研究報告
有孔集成材梁の耐力に及ぼす部材幅の影響
#安全・安心
#地震
積水ハウス株式会社/2025年9月
木材梁に貫通孔を設ける設計は合理的ですが、法令や学会指針での扱いはありません。最近では、貫通孔を持つ木材梁に関する研究が増加し、実験や解析によって破壊メカニズムが解明されつつあります。有限要素法解析は、梁の表面と中心部で孔周辺の応力状態が異なることを示しており、梁幅が有孔梁の構造性能に影響を与える可能性が示唆されました。そこで本研究では、梁幅(90㎜・105㎜・120㎜)に着目し、貫通孔を持つ梁の構造性能に対する影響を実験的に検討しました。
2種類の実験(曲げ試験・曲げせん断試験)を通じて以下の結果が得られました。
「曲げ耐力には梁幅の影響は小さい」「せん断耐力は梁幅が大きい方が計算耐力に対する安全率が高い」
「梁の曲げおよびせん断剛性への梁幅の影響は小さい」
これらの実験結果から、木造住宅でよく用いられる梁幅の範囲では、有孔梁の構造性能に対して梁幅の影響を考慮する必要はないと結論付けられます。
実験概要・梁幅と耐力の関係
