私のファミリー スイート 特別編 「ファミリー スイート」の原点へ。
ー 前編 ー

軽井沢時間旅行

イラストレーターであり、フラットハウス(平屋)の暮らしを追求するアラタさん。自身でカスタマイズしたフラットハウスに住みながら、同趣向者を取材した著書『FLAT HOUSE LIFE1+2』『FLAT HOUSE style』も出版し、多くの共感を得ています。今回はアラタさんがカバーイラストを担当した「ファミリー スイート」の原点、1963年建築の「セキスイハウス A 型」を訪ね、60年の時を超えた時間旅行へ。軽井沢に現役の住居として残るA型の魅力について語っていただきました。

積水ハウスの「家族の幸せな暮らし」。
ここからすべては始まった。

 軽井沢の木立からA型のフォルムが見えた時「おお!」と声を上げてしまいましたね。気がつかずに一度前を通り過ぎてしまったのですが、それは想像よりも小さいかったからかも知れません(笑)でも今の住宅にはない “可愛らしさ” がありますね。いやあ、こんな森の中60年間もよく残っていてくれました。ここから日本の戦後住宅史の一端が始まったのかと思うと、さらに感慨深いですね。

セキスイハウスA型

「国産工業化住宅」の第一号と言えるモデル。軽井沢の物件は建築当初の仕様を残して現存する唯一の住宅であることから、戦後住宅業界の一側面を語るものとして評価され、国の有形文化財に指定。安全・安心・快適な暮らしを提供し続けているプレハブ住宅産業の、まさに黎明期の逸品であり、242万戸を超える建築実績を重ねる積水ハウスの原点とも言える存在。

 僕がA型に興味を持ったきっかけは、ライフワーク化したフラットハウス(平屋)の取材でなんです。拙著の取材対象は主に戦後に建てられた木造平屋で、駐留米軍の兵隊用に建てられたDependents housing=通称:米軍ハウスや、それを模して建てられた文化住宅なんですが、それらに混じって時々プレハブ住宅に出会うことがありました。なんだこれはと調べると、ハウスメーカーの黎明期のものだということが判明。玄関のトランザム(明り採り窓)のデザインや部屋のレイアウト、あまり見ない古そうなユニットバスがムキ出しでバスルームに収まっていたりと、今の住宅には見られない実験的要素が満載。ジツに面白いんです。

 で、さらに調べてみたら、現在は大手となったハウスメーカー各社が当時はこぞってこの手のプレハブを発売していたこと、どうやらそれらが各社の出発点にあったということも判って来ました。今はすっかりマイルドになり、少々画一的になってしまった感のハウスメーカーも、多感で尖がっていた青年期があった。コーポラティブな発想でグランドデザインをつくり、それを日本全国でやっていこうという強い意志を持っていた。その代表作こそがこのセキスイハウスA型だったんじゃないか、というわけです。


 戦前までは土間があってそこで煮炊きをしていた日本の住宅も、戦後の高度経済成長期には室内に水回りを備えた西洋スタイルへとシフトしましたよね。それはまさに昭和20年代にそこかしこに建てられた米軍ハウスがマスターピースだったといわれていますが、それに伴って並行輸入されたのが「家族が一緒に暮らせる一戸建て」という概念。それこそが国産工業化住宅のはじまりに大きく掲げた金看板だったんでしょう。

 セキスイA型の従来の「木と紙と土」でつくられた日本の住宅を、「鉄とアルミとプラスチック」といった新素材で造ろうじゃないかというアイデアのネタ元は、アメリカのディズニーランドに建設されたオールプラスチック製の「House of the Future」だそうですが、そのアメリカ合理主義的なアプローチをジャパニーズスタイルでやってみようと考え、実際にやってみたというところがスゴいですよね。

