義実家への帰省は4割が「気を遣う」ことにお悩み もっと気楽な家族団らんのヒント

積水ハウス株式会社/2023年12月15日

 積水ハウス株式会社は、年末年始に向けて、より幸せな家族団らんのご提案を目的に、全国の20~60代の既婚男女を対象に「年末年始に関する調査」を実施しました。
 積水ハウスの研究機関の住生活研究所では、暮らしにおける「幸せ」のさらなる追求のために「住めば住むほど幸せ住まい」研究として様々な調査を実施しています。今回は年末年始に向けて、帰省や旅行の予定や、帰省先や自宅での年末年始の過ごし方などを調査しました。

~調査サマリー~

✔年末年始は約3割が帰省。帰省する人が最も多い年代は30代で57.0%。
✔年末年始の家族団らんは食を中心に。自分の実家への帰省の楽しみ1位は「みんなで食事をすること」52.3%。帰省先で行う家事も「皿洗い」「買い出し」「料理」が上位。
✔自宅でおせちを食べる人のうち、「すべて家庭で作る」人はたった9.5%。約3割は「すべて買う」。

帰省先や自宅での過ごし方に関する調査結果をはじめ、年末年始の家族団らんをもっと幸せにするための「幸せTips」もご紹介します。


年末年始は「自宅で過ごす」が多数派 30代は約6割が帰省

今年の年末年始の過ごし方は、全体では「自宅で過ごす」56.8%が1位、「自分の実家または義理の実家に帰省」33.8%が2位でした。旅行に行く人は「国内旅行」が約1割、「海外旅行」は1.0%と非常に限られているようです。年代別では、若い世代ほど自宅で過ごす人は少ないようです。20代では「自宅で過ごす」は39.0%、「自分/義理の実家に帰省」が44.0%と、帰省先で過ごす人が自宅で過ごす人を上回りました。また、「国内旅行」に行く人が全年代の中で最も多い18.0%でした。30代は「自分/義理の実家に帰省」が57.0%と、帰省する人が最も多い年代であることがわかりました。

 実家に帰省する人にその理由を聞いたところ、自分の実家に帰省する理由では1位が「家族や親戚と過ごしたいから」46.7%、2位が「毎年恒例になっているから」42.6%、3位が「みんなで食事をしたいから」35.4%でした。家族団らんの時間を楽しみに帰省する人が多いことが読み取れます。
 一方、義理の実家に帰省する理由は、「毎年恒例になっているから」47.0%が、2位の「みんなで食事をしたいから」27.2%に大きな差をつけ最多でした。3位の「義理の親や親戚に子ども(孫)を会わせたいから」25.8%や、5位の「子ども(孫)が祖父母やいとこに会いたがっているから」19.2%など、子どもに関連する理由も挙がりました。また、自分の実家への帰省理由でトップだった「家族や親戚と過ごしたいから」は22.5%と、自分の実家への帰省理由とは24.2ポイントもの差がありました。

約半数が宿泊帰省 2割弱がリビングなどの共用空間に宿泊

 帰省は半数ほどが日帰りで、残りの半数ほどは宿泊をしているようです。日帰りの割合は夫側と妻側の実家で差が見られ、夫側では52.0%だった一方、妻側は9.1ポイント低い42.9%でした。妻側の実家の方が、宿泊帰省をする人が多いようです。宿泊の日数も、妻側の実家のほうが長めの傾向があるようです。「4-5泊」する人は、夫側では1.8%に対し、妻側は4.5ポイント高い6.3%でした。

 宿泊をする場合の部屋について聞いたところ、夫側の実家、妻側の実家ともに「現在は使われていない部屋」が約半数で1位でした。2位は「元子ども部屋」が約3割と、自分がもともと使っていた部屋が帰省時のために残されている人も多いことが読み取れます。3位は「共用空間」が2割弱で、個室が割り当てられない人も一定数以上いることがわかりました。
 夫側の実家と妻側の実家を比較すると、夫側の実家は「客間」や「近くのホテルや旅館」、妻側の実家は「元子ども部屋」「普段は親が使用している部屋」の割合の高さが目立ちます。夫側の実家は比較的よそ行き感が強く、妻側の実家は普段の生活に近い空間で、より気軽に帰省の受け入れや宿泊をしている人が多いのかもしれません。

自分の実家に帰省する最大の楽しみは、みんなで食事をする時間

 年末年始の自分の実家への帰省で楽しみなことは、「みんなで食事をすること」52.3%が最多で、「おせちやお正月料理を食べられること」34.4%、「親の手料理が食べられること」30.3%と、食に関する項目が上位を占めました。家族や親戚が集まり食卓を囲む時間は、年末年始ならではの特別なものではないでしょうか。「家事や育児を任せて、自由な時間を持てる(休める)こと」も約2割と、ついつい親に甘えてしまう気持ちも読み取れます。

