かどうかで比較してみました。すると、「とるだけ育休」の夫を持つ女性は、育休取得に関する家庭内コミュニケーションの満足度が低いことが分かりました。育休中にパートナーと交わした会話の内容について、満足層と不満足層を比較してみたところ、「家事・育児の役割分担」は満足層70.6%、不満足層37.0%(34.7ポイントの差)、「育休終了後の役割分担」は満足層61.4%、不満足層28.9%(34.7ポイントの差)となっています。また、家庭内コミュニケーションに満足している人は育休中・後の家事・育児の満足度も高い傾向にあることが分かりました。

子育てが楽しくなった?

家庭内コミュニケーションに満足

79.6%

そう思う+ややそう思う

家庭内コミュニケーションに不満足

32.7%

そう思う+ややそう思う

家に帰るのが楽しみになった?

家庭内コミュニケーションに満足

80.5%

そう思う+ややそう思う

家庭内コミュニケーションに不満足

33.1%

そう思う+ややそう思う

育休取得前と取得後、夫が行う家事・育児数(28種類中)
育休取得前に行っていたこと 育休取得後、現在行なっていること

夫が育休を取得したことで女性が自覚するポジティブな変化

Q. 夫が育休を取得したことであなたに生じたポジティブな変化は?(複数回答)
夫婦間での家事・育児のチーム意識が強くなった
30.1
育児や家事のストレスが減った
29.2
睡眠時間の確保がしやすくなった
26.3
夫婦関係(パートナーとの関係)が良好になった
18.9
もう一人子どもが欲しくなった
12.4
夫が育休を取得した女性(n=1,167)(%)

結果

男性は家事・育児に
積極的に関与するように。
女性はストレス減少の効果も。

家庭内コミュニケーションが十分に取れているかどうかで、育休取得後、「子育てが楽しくなったと感じる」「家に帰るのが楽しみになった」など、子育てを楽しむ度合いが大きく違ってくるようです。また、男性は育休を取得すると、家事・育児に積極的に関与する傾向も。さらに、育休を取得した夫を持つ女性に自分自身の変化を聞くと、「夫婦間での家事・育児のチーム意識が強くなった」「育児や家事のストレスが減った」など男性の育休取得は、女性にも効果があり高く評価されています。

②職場でのコミュニケーションと
家事・育児の関係

育休期間中の満足度は?

職場コミュニケーション 満足層

77.9%

満足

職場コミュニケーション 不満足層

48.8%

満足

育休終了後の満足度は?

職場コミュニケーション 満足層

73.0%

満足

職場コミュニケーション 不満足層

43.7%

満足

復職後の変化は?

育休取得後、復職して感じた自身の変化 育休中に満足(n=899) 育休中に不満足(n=372)
※構成比(%)は小数第2位以下を四捨五入しているため合計が100%にならない場合があります。また差分にもずれが生じる場合があります。
※調査委託先・マクロミル

育休を取得しやすい職場の環境は?

男性の育休取得目的の職場からの発信

Q. 職場では男性育休の目的や理由を社員に発信しているか?
会社に向けて発信 当事者に発信 発信していない
育休取得希望者(n=1,271)(%)

職場の協力体制と育休取得目的の発信

育休取得にあたり職場は「協力的」と答えた人の割合
育休取得希望者(n=1,271)(%)

結果

育休に満足した人は、
職場復帰後も
ポジティブな変化あり。
育休推進のポイントは、
取得目的を全社に共有していること

職場での育休取得に関するコミュニケーションに満足した人は、育休の満足度も高く、より良い育休期間を過ごしていることが伺えます。そして、育休取得目的の発信に積極的な企業ほど、職場の協力度も高いという傾向が見られました。育休推進のポイントは、「目的を全社に共有すること」になりそうです。

調査概要

47都道府県のパパ・ママ9,262人に聞く男性の家事・育児力実態調査

■実施時期
2025年6月11日(水)~6月26日(木)
■調査方法
インターネット調査
■調査対象
全国47都道府県別に、配偶者および小学生以下の子どもと同居する20代~50代の男女200人 計9,262人
男性の家事・育児力ランキングについては人口動態+12歳未満のお子さまとの同居率もウェイトバック値に加味しています。

