災害に強い住まいづくりの提案 積水ハウスは「住宅防災」の総合的取り組みを開始します ~被災後も住み慣れた我が家で暮らすために~

積水ハウス株式会社/2004年8月25日

 住まいの防災を考える際、建物には大切な生命と財産を守るシェルターとしての性能が求められます。積水ハウスは、阪神・淡路大震災でただ1棟の倒壊も無かったように、これまでも「安全・安心の技術」に裏付けられた地震や台風などの自然災害に強い住宅を提供し続けてまいりました。
 
 東海・東南海・南海地震をはじめ、各地で大地震の発生が予測され、災害への備えに対する関心はますます高まっています。当社は、昨年の「免震住宅」の販売開始後もさらなる研究を積み重ね、このたび、一歩進んだ「安心」を提供する住まいとして、地震被災後も自宅で一定の生活を維持できる「住宅防災仕様」を開発しました。
 
 来年1月には阪神・淡路大震災から10年を迎えます。当社は、住宅メーカーとしての社会的責任を踏まえ、これまで蓄積した技術やノウハウを基に、単なるハードの提供にとどまらない総合的な「住宅防災」の取り組みを開始します。
 


1.<人に対して> 防災意識の高揚を目的とした啓発活動への取り組み
  [情報誌の発行]
住まいの防災対策には、建物のハードの充実だけではなく、そこに生活する人々の「いざ」という時への日常からの備え、防災意識の高揚が大切です。防災意識が日常のものとなるよう、当社が保有する生活ノウハウを社会に向け積極的に情報発信します。
*情報誌の発行
*当社施設である「納得工房」や「住まいの夢工場」などでの体験型展示
*「防災セミナー」などの開催

     

2.<住まいに対して> 地震被災後の生活を守る「住宅防災仕様」の開発
 
阪神・淡路大震災の記録から検証し、当社では被災後の生活を守るためには「生活空間」「水・食料」「エネルギー」の3つの確保が重要ポイントであると位置づけました。これを受け、昨年発売した免震住宅に加え、被災後の自宅での自立生活を想定した「住宅防災仕様」を開発しました。「住宅防災仕様」は当社の全ての戸建住宅に対応可能で、一邸一邸に「防災配慮」の考え方に基づく設計を行い、安全と安心の住まいを提案します。
*住宅防災仕様の開発
*防災配慮のコンサルティング設計

  [住宅防災仕様]

                                                                                  

3.<企業として> 自然災害対策アクションプログラムの策定

[復旧活動の例]

累積168万戸の住宅を供給してきた当社では、社員やお客様の生活を守ることが最重要との考えから、これまでも地震・台風など大規模自然災害時にはいち早く被災地に駆けつけ、お客様の支援を行ってきました。大規模災害のリスクが増大する今、これまでの災害時の経験とノウハウを活かした「自然災害対策アクションプログラム」を策定し、全社的なサポート体制の充実に取り組んでいます。
*グループを含めた社員を対象とした行動指針・体制の強化
*「防災白書」の発行(予定)
 
 
 
 
1.防災意識の高揚を目的とした啓発活動への取り組み
 
 住まいの防災対策は、建物側のハードの充実だけでは十分でなく、生活者自身の防災意識の向上も必要であると考えます。そこで、生活者の防災意識の高揚を目的とした啓発活動に積極的に取り組みます。
 
■「生活リテラシーブック」の発信
 
当社が保有する、生活者にとって有用な情報や災害に備えて知って欲しい生活ノウハウを一般雑誌スタイルでまとめ、「生活リテラシーブック」というネーミングにて発信します。

創刊号は、災害に強い暮らしを実践するための情報やノウハウを集約しており、1冊の本を読んでいただくことで生活者自身の防災力を高めることをめざしています。個々の生活者の防災力が高まり、それらが集まりつながっていけば、街全体の防災力も向上すると考えます。
   