 自分の実家へ帰省した際に行う家事を聞いたところ、「皿洗い」40.5%、「買い出し」36.4%、「料理」27.2%と、こちらも食関連が上位に上がりました。「自分たちが使う空間の掃除」18.5%や「自分たちの分の洗濯」15.9%など、自分たちの家事は自分で行う人も2割近くいるようです。男女別では、とくに女性は自分の実家で家事を行う人が多く、「皿洗い」は56.1%、「買い出し」や「料理」も約4割が行っているようです。
 自分の実家と義理の実家を比較すると、男性は「買い出し」「自分たちが使う空間の掃除」など、実施率が同程度の項目が多い一方、女性は全ての項目において実施率に大きな差がありました。とくに「料理」を義理の実家で行う人は、自分の実家に比べて18.8ポイントも少ないようです。義理の実家ではお互いが気を遣い、遠慮して手伝えない人がいることや、家事をせず、ゆっくりさせてもらえている人がいることなどが予想できます。

4割が悩んでいる「義理の実家では気を遣う」

 帰省における悩み事は、自分の実家、義理の実家ともに、「食べ過ぎること」「距離が遠いこと」「出費がかさむこと」などが上位に挙がりました。他にも、「子どもの生活リズムが崩れること」、義理の実家では「義理の実家と生活リズムが異なること」などと、生活リズムに関する項目も目立ちました。
 義理の実家では、4割近い人が回答した「気を遣うこと」が最も多いお悩みでした。とくに女性では48.2%が「気を遣うこと」と回答しています。さらに、「プライバシーが限られること」や「居場所がないこと」も、自分の実家と比べて多くの人が挙げています。気を遣いすぎて疲れてしまっては、義理の家族との団らんの時間を心から楽しめなくなってきてしまうかもしれません。帰省先で疲れたら、ほっと一息つけるような場所や時間があるとよいですね。

 帰省の際に心がけることでは、自分の実家、義理の実家ともに上位5つは同じ項目が挙がりました。「なるべく一緒に過ごす」「親戚や兄弟、義理の兄弟と交流する」など家族と過ごす時間を大切にする項目や、「健康管理をする」「ウイルス対策をする」など、コロナ禍を経て健康を意識した項目も挙がりました。自分の実家と義理の実家で順位が異なるのは「なるべく生活リズムを相手に合わせる」で、自分の実家では14.9%に対し、義理の実家では5.6ポイント高い20.5%でした。義理の実家への帰省におけるお悩みの1位が「気を遣うこと」でしたが、相手に気を遣って生活リズムを合わせている人が多いことも予想されます。

自宅で過ごす年末年始 おせちを食べる人のうち全て家庭で準備するのはたった1割

 年末年始に自宅で行うことを聞いたところ、1位は「年越しそばを食べる」62.4%でした。おせちも4割以上の人が食べていることから、年末年始ならではの食を楽しんでいる人が多いことが読み取れます。2位は「年末年始のテレビ番組を見る」62.0%で、正月飾りを楽しむ人も26.0%など、自宅にいながら様々な方法でお正月気分を楽しんでいる人も多いようです。
 年代別で見ると、とくに差が大きいのは「おせちを食べる」でした。最も割合の低い30代では29.0%と、最も割合の高い60代の69.0%に比べ、40ポイント低い結果となりました。その理由として、30代は帰省する人が最も多い年代で、帰省先でおせちを食べる人も多いことが言えます。30代は、自宅でおせちを食べている人の合計は29.0%でしたが、帰省先のみで食べ、自宅では食べていない人も23.0%いることがわかりました。

 自宅でおせちを食べる人のうち、すべて家庭で作る人は1割以下であることがわかりました。最も多かったのは「家庭で作るものと買うものがある」55.7%で、「すべて買う」と回答した人も約3割にのぼりました。また、自宅でお正月飾りを楽しむ人のうち約4割は、お正月飾りを毎年買い替えていることもわかりました。保管場所では「玄関収納」10.8%が最多でした。「その他の居室の収納」10.0%、「リビングの収納」9.2%、「寝室の収納」6.9%などと、居室に収納している人も少なくないようです。

4つの「幸せTips」で、年末年始の家族団らんをもっと幸せに

 調査では、帰省理由の上位に「みんなで食事をしたいから」、自分の実家への帰省で楽しみなことに「みんなで食事をすること」などが挙がり、年末年始の家族団らんは「食」が中心にあることがわかりました。多くの人が楽しい時間を過ごす一方、気を遣う、居場所がないなどの困りごとを抱える人もいるようです。楽しい時間はもっと楽しく、加えて、みんながもっと心地よく過ごせる工夫もできると良いですね。また、年末年始を自宅で過ごす人も、食やテレビ番組、飾りつけなど様々な方法でお正月気分を楽しんでいることもわかりました。
 積水ハウスでは、年末年始の家族団らんをより楽しいものにするための、様々な暮らしや空間の提案を行っています。ここでは、帰省先や自分の自宅で手軽にできる、4つの「幸せTips」をご紹介します。