今の家にはないA型の素晴らしさ

55 年間現役の鉄製扉。

 この玄関ドア、スゴくいい。レタースロットも今だとアンティーク建具店で見かけそう。プレハブとはいえ、屋内外ともに本当によく考えて丁寧に造られている印象です。サービス精神というか、こうしたらみんな家に居るのが楽しくなるでしょう~という心意気が見て取れます。

天井は船底と洒脱。

船底天井も注目です。これは本来数寄 屋造りなど和式住宅に用いられていた様 式ですが、ほかの戦後モダン住宅でもし ばしば見かけます。僕が福岡の米軍ハウ スでやっているゲストハウス『FLAT HOUSE villa』にも船底天井が一室あり ますよ。

「森から緑のリフレクションがたっぷり入る」キッチン。

「ペンキの色がいい」風呂の収納扉。

サッシもアルミでなくアイアン。「下部のモールガラスとハンドルが時代だなあ ~」。

 この和洋折衷スタイルは、ハーマンミラーやポール・マッコブなんかの影響もあるんでしょうか、ミッドセンチュリーモダンのカテゴリーにはオリエンタルカルチャーへのアプローチもあって、それを逆輸入したといった体なのかもしれないですね。そこかしこに発見があって、ホント面白い。こういうハウスデザインの変遷や供給住宅の生い立ち、つくられた時代背景なんかが垣間見られるのが昭和のフラットハウスの楽しさなんですよね。こんなふうにいろいろと想像をひろげてくれる家なんて、今はなかなかないですよ。

A 型を撮影するアラタさん。

A型の復刻を!

 以前からよく友人と「なぜ自動車メーカーは昔の名車のレプリカを出さないんだろうか」ということを話していました。今のテクノロジーを駆使すれば、素材やディテイルに徹底的にこだわりつつも現代のクルマの優れた部分を取り入れた素晴らしいレプリカができるはずです。


 なので家も同様、 積水ハウス にはぜひこのA型を蘇らせて欲しいですね。多少のアレンジは加えても、基本はこのままで。単体での販売もいいでしょうが、その昔の代々木ワシントンハイツや横田基地のジャパマハイツのように集落化させ「A型ハイツ」なんて青写真、ワクワクしませんか? 周囲には樹々を茂らせてビオトープをつくったり、公園や多目的広場なんかもつくってゾーニングしてね。そんなのをエリアで造ったら住みたがる人は殺到すると思いますよ。若い世代の収入が減少していることやミニマル志向が強まっている今は、必ずしもみんな広い家を欲しがっていません。賃貸のワンルームで一生過ごしてもいいなんて若者も大勢います。地域社会の見直し、コミュニティの復活、モバイルハウスやタイニーハウスの人気、そしてフラットハウスが注目されている今こそ復刻のタイミングじゃないかと思いますね。ご検討をお願いします(笑)。

イラストレーター・文筆家
アラタ・クールハンドさん

東京都出身。挿絵、ロゴタイプの制作、パッケージデザイン、広告、音楽ヴィジュアルなど手描きのグラフィックを中心に、企画や執筆、講演など幅広く活動。 2009年に、東京都下周辺の古い平屋ばかりを紹介した『FLAT HOUSE LIFE』(現在は『FLAT HOUSE LIFE1+2』として合本再発)を発刊。その後、一冊に平屋一軒というよりマニアックな『FLAT HOUSE style』シリーズを自費発刊するなど編集者としても手腕を発揮 。そのほかにも店舗を兼ねた物件で暮らす人々を紹介する『HOME SHOP style』などの著書がある。東京都下と福岡のフラットハウスで2拠点生活を送りながら、古家の再生やCDのリリースなど多彩な活動を展開している。

家族がいっしょに、そして思い思いに暮らす幸せを
A型から、ファミリー スイートに。

「家族がいっしょに暮らせる一戸建て」というA型の概念こそ、ファミリー スイートの原点。
大空間にフリースペースがあり、家族みんなでの集いを楽しみながら、家族それぞれの成長にあわせて、さまざまな居どころを演出できます。

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