研究報告
暖房方式が子どもの疾病に及ぼす影響
#健康・快適
#空調
積水ハウス株式会社/2021年3月
日本では、子どものアレルギー性疾患が増加しています。アレルギー疾患には遺伝と環境の両方が関与しており、住環境が特に重要です。
本研究では、冬季の住宅内温熱環境と子どもの疾病の関連を実測調査により検討しました。結果として、居間の床上1mの室温が20℃以上のグループでは、アトピー性皮膚炎の発症オッズが0.3倍、湿度40%以上のグループでは中耳炎のオッズが0.5倍と低くなりました。また、床放射式暖房を使用する家庭は、対流式暖房と比べてアトピー性皮膚炎や中耳炎のリスクが低いことも確認されました。
調査対象の多くは一定の断熱性能(次世代省エネルギー基準)以上でしたが、全国的には断熱性能が不足している住宅が多いのが現状です。今後は、より寒冷地域のデータを収集し、研究を進める必要があります。また、他の要因も考慮してさらに詳しく分析する予定です。
研究報告
暖房方式が座位行動に与える影響
#健康・快適
#空調
近年、日本では生活習慣病やアレルギー疾患の増加が見られ、身体活動の促進が重要とされています。しかし、新型コロナウイルスの流行を機に在宅時間が増え、座位時間も増加しています。
本研究の目的は、住宅内の温熱環境が在宅時の行動に与える影響を調査することです。対流式のエアコンによる暖房と、放射式の床暖房による座位時間の違いや、暖房の利用促進による行動の変化を分析しました。
分析結果では、対流式暖房を使用している人は床放射式の人よりも座位行動時間が1日あたり32.5分短い傾向がありました。また、居間の床近傍室温が1℃高いと座位行動が5.4分短縮され、室間温度差が1℃大きいと座位行動が10.8分長くなることがわかりました。
さらに、脱衣所暖房を使用することで座位行動の中断回数が増加する傾向も確認されました。これらの結果から、暖房方式や温熱環境が座位時間に影響を与えることが示唆されます。