① みんなが心地よい居場所づくり:年末年始に複数の家族が集まる家には、大きなダイニングテーブルがおすすめ。食卓をみんなで囲めるほか、おせちを詰める作業もみんなで参加しやすくなりますよ。年末年始だけでなく、普段の暮らしもランクアップ。夫婦が同じテーブルで作業をしても、お互い邪魔になりません。大勢が集まると賑やかで楽しい一方、気疲れしてしまうこともあるでしょう。そんなときは、座る場所があるだけでもほっと一息つけるもの。みんなの居場所になるソファや椅子を、普段からたくさん置いておくのが難しければ、アウトドア用の折り畳みチェアが便利です。

 

② コミュニケーションで家事を円滑に:自分の親に甘えたり、義理の家族に気を遣ったりと、家事の分担は難しいものですよね。できることと任せたいことを伝え合い、家事は分担して、協力して取り組めるといいですね。パントリーやリビングクロークなど、一覧性のある収納を思い切って見せるのも一つの手です。どこに何があるかが分かれば、互いに協力しやすくなりますね。

 

③ 「おかえりルーム」で適度な距離感:帰省中は、気を遣ったり生活リズムが異なったり、何かと疲れてしまうもの。家族の帰省に対応できる「おかえりルーム」を考えてみませんか?普段は趣味部屋に、年末年始は帰省する子を受け入れる空間として確保することができます。特に和室は多目的に使えて用途の幅も広がります。空いた子ども部屋などLDKとは違うフロアで「おかえりルーム」を作れば、互いに気を使わない距離感も作れますね。

 

④ 気軽に楽しむ自宅でのお正月:自宅でも気軽にお正月を楽しむヒントとして、小ぶりの飾りを取り入れてみてはいかがでしょうか。玄関の靴箱の上やリビングの一角など、少しのスペースに小物を飾るだけでも、お正月感がぐっと増します。壁に飾れば普段の生活スペースに影響を与えずにお正月気分をより楽しめますね。

 

 ぜひ皆様も4つの「幸せTips」を参考に、小さな工夫を暮らしに取り入れながら、年末年始の家族の時間を大切に過ごしてくださいね。

 

住生活研究をはじめとする住まいの専門家 河﨑由美子メッセージ

年末年始は、実家に帰省して家族とゆっくり過ごしたり、久しぶりに地元の友人に会ったりするのもいいものですね。しかし、調査からも分かったように、ふだん別々の暮らしをしている人が同じ空間で過ごす事は、親子といえども色々と気を遣うものです。衝突や必要以上の干渉を避けるため、物理的・心理的な距離を保てるかどうかがお互いの居心地の良さにつながります。
食卓を囲む場合に考えたいのがパーソナルスペース。親密さに合わせて、距離をとって座りましょう。気を遣う人同士は正面には座らず、隣に並ぶなど、L字になるように座るとコミュニケーションが円滑になります。また、泊まりなど長時間を共にする場合は、別部屋を用意できるといいですね。
ゆったりとくつろぐための工夫で、楽しい年末年始をお過ごしください。


河﨑由美子
フェロー R&D本部
1987年入社。高校入学までの12年間を海外で過ごした経験や子育て経験などを生かし、総合住宅研究所でキッズデザイン、ペット共生、収納、食空間など、日々の生活に密着した分野の研究開発全般に携わる。
執行役員、住生活研究所長を経て2023年4月より現職。一級建築士。


<「年末年始に関する調査」調査概要>
調査期間:2023年10月27日~30日
集計対象人数:500人
集計対象:全国の20~60代の既婚男女


<記事などでのご利用にあたって>
・引用元が「積水ハウス株式会社 住生活研究所」による調査である旨と、引用元調査「年末年始に関する調査(2023年)」の記載をお願いします。
・積水ハウス ウェブサイトの該当記事(https://www.sekisuihouse.co.jp/company/research/20231215/)へのリンク追加をお願いします。

<住生活研究所について>

積水ハウスが2018年に開所した、日本の企業として初めて「幸せ」を研究する研究所です。
人・暮らしの視点で、ライフステージ・ライフスタイル、そしてこれからの住まいのあり方の調査・研究を行っています。今後迎える「人生100年時代」には、暮らしにおける「幸せ」のさらなる追求が重要と考え、時間軸を意識した「住めば住むほど幸せ住まい」研究に取り組んでいます。研究を通して、幸せという無形価値、つまり「つながり」「健康」「生きがい」「私らしさ」「楽しさ」「役立ち」といった幸福感を高め、家族やライフスタイルの多様な変化に対応する幸せのかたちをお客さまへご提案することを目指しています。
ウェブサイト:https://www.sekisuihouse.co.jp/company/rd/humanlife/
これまでの調査リリース:https://www.sekisuihouse.co.jp/company/research/