経営層400人に聞く、男性社員の育休取得に対する意識調査

■実施時期
2025年6月11日(水)~6月26日(木)
■調査方法
インターネット調査
■調査対象
従業員10人以上の企業の経営者・役員、部長クラスの男女400人

一般生活者2,000人に聞く、男性の育休取得に対する意識調査

■実施時期
2025年6月11日(水)~6月26日(木)
■調査方法
インターネット調査
■調査対象
一般生活者男女2,000人

※構成比(%)は小数第2位以下を四捨五入しているため合計が100%にならない場合があります。また差分にもずれが生じる場合があります。
※調査委託先・マクロミル

賛同企業の育休取得者に聞いた、
体験談をご紹介

賛同企業

積水ハウスは、174の賛同企業・団体と
一緒に男性育休を応援します。
賛同企業・団体
賛同企業一覧はこちら

職場でのコミュニケーションについて、
満足度83.4%の先輩パパに聞きました

仕事のやり方など、忘れてしまうと困るようなものは
普段からメモを残すと良いですね

メインで引き継いだ人には個人の連絡先を共有し、
コミュニケーションを取っていました

自分が抜ける期間の担当業務におけるイベントについて
整理しておくと、復帰後のイメージが湧きやすい

家族で安心して貴重な時間を頂けるので必ず取得してもらいたい
何より奥さんの負担が軽減されることが一番良い♡

賛同企業に勤務する男性育休を取得した先輩パパに、育休取得に関する職場での事前コミュニケーションについて聞きました。すると、「育休取得期間や取得目的の周囲への共有」(78.7%)や「育休期間中の業務の引き継ぎ」(74.5%)が実践され、先輩パパの83.4%が育休取得に関する職場でのコミュニケーションに「満足」と答えています。

育休取得期間中の家庭での
過ごし方のコツを教えて
育休中の悩みは
パートナーと一緒に乗り切るべし

出来ることを積極的に行うのみ

ある意味、割り切る

パートナー
との対話
を重要視してください

夫婦での役割分担を明確にする

周りに協力を要請するために、状況を伝えておく

育休取得期間中の悩みを聞くと、「妻の気持ちや変化に気を配るのが難しかった・疲れた」(32.6%)が最も多く、悩みの乗り越え方を聞くと「夫婦でよく話し合い、役割分担を見直した」(42.2%)が多くなっています。育休取得期間中、思いもよらぬトラブルや困難に直面しても、パートナーと力を合わせて乗り切ることが最善の策のようです。

育休取得後、93%が
ポジティブな変化を感じた先輩パパが
育休をきっかけにしたうれしい変化は

早起きできるようになった

睡眠の重要性を再認識
寝られるときに寝る

育児全般の
スキルアップ

「育児を手伝う」という感覚は一切なく、共に行うものとして認識
主体性・当事者意識が身につきます

育休を取得したことによるボジティブな変化を聞くと、「子どもの寝かしつけや食事など、自分ひとりで任されても問題なく対応できると感じる」(64.8%)、「夫婦間で家事や育児の役割分担について自然に相談・調整できる関係ができている」(51.4%)が上位に挙げられ、先輩パパの93.4%がポジティブな変化を実感しています。

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COLUMN
男性育休白書で浮かび上がる
今どきの「男性の家事・育児力」

PROFILE

治部れんげ

治部れんげ

東京科学大学リベラルアーツ研究教育院准教授。日経BP社にて経済記者を16年間務める。ミシガン大学フルブライト客員研究員などを経て2021年4月より現職。内閣府 男女共同参画会議専門委員、日本ユネスコ国内委員会委員、文部科学省 科学技術・学術審議会 臨時委員、日本テレビ放送網株式会社・放送番組審議会委員など。一橋大学法学部卒、同大学経営学修士課程修了。著書に『稼ぐ妻 育てる夫:夫婦の戦略的役割交換』(勁草書房)、『炎上しない企業情報発信:ジェンダーはビジネスの新教養である』(日本経済新聞出版社)、『「男女格差後進国」の衝撃』(小学館)、『ジェンダーで見るヒットドラマ―韓国、日本、アメリカ、欧州』(光文社)、『きめつけないで!「女らしさ」「男らしさ」:みんなを自由にするジェンダー平等』1~3巻(汐文社)等。

