収納と片づけVOL.03
家族が自然に片づける！幸せな片づけのシカケ
年末年始は片づけのチャンス。生活の変化や模様替えに合わせて、整理収納を見直してみませんか？家族のペースでできる「幸せな片づけ」の秘訣を、整理収納アドバイザー水谷妙子さんに伺いました。
Vol.01 もう片づけに悩まない！自然とキレイが続く家のシカケとは？
Vol.02 子どもの「やりたい」を引き出す片づけのシカケ
水谷妙子
3児の母。無印良品にて生活雑貨の商品企画・デザインを13年間担当。仕事で機能的なものづくりをする一方、実は片づけが大の苦手で、子どもが産まれてからますます家の中が整わず悩むなか、「暮らしの仕組みづくり」という整理収納の考え方と出逢う。その考え方に救われたことをきっかけに、整理収納アドバイザーとして独立。2020年7月に初著書『水谷妙子の片づく家 余計なことは何ひとつしていません。』、続く11月に2冊目の著書『水谷妙子の取捨選択 できれば家事をしたくない私のモノ選び』を出版。
http://taekomizutani.com
水谷さんから教わる
〜片づけがはかどるマインドセット〜
水谷さんのPOINT①
引越しや大掃除は、暮らしを見直すチャンス
賃貸・新築にかかわらず、引越しや住み替えを考えるとき、まず「今の暮らし」を見直しましょう。今の家が散らかりやすいなら、その理由を探ってみませんか？
「どうしてこうなるんだろう？」と考えることで、片づけやすい仕組みや工夫が見えてきます。暮らしのクセを知ることが、快適な住まいへの第一歩です。
水谷さんのPOINT②
家族とのすり合わせはしていますか？
どんな暮らしでどんな収納なら家族がもっと幸せになれるのかと、じっくり考えてもらいたいのですが、そのときに、ひとりで考え込まず家族みんなで考えてみてくださいね。
どんな状態ならくつろげるのか、何が暮らす上で大事なのか。まず、それぞれの想いを知って家族みんなが納得する解決策を考えましょう。
当人同士だけだとお互いに譲れず、ぶつかってしまうことも多いので、そういうときこそ、お片づけのプロなど第三者が間に入ると解決できたりします。もし、第三者を入れることが物理的に難しい場合は、たとえば「こういう考え方があるみたいだよ」と何かの資料や記事をシェアして意見を聞くのがおすすめです。あとは、今すぐ解決することと捉えず、少し時間を置いて、お互い冷静になって考える時間を持つことも大切です。
水谷さんのPOINT③
“捨てられない物”を捨てるためにまずやるべきこと
思い出の品や愛着のある物は、なかなか手放せませんよね。それは、物そのものよりも、そこにあるストーリーに価値を感じているから。そんなときは「自分にとって愛着がない物は何か」を考えてみましょう。
たとえば、わが家で言うと、日用品や食材などの消耗品は、感情を挟まず整理しやすい物です。簡単に処分できる物から始めると、少しずつ家が整っていきます。
捨てられない理由が「高かったから」「誰かにもらったから」なら、本当に必要かどうかを見直すチャンス。手放すことで、新しい物を迎える余地ができます。
水谷さんのPOINT④
必要な物どうか、判断できないときの対処法
引越しはすべての持ち物と向き合うとても良いタイミングですが、梱包が間に合わず判断に迷う物は、ダンボールの外に「もやもやマーク」をつけて一旦保留にしましょう。
開封時はその箱は置いておき、日常的に使う物を先に収納します。最後に開封にしますが、そのときでも判断が難しければ、今やらなきゃと思わなくても大丈夫。半年ほど寝かせてみるのも一つの方法です。
開封作業では、目の前にある棚にとりあえず入れてしまいがちですが、一度収まるとそのままになりやすいもの。「もやもやマーク」の箱の中身も“とりあえず”とどこかに収めないように注意しましょう。使いやすさは収納の作り方次第で決まります。毎日よく使う物、あまり使わないけど必要な物、飾りたい物など、事前に使用頻度で分けて収納場所を考えることで、より快適な生活空間をつくることができます。
水谷さんのPOINT⑤
ルール変更が決め手！家族みんなが自然と片づけられる秘訣
整理収納で最も大事なのは「いつでも変えられるようにしておくこと」です。一度決めたら変えたくないと思いがちですが、今の状況に合わないと感じたらそれを認めて変えられるかどうかが“カギ”です。
たとえば、子どものランドセル置き場を2階に作ってもそこに置いてくれないという場合、子どもを責めるのではなく、実際に置かれている場所こそが本来の収納場所だと考えるべきなんです。家族の様子を見てやりやすいように変えていけば、片づけがスムーズになります。
ルールに無理がなかったかを考え、守れるように変える柔軟性が必要です。これは大人同士でも同じこと。誰も完璧ではなく、正解は分かりませんよね。家族それぞれが納得できる形で、少しずつ一緒に変えていければ、みんなが幸せに暮らせます。
水谷さんのPOINT⑥
収納を増やすより持ち物を手放して、見えてくる景色や余白の時間を楽しんで
かつてはたくさん持っていることが豊かさでしたが、今は「少なく持つこと」が豊かさ。物の価値が変わり、従来のように収納スペースを増やせばOKというわけではなく、状況に合わせて変えられる柔軟さが大切です。
今は持ち物に対する考え方も変わり、いい意味で所有欲があまりなく、レンタルやサブスク、フリマサイトの活用で物を気軽に入れ替えることが当たり前になってきていますよね。ですから、暮らしに合わせて収納を変化させていくことが大事なんです。
今ある収納と持ち物を見直し、物を減らすことで生まれる余白や時間を家族と一緒に楽しみましょう。
モンテッソーリ教師あきえ先生
おうちの環境をどうするかという話し合いに子どもも参加でき、自分の意見も聞いてもらえるという経験は、帰属意識や主体性の育みにもつながります。また、一度決めたら変えられないものではなく、やってきた結果によっては調整していくことで「調整力」を育むチャンスにもなりますね。
関連記事
対談
2025/03/31
収納と片づけVOL.01 もう片づけに悩まない！自然とキレイが続く家のシカケとは？
対談
2025/07/31
