私のファミリー スイートvol. 07(1) 料理人・ライフスタイルデザイナー おもてなし夫婦ユニット「てとてと」 「場」×「食」がうみだすコミュニケーション。

ホームパーティーや料理教室『てとてと食堂』を主宰する、“おもてなし夫婦ユニット てとてと”。ホームパーティーの達人であるおふたりに、ファミリー スイートでホームパーティーを再現していただきながら、自身のライフスタイルや自宅でおもてなしをするコツをうかがいました。

夫婦の得意分野を生かして始めたホームパーティー。

豪希 今でこそ『てとてと』が職業になりましたけど、僕たちが結婚した当初はそれぞれ料理とはまったく別の仕事をしていました。僕がプランナー、彼女がデザイナーと、平日はそれぞれ普通に会社員をしていたんですが、週末はふたり共通の趣味のホームパーティーが恒例。僕は父が料理人だったこともあって物心がつく頃には包丁を握っていたくらいで、学生時代から友だちにご飯を作ることも日常のことでした。
桃子 彼の料理は家庭料理の域を超えていて、たとえばハンバーグを作ればソースを4種類も5種類も作っちゃうような人。デザートもすごく上手でなんでも作るから、これは私たち二人で食べているだけじゃもったいないと思うようになって。私はそこまで料理に自信はなかったんですが、イベントを企画するのが大好きだったので、だったらお互いの得意分野を生かそうということになりホームパーティーを開くようになったんです。

『てとてと食堂』では、夫の豪希さんが料理、妻の桃子さんが企画やインテリアの演出を担当しています。

豪希 でもそのときは賃貸の狭い部屋で、呼べても2,3人。料理教室を開くこともあったので、もっとたくさん人を呼べる部屋に引っ越そうという話になって家探しをしました。
桃子 当時住んでいた家がヴィンテージマンションをリノベーションした家で、とても気に入っていたんです。だから同じような雰囲気の賃貸を探したんですが、リノベーション物件は家賃がとても高くて。だったら自分たちで作ったほうがよいのでは? となって、中古マンションを買ってリノベーションをするという選択をしました。

豪希 結果的にこの選択が自分たちにとっては大きなターニングポイントになりました。

ホームパーティーは基本的に、小人数の場合は着席形式、大人数が集まるときはビュッフェ形式をとることが多いそうです。

本日のお品書き

冷製ラタトゥイユ / 柿・なめこ・アスパラのゼリー寄せ / マスカルポーネと生ハムオリーブのクラッカー / サーモンとじゃがいものマリネ / 金時草と春菊と梨のサラダ / エビと柴漬けのライスボール / ローストビーフ、カブと生姜のソース / 紅茶のシフォンケーキ

住まいを変えたら、仕事も生き方も変わった。

豪希 リノベーションの際にオーダーしたのはけっこうシンプルなことで、人がたくさん集まれる広いリビング、料理教室ができるようなオープンなキッチン、あとは使い勝手のいいパントリーがほしいという3点くらい。あとは建築家の方が僕らのライフスタイルや価値観から導き出してくれた感じです。それが出来上がってみたら本当に自分たちにぴったりで。
桃子 あまりに心地よい家だったので、いざそこに住み始めたらホームパーティーの頻度がどんどん加速していっちゃったんです。以前は月に2回程度だったのが、月に10回、年間だと100回以上になっちゃって(笑)。最初の1年間は本当にホームパーティーに夢中になって、だんだん仕事よりも家仕事のほうが楽しくなってしまったんです。そのうち私が会社を辞めたくなってしまって……。彼に相談したら、“だったら辞めれば”というから、じゃあ辞めますと翌日に退職(笑)。そしてすぐにふたりの会社『TETOTETO Inc.』を作りました。
豪希 すごい行動力ですよね(笑)。僕はしばらく会社員生活を続けていたんですけど、彼女が会社を作ったときに共同経営者になっていたので、結局、半年後には僕も合流する形で会社を辞めました。だから正直、てとてと食堂ありきで起業したというのとは少し違うんです。料理を本業にしようとまで思っていなかったけれども、ホームパーティーや料理教室ができる自宅にしたらその「場」に引っ張られて、結果的に暮らし方やワークスタイルまで変わっていったという感じです。
桃子 もともと好きでやっていたことが、「場」ができたことで勢いづいた。
豪希 だから本当に、「場」というか、空間とか家ってものすごく大事だなって実感しているんです、その時から。家が仕事や生き方まで変えてしまうんですから。

キッチン、ダイニングが一体になった大空間は「てとてと食堂」も同じ。作る人とゲストが一体になって楽しむのがてとてと流です。

「居場所」が連なる大空間。

豪希 『てとてと食堂』のように自宅を開放するとか、大勢で集まれる家が好きというのは、僕の原体験が大きいかもしれません。僕は九州の出身なんですが、家に鍵をかける習慣がないような地域だったんですよ。土地はいくらでもあるようなのどかな田舎町なのでどの家も広くて、自宅で冠婚葬祭ができるような和室の続き間がある家ばかり。そんな生活が根っこにあるので、広くて庭のある今の家に出合ったとき、都会でもそういう暮らしができるかも、みたいな感覚はありました。
桃子 私は真逆で、神奈川の出身なので小さいマンションが実家で、頻繁に人を呼ぶことがないような環境で育ちました。だから彼の実家のような環境に強い憧れがあったように思います。結婚前に彼の実家にあいさつにいったら、誰だかよくわからない近所の人もいっしょにご飯を食べているですよ、アポなしで誰でも来ちゃうから(笑)。それがすごい面白いなと思ったんですよね。今の家はマンションの1階で庭もあって、ほとんど一戸建てのような感じ。外や町とつながっている感じが自分たちの価値観にとても合っていました。
豪希 家のなかも壁で細かく仕切るのはダメですね、何しろ町とつながっていたいくらいですから(笑)。だからキッチンもダイニングもリビングもぜんぶつながっている大空間。リビングからテラスに出られて、まさにこの展示場みたいです。
桃子 ただ広いだけじゃなくて、キッチンからつながるカウンターテーブルがあったり、落ち着いて座れるソファがあったり、ひとりになれるベンチがあったり、いろいろな居場所があることにもこだわりました。
豪希 てとてと食堂のホームパーティーでは庭も活用します、ひとつの居場所として。
桃子 ウッドデッキにキャンプグッズを出したり、畳を敷いたり、七輪を出してサンマを焼いたり。子どもが来るときはテントを張ったり、ぬいぐるみをたくさん出して好きなように遊べるようにしたり、料理だけでなくテーマによってインテリアも変えています。ゲストの方たちは本当に好きなように居場所を使い分けてくれますよ。
豪希 広い空間があることは大事ですけど、ただ広いだけだと居場所が決まらない場合もあるので、大空間のなかにうまく居場所を作るのが大切だと思います。
桃子 テーブルや椅子の高さも大事で、居場所ごとに座面の高さを変えています。そうすると最初はカウンターで立ってしゃべっていたのが、最後は庭の畳でくつろいでいたりとか、気分で移動できるんですよね。

リビングからつながる外部空間もホームパーティーにとっては重要な居どころ。てとてと食堂では、テントなどのキャンプグッズや置き畳を常備しているそうです。

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