男性育休、約4割で「あたりまえ」に。

次のステップは持続可能な男性育児。「支える人を支える」職場づくりを。

今回の調査では、未就学児がいる家庭の男性育休取得率が36.3%、取得日数は平均21.5日となりました。

このように男性の育休が広まってくると人々の「あたりまえ」は変化します。厚生労働省は2010年に始めた「イクメン」プロジェクトをいったん終了し新たに「共育(トモイク)」プロジェクトを始めると発表しました。イクメンプロジェクトが始まった15年前は男性育休の取得率は 3%前後と低く、育児に積極的な父親は珍しい存在で「男性も育児をしよう」という発信は、社会規範を変える大きな力となりました。新たに始まる「トモイク」プロジェクトでは、夫婦が継続して共に育児をすることを目指すようです。

本調査にも政策の必要性を示すデータが表れています。今年の調査で男性の家事育児時間は、1週間に13.6時間(全国平均)、トップの岡山県が18.7時間となりました。1日当たりに換算すると全国平均で1日2時間、トップの岡山県で3時間弱、果たしてこの時間で家事育児をこなせるでしょうか。

小さな子どもを育てたことがある人なら「難しい」と分かるはずです。子どもが赤ちゃんや幼児で夫婦と子どもだけの核家族だと、家事育児時間は1日に2~3時間ではすみません。内閣府が発行する「男女共同参画白書(令和5年度版)」によると、6歳未満の子どもがいる家庭で、共働きの妻は77.4%、専業主婦の妻は84%の家事育児をしています。つまり、共働きだと妻が夫の3倍、専業主婦だと妻が夫の5倍です。ちなみに、家事育児の男女ギャップは他の国にも存在し、欧米先進国だと、妻が夫の約2倍の時間を家事育児に費やしています。

世界共通の課題に対して解決の糸口となるのが男性育休です。本調査によれば、8割の男性が自ら進んで育休を取得しており、取得理由として2番目に多いのが「家事や育児が一方に偏らないようにするため31.5%」でした。家庭内の男女平等に対する意識が行動に移されていることを示唆するデータです。

これまで、男性育休に懐疑的な人からは父親が育休を「取るだけ」で家事育児はしない、といった批判がありました。本調査もこの問題を認識しています。「家26事・育児の実践数も育休取得日数も少ないと、「とるだけ育休・夫」とみなされる可能性が高くなる」ことを指摘し、育休取得取得数を増やすこと、育休中に率先して家事育児を実際に行うことを求めています。

男性育休の取得理由として「子どもの成長をそばで見守りたい37.4%」という声も可視化されました。男性が子どもと関わることを自らの意思で選んでいることが分かります。育休取得で男性の家庭への関わりが増えることも分かりましたので、「とるだけ」と揶揄せずに「とってみる」ことを推奨することが必要でしょう。

男性育休が「あたりまえ」になる中で新たな課題も見えてきました。それは男女を問わず育休取得者を「支える人を支える」ことの必要性です。育休取得者の職場の人は「正直大変になると思うが、職場のことは心配せずに育児や家事に専念してほしい(74.7%)」「自分も有給休暇など休む機会があると思うのでお互い様だと思う(74.3%)」と考えています。今後、育児を始める世代は安心できる意見でしょう。

一方、雇用主や経営者は「不公平だと感じた(自分や他のメンバーは取得できなかったからなど)(39.8%)」という声にも対応する必要があります。育休は日本では男女共に30年以上前から法制度として存在していましたが、現在の中高年世代は職場の文化、ジェンダー規範などに阻まれて取得できない人が非常に多かったのです。今後は育休を取る人を「支える人を支える」ための仕組み、具体的には応援金の支給や代替要員の配置などが求められるでしょう。

男性育休は家庭と職場の男女平等を進めます。何より男性にも幸福の選択肢を与えます。こうした変化を本質的なものにするため、支える人たちに我慢して頑張ってもらうのではなく、予算や人員措置を取るような経営、制度設計が必要です。