研究報告

木質パネル類の釘接合性能の耐久性研究(その1)

~実験方法に関する研究

#安全・安心

#耐久性

積水ハウス株式会社/2019年3月

木質パネル類を構造用途に利用する場合,釘接合性能の耐久性が重要となります。
実験を効率的に進めるため、まず、本論文では、パーティクルボード(PB)と合板(PW)を用いて,促進劣化処理試験を行う際の釘の打ち込みタイミングが、各釘接合性能にどのような影響を及ぼすのかを検討しました。
その結果,釘打ちした後に促進劣化処理を行った(Dry-1)と処理後に釘打ちを行った(Dry-2)の比較において,JIS規格に規定されている釘側面抵抗力(Lateral nail resistance: LNR)残存率,および釘頭貫通力(Nail head pull-through:NHP)残存率が同程度になることがわかりました。
この結果から,促進劣化処理前後の釘打ちのタイミングはLNRやNHPに影響を及ぼさないことが明らかとなりました。その2ではその評価結果をご紹介します。

使用した木質ボードと試験方法の概要

使用した木質ボードと試験方法の概要

各木質ボードの釘接合強度の評価結果

各木質ボードの釘接合強度の評価結果

研究報告

木質パネル類の釘接合性能の耐久性研究(その2)

~釘接合性能と曲げ強度の関係性について

#安全・安心

#耐久性

木質パネル類を構造用途に利用する場合,釘接合性能の耐久性が重要となります。
木質パネルそのもののボード物性に関する耐久性研究は数多く報告されている一方、釘接合性能の耐久性に関する報告は多くありません。

そこで、本報では、各種木質パネル(合板、OSB、PB、MDF)の釘接合性能とボード物性(曲げ強度など)の低下に着目して、釘接合性能と劣化の関係について検討を行いました。
その結果、エレメントサイズの大きな木質パネル(合板、OSB)では両者の相関はみられませんでしたが、エレメントサイズの小さな木質パネル(PB、MDF)の釘接合性能と曲げ強度には高い相関があることがわかりました。
この研究により、木質パネルの表層の強度が釘接合性能に大きく寄与していることが明らかとなり、ボードの曲げ強度による釘接合性能の耐久性予測が可能なことが示唆されました。

使用した木質ボードと試験サイクルの一例

使用した木質ボードと試験サイクルの一例

曲げ強度(横軸)と釘接合強度(縦軸)

曲げ強度(横軸)と釘接合強度(縦軸)