研究報告
シックハウス症候群と住環境の健康影響
#健康・快適
#空気環境
積水ハウス株式会社/2019年9月
新築やリフォーム直後に不調を訴えるシックハウス症候群(SBS)は、日本で厚生労働省により対策が進められていますが、依然として新たな化学物質による健康影響が報告されています。
この研究では、住環境の変化とSBSやアレルギー様症状との関連を徹底的に調査しました。具体的には、近年の住環境や生活習慣とSBS症状の関連データを収集し、SBSの経験の有無や頻度から「SBS予備軍」を定義し、その割合を明らかにしています。特に若い世代に多く見られるSBS予備軍の要因として、花粉症やアレルギー性鼻炎、空気質や湿気、掃除頻度の低さなどが挙げられました。
また、継続的な暴露で症状が悪化する可能性もあり、特に若年層に注意が必要です。なお、調査では高気密・高断熱住宅の断熱性能との関係は確認されませんでしたが、SBS予防には換気や掃除など日常的な空気環境の改善が求められ、それらを実施しやすい環境計画が重要です。
研究報告
室内化学物質濃度と健康への影響
#健康・快適
#空気環境
人は1日に約15~20kgの空気を呼吸し、特に現代社会では90%の時間を室内で過ごすと言われています。そのため、室内空気質が健康に及ぼす影響に注目が集まっています。
千葉大学予防医学センターでは、「ケミレスタウンプロジェクトフェーズⅢ」を2017年に開始し、シックハウス症状やアレルギー様症状を引き起こさない室内環境を目指しています。
2棟の実証実験棟(LH1棟およびLH2棟)での実験の結果、TVOC濃度が低い空間では、SBS症状の発生率が低いことが示唆されました。このときのLH1棟のTVOC平均値は53.2μg/m³、LH2棟は3620μg/m³でした。
高いTVOC濃度の新築住宅やリフォーム直後の空間ではリスクが増大するため注意が必要と言えます。今後は、SBSの発症メカニズムを個別のデータに基づいて詳細に分析していく予定です。