03 出産前の家族ミーティングが、夫婦の絆を深めるきっかけに
あきえ先生:私は第2子が生まれるとき、さすがに夫婦でチームになって、夫にも家事をやるメンバーとして入ってもらわないと無理だなと思って、かなり話し合いをしたんです。
夫には「生まれてすぐの3ヶ月だけ頑張ればいいという話ではないからね」「ずっと継続できるように、一緒にタスク管理して自分の体力も調整してね」と訴えました。
そこから夫は別人のように変わったんです。得意ではなかった料理も動画を見ながら頑張って作ってくれるようになって、今では日によって夫婦で子どもの送迎担当とご飯担当を分担しています。
積水ハウスさんでは育休前に「家族ミーティングシート」というものを活用しているそうですが、皆さんはどんなふうに話し合いをされたんですか?
槻並:まず、どんな家事・育児があるのかを確認するためのチェックリストがあるので、それを妻に見せて、いつどういう家事や育児、行政の諸手続きなどがあってどうフォローをしていく必要があるのかを確認しながら、お互いの担当を決めました。
そして、話し合った内容をまとめた「家族ミーティングシート」と育休の申請書を合わせて会社に提出するんです。
あきえ先生:男性側からパートナーに話し合おうと持ちかけないといけないという労力があるんですね。
槻並:おそらくあきえ先生のように、女性側からちょっと強く言い聞かせるみたいな家庭が多いと思いますが、私たちは会社のこのツールを使って、夫から話し合いの場を持つことで、妻に言わせなくても「こっちもやらないといけないことが何なのか、ちゃんと気づいているよ」という姿勢を見せられるぞという感じでしたね(笑)。
あきえ先生:頼もしい! 私は「チーム育児」を掲げて、家族のミッション・ビジョン・バリューを話し合うワークショップを開催しているんですが、まず男性に話を持ちかけるところからハードルが高いという女性がすごく多いんです。
夫をワークショップに誘っても「一緒に行ってもいいよ」と、ただ付き合っているだけという感じで、そういう男性の態度に悩んでいる女性がたくさんいます。男性から話し合いの場を持つとき、女性の反応はどうでしたか?
堀口:「家族ミーティングシート」のチェックリストは、たとえば食事ひとつを取っても「ご飯を作る」という項目だけでなく、「食器を洗う」「食器を戻す」のように細分化されたリストなんですけど、夫のやることリストがすごく埋まります(笑)。
あきえ先生のようにパートナーに言葉で伝えなくても、リストに丸をつけることで夫のやることをどんどん確定させていくことができるんです(笑)。
でも実際、本当にこんなにたくさんミッションがあったのかと気づかされることが多かったです。これまで妻がひとりで全部こなしていたのかと知って、自分だったらこなし切れないなと思いました。
槻並:食事などの家事はある程度夫側でも見えている項目なので、正直私は結構全部やれているつもりでいたんですけど、実は裏側で妻が保育園・子育て支援サービスのリサーチや、届出・申請などをやってくれていたことにリストを見て気づかされました。妻には「知らなかったでしょ」と言われましたね(笑)。
あきえ先生:状況が見えないことが心の不満につながると思うので、誰がどれくらい負担しているのかが可視化されるのは良いことですね。出産前にこのリストを埋めて、話し合いの時間を取るだけでも決して簡単なことではないので、とてもいい機会ですね。
杉山:私は、妻の言うことを聞いていれば人生はうまくいくと思っているので、話し合いというか、私からは何も言うつもりはなく、妻に示されたものをやるという気持ちでした。でもやはりリストを見て、妻の大変さがよく分かりましたね。だから妻からしたら、やって当たり前のことだよね、と。それに気づいて当たり前にやってほしいという気持ちだったと思います。
槻並:このリストを機に、言われる前に目につく家事はやっておくというのが身につきました。妻の機嫌が悪いと家の雰囲気が悪くなると思うので、親が気持ちに余裕がある状態をつくるために、自分ができることをすれば、家庭の雰囲気が良くなるなと感じています。
私ははじめての育休では、終わる頃にはちょっと手荒れしていて。家事育児ってすごく大変だなというのは身を持って感じたので、世の中で言う妻に対するNGワードの「手伝うよ」とかはもう絶対言えないし、子どもが増えて育休を取るごとに、そういうことじゃなくて、やれることは自分からするという意識がちょっとずつ身についてきたのかなと思います。
後編はこちら:育休を経て実感した「子育てしやすい住まい」と「家族のしあわせ」
IKUKYU.PJT 日本にもっと男性の育児休業を。
https://www.sekisuihouse.co.jp/ikukyu/
関連記事
積水ハウスでは、「子どもの生きる力を育む家」を「子育ちの家」と呼んでいます。
「子育ちの家」や「モンテッソーリ教育」についてもっと詳しく知りたい方はこちらのページも合わせてご覧ください。
- 1
- 2

