研究報告

壁の中はどうなっている?非破壊で壁の中の躯体を診断する技術とは?(その1)

#安全・安心

#耐久性

積水ハウス株式会社/2019年3月

建物を支える構造材が傷んでいると、地震など万が一の時に初期の性能を発揮することができません。
本研究は壁の中の木造躯体を壁の外から非破壊で診断する技術に関する一連の研究の一つです。

本研究では、市販の高周波タイプの含水率計を用いて、石膏ボードのすぐ裏側の木材の劣化(腐朽や高含水率状態)を検知できるかどうかを調べました。
その結果、腐朽しているものや高含水率になっているものについては、健全なものと比較して大きな値を示し、理想的な状態であれば判別できることがわかりました。
しかし、その値の差は大きくなく、通気層がある外壁側など阻害因子のより大きな環境では、その差を見極めることは困難であることもわかりました。

試験体の状態調整と壁内木材の計測方法

試験体の状態調整と壁内木材の計測方法

研究報告

壁の中はどうなっている?非破壊で壁の中の躯体を診断する技術とは?(その2)

#安全・安心

#耐久性

建物を支える構造材が傷んでいると、地震など万が一の時に初期の性能を発揮することができません。
本研究は壁の中の木造躯体を壁の外から非破壊で診断する技術に関する一連の研究の一つです。

前報では、市販の高周波タイプの含水率計を用いて、石膏ボードのすぐ裏側の木材の劣化(腐朽や高含水率状態)が検知できることを確認しました。
しかし、その値の差は大きくなく、通気層がある外壁側など阻害因子のより大きな環境では、その差を見極めることは困難であるという結果となりました。
そこで、本研究では、測定条件(設定比重)や、電圧を変更することで、外壁側からでも壁の中にある木材の劣化を判別することができるかを調べました。
その結果、設定比重を下げ、電圧を上げることで感度が上がり、設定比重0.1、電圧21V(通常の2.3倍)とすることで、外壁側からでも壁の中の木材の劣化を判別できる可能性が示唆されました。


壁モデルを使用した壁内木材の計測状況

含水率計の設定比重・電圧と検知能力の関係

含水率計の設定比重・電圧と検知能力の関係

黒塚ひとみ 他,高周波含水率計を用いた壁内構造材の腐朽劣化の見える化, 日本木材保存協会, 2019年5月