「生活リテラシー」 =豊かな暮らし・住まいを創造する能力

 
■各種体験施設の充実
 
9月1日の防災の日、当社が提案する“住まいの防災対策”を体験・見学できる展示棟を関東工場「住まいの夢工場」 にオープンします。
本展示棟では、地震災害後も住み慣れた自宅で生活するための対策である蓄電システムや雨水タンク、家具転倒防止金具などの防災アイテムを展示しています。
また、「住まいの夢工場」には免震住宅と耐震住宅の両方で震度7クラスの揺れを体感できる設備もあり、実際の大規模地震の体験が無い方にとっても、揺れを体感することにより大地震への備えの大切さを意識づけることができます。
 

2004年9月1日オープン予定の住宅防災展示棟。

防災自立仕様を搭載している。
*茨城県総和町

既にオープンしている「安震館」では、震度7クラスの揺れを耐震と免震の建物で比較体感できます。2004年6月のオープン以来、約1700名ものお客様に体験いただいています。 
(2004年8月20日現在)

 
■セミナー、防災訓練などの実施
 
一般生活者向けの「防災セミナー」を各地で開催し、防災意識の向上を図ります。
2004年8月29日には、当社の大型戸建分譲団地「コモアしおつ」 * にて、住民主体の防災訓練に開発企業として参加し、地域住民に対する防災セミナーも開催する予定です。
*山梨県北都留郡上の原町四方津
 

[大型分譲団地における住民参加型の防災訓練の例]

広島「e-TOWNみどり坂」
(2003年3月実施)

大阪「リフレ岬・望海坂(のぞみざか)」
(2003年11月実施)

 
 
 
2.地震被災後の生活を守る「住宅防災仕様」の開発
 
■開発の背景
 
我が国は世界中で最も地震が多発する地域に位置し、有感地震が年間2000回を超え、直下型地震による死者50人以上の災害は、10年に1度の割合で発生しています。

大規模災害になる「地震」による犠牲者の多くは、建物内での被災が大半であり、倒壊しない家に住むことが最も有効な地震対策になります。

当社が独自に調べた「住まいづくりで何を重視したいか」との調査においても、「地震や火事などの災害に強いこと」がトップでした

これは「阪神・淡路大震災の記憶」や「活断層の存在」、「東海・東南海・南海地震に対する危機意識」に起因するものと思われます。
*総合住宅研究所「納得工房」来館者アンケートより
「住まいづくりで重視したいこと」   (2001.08.01~2002.07.31、回答数3,456名)

項 目

割合(%)

 地震や火事などの災害に強い 42.8
 高い耐久性がある 39.4
 使いやすい設備 32.8
 会社としての信頼性 27.8
 機能的な生活動線 23.1
 価格がなるべくおさえられている 19.9
 外観や内観がよい 17.2
 バリアフリーである 15.5
 健康への配慮 11.4
 省エネルギーで環境にやさしい 7.3
 趣味が活かせる 5.4
 自然環境が取り入れられている 5.1
 
◆今後地震発生が予想される地域

 
 
■当社の耐震性能
 
阪神・淡路大震災で、当社の建物は被災エリアに建っていた約3万棟のうち1棟も全半壊せず、高い耐震性を発揮しました。
また、住宅性能表示制度の耐震性においても最高等級に標準仕様で対応しています。
さらに発売済みの「免震住宅」を採用すれば、地震に対する性能は格段に向上し、建物の破損や室内の家具・調度品類の転倒を防ぎ、ケガや火災などの二次被害を防ぐことができ、地震発生時の揺れによる恐怖感も低減できる最高レベルの安全性が実現します。
   
[当社 免震住宅]
 
 
■「住宅防災仕様」開発に向けた3つの視点
 
当社は、免震・耐震技術により建物の安全性を十分確保し、防災に配慮した「コンサルティング・ハウジング」を推進していますが、このたび、「住宅防災」の考え方をサポートするハード技術として「住宅防災仕様」を開発しました。
「住宅防災仕様」は、被災後も自宅での生活を可能にすることを目指しています。
先の阪神・淡路大震災に関する内閣府の報告を検証した結果、当社では被災後も自宅での生活を継続する上で、「生活空間の確保」「水・食料の確保」「エネルギーの確保」の3つを重要なポイントとして位置づけました。
「住宅防災仕様」はこれらのポイントを実現する具体策です。
防災対策の多くは非常時のみの対処であり、いざという時にその使い方がわからなかったり、日頃の手入れが不十分で役に立たない可能性があるため、「住宅防災仕様」「日常的に使用でき、被災時にも役立つ」ということを基本コンセプトとしています。加えて、、日常のエコロジーな生活にも役立つよう配慮しています。
 
