贈与税については、被相続人の高齢化が進んでおり、高齢者の保有する資産を現役世代により早期に移転させ、その有効活用を通じて「成長と富の創出の好循環」につなげるため、平成25年度税制改正において次の贈与税等改正が行われました。
- 20歳以上の子や孫等が受贈者となる特例贈与財産に対する贈与税率の緩和と一般贈与財産に係る贈与税の税率構造の見直し
- 相続時精算課税について、贈与者の年齢要件を65歳以上から60歳以上に引き下げ、受贈者に孫を加える
- 教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の創設
など
- ●特例贈与財産とは…
- その年の1月1日において20歳以上の者が、直系尊属(父母、祖父母、養父母等)から贈与を受けた財産をいいます。
生前贈与による財産の有効活用の観点から、特例贈与財産に係る贈与税の税率構造が緩和されました。一方、最高税率などについては、相続税の最高税率の引上げに合わせて、50%から55%へ引き上げられました。
この改正により、20歳以上の者が直系尊属から生前贈与を受けた場合には、大半のケースで贈与税の負担が軽減されることになりました。
改正前 | 改正後 | ||||
---|---|---|---|---|---|
平成26年12月31日まで | 平成27年1月1日以後 | ||||
基礎控除及び 配偶者控除後の 課税価格 |
税率 (%) |
控除額(万円) | 基礎控除及び 配偶者控除後の 課税価格 |
税率 (%) |
控除額(万円) |
200万円以下 | 10 | - | 200万円以下 | 10 | - |
300万円以下 | 15 | 10 | 400万円以下 | 15 | 10 |
400万円以下 | 20 | 25 | 600万円以下 | 20 | 30 |
600万円以下 | 30 | 65 | 1,000万円以下 | 30 | 90 |
1,000万円以下 | 40 | 125 | 1,500万円以下 | 40 | 190 |
1,000万円超 | 50 | 225 | 3,000万円以下 | 45 | 265 |
4,500万円以下 | 50 | 415 | |||
4,500万円超 | 55 | 640 |
- ●一般贈与財産とは…
- 特例贈与財産以外の贈与財産をいいます。
一般贈与財産に係る贈与税の税率構造については、相続税の最高税率の引上げに合わせて、次のように見直されました。
改正前 | 改正後 | ||||
---|---|---|---|---|---|
平成26年12月31日まで | 平成27年1月1日以後 | ||||
基礎控除及び 配偶者控除後の 課税価格 |
税率 (%) |
控除額(万円) | 基礎控除及び 配偶者控除後の 課税価格 |
税率 (%) |
控除額(万円) |
200万円以下 | 10 | - | 200万円以下 | 10 | - |
300万円以下 | 15 | 10 | 300万円以下 | 15 | 10 |
400万円以下 | 20 | 25 | 400万円以下 | 20 | 25 |
600万円以下 | 30 | 65 | 600万円以下 | 30 | 65 |
1,000万円以下 | 40 | 125 | 1,000万円以下 | 40 | 125 |
1,000万円超 | 50 | 225 | 1,500万円以下 | 45 | 175 |
3,000万円以下 | 50 | 250 | |||
3,000万円超 | 55 | 400 |
改正内容1及び2は、平成27年1月1日以後の贈与により取得する財産に係る贈与税について適用されています。
基礎控除を控除する前の贈与金額 | 改正前 (平成26年12月31日まで) |
改正後 (平成27年1月1日以後、 特例贈与) |
改正後 (平成27年1月1日以後、 一般贈与) |
|||
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贈与税額 (千円) |
負担割合 (%) |
贈与税額 (千円) |
負担割合 (%) |
贈与税額 (千円) |
負担割合 (%) |
|
200万円 | 90 | 4.5 | 90 | 4.5 | 90 | 4.5 |
300万円 | 190 | 6.3 | 190 | 6.3 | 190 | 6.3 |
400万円 | 335 | 8.3 | 335 | 8.3 | 335 | 8.3 |
470万円 | 470 | 10.0 | 440 | 9.3 | 470 | 10.0 |
500万円 | 530 | 10.6 | 485 | 9.7 | 530 | 10.6 |
520万円 | 580 | 11.1 | 520 | 10.0 | 580 | 11.1 |
600万円 | 820 | 13.6 | 680 | 11.3 | 820 | 13.6 |
700万円 | 1,120 | 16.0 | 880 | 12.5 | 1,120 | 16.0 |
800万円 | 1,510 | 18.8 | 1,170 | 14.6 | 1,510 | 18.8 |
900万円 | 1,910 | 21.2 | 1,470 | 16.3 | 1,910 | 21.2 |
1,000万円 | 2,310 | 23.1 | 1,770 | 17.7 | 2,310 | 23.1 |
1,500万円 | 4,700 | 31.3 | 3,660 | 24.4 | 4,505 | 30.0 |
2,000万円 | 7,200 | 36.0 | 5,855 | 29.2 | 6,950 | 34.7 |
3,000万円 | 12,200 | 40.6 | 10,355 | 34.5 | 11,950 | 39.8 |
4,000万円 | 17,200 | 43.0 | 15,300 | 38.2 | 17,395 | 43.4 |
5,000万円 | 22,200 | 44.4 | 20,495 | 40.9 | 22,895 | 45.7 |
(注)負担割合とは、基礎控除前の贈与金額に占める贈与税額の割合をいいます。
若年世代への資産の早期移転を一層促進する観点から、相続時精算課税の適用要件について、贈与者および受贈者が次のように拡充されました。
改正前 | 改正後 | |
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適用時期 | 平成26年12月31日まで | 平成27年1月1日以降 |
贈与者 | 65歳以上の父母 | 60歳以上の父母又は祖父母 |
受贈者 | 20歳以上の子である推定相続人 | 20歳以上の子である推定相続人 又は20歳以上の孫 |
平成27年1月1日以後の贈与により取得する財産に係る贈与税について適用されています。
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