 

以下に、当社独自の検証と実験に基づき今回開発した「住宅防災仕様」の具体的なアイテムをご紹介いたします。

 
 
 

 

 
 
 

 

 
 
 

 

 
 
 

アイテム開発により、3つに分類したグレードから選択できます

 

住宅仕様

アイテム

       

3つのグレードにパッケージ

       

防災 自立 仕様
(免震住宅)


当社が誇る最高レベル
の安全・安心を確保

防災 自立 仕様
(耐震住宅)


日常生活でも便利に
機能する防災仕様

防災 基本 仕様
(耐震住宅)

低予算で実現
する防災仕様

被災後に必要最低限の生活が自宅で可能となることについては、特に避難所生活が困難な要介護の高齢者や障害を持つ方などをはじめとして、社会的ニーズは高いと考えています。

※「住宅防災仕様」はお客様の被災時のリスク低減を目的としたものであり、万全の対策を約束するものではありません。
 
 
 
3.「自然災害対策アクションプログラム」の策定
 
■災害に対するこれまでのサポート
 
当社はこれまでにも、地震や台風・水害などの通常の自然災害に対して、営業所・カスタマーズセンターや積和建設・協力工事店などを中心に、お客様の安否確認や被害状況の調査・復旧工事などのサポート活動を積極的に実施してきました。
また、大規模自然災害においても、全社的な復旧・復興対応を行っています。阪神・淡路大震災では、全国から延べ10万人以上もの応援部隊が建物の復旧にあたりました。
その結果、お客様から3千通以上もの感謝の声やお手紙をいただきました。
最近では、新潟や福井の水害で浸水したお客様の住宅に対し、泥出しや水洗いなどの組織的な復旧対応を実施しています。
 

<福井豪雨被害の復旧支援>

2004年7月18日の福井豪雨では、当社物件も床上・床下浸水の被害にあっています。

被害が集中したエリアに現地対策本部を置き、協力会社も含めた全社的な復旧支援を行いました。延べ約2,500人もの人員を投入し、現地の評価を高めました。
 
 
■「自然災害対策アクションプログラム」の策定
 
私たちは、災害が発生した際に、お客様の生活を元の状態に迅速に復旧させることが企業としての役割と考えています。
しかしながら、大規模自然災害などの予期せぬ事態が生じた場合には、通常の業務体制では対応できないケースが考えられます。
そこで、大規模自然災害に備えて、全社的なサポート体制を充実させておく必要があります。
その基本となるのが、災害発生時に被災地域の社員や家族の安全確認・被災状況の把握を早急に行うことであり、これにより事業所のサポート体制の編成や全国的な支援要請を早め、お客様サポートの迅速化が可能になります。
当社では、大規模自然災害発生時に社員がスムーズに行動できるように「自然災害発生時の初動カード」を全社員に配布しています。
このカードを常時携帯することにより、社員の防災意識の一層の向上を図る他、災害に遭遇した社員の初動がスムーズにいくよう工夫しています。
この他に、災害発生時のお客さまへのサポートのために「災害時支援マップ」のようなツールも工夫してきました。
今後も、大規模自然災害に備え、これまでにも増して迅速な組織的活動を可能にする「自然災害対策アクションプログラム」を推進していきます。
また、これらの実績を「防災白書」のような形でまとめ、ノウハウの蓄積と検証を進める予定です。
 

 

<災害時支援マップ>

大規模自然災害が発生した場合、限られた人員で迅速にお客様宅を巡回する必要があります。当社では、お客様の被害を素早く把握するためのツールとして「災害時支援マップ」を用意し、現在災害時に使用しています。これは地図上にお客様宅の所在地をプロットしたもので、お客様宅の分布密度や建物型式が把握できるため、サポート活動に投入すべき人員の適切な割り当てなどを可能にしています。
 
本件に関するお問い合わせ先 
積水ハウス株式会社
広報部
TEL06-6440-3021
東京総務部
TEL03-5352-3113