読み物
2018年9月より「男性社員1ヶ月以上の育児休業(育休)完全取得」を推進し、9月19日を「育休を考える日」に制定している積水ハウス。
育休を取り終えた3人の男性社員の皆さんに集まっていただき、前編では男性育休の実体験から、男性たちの心境の変化、夫婦の変化などをモンテッソーリ教師あきえ先生も交えてお話していただきました。
後編では、子育てしているからこそ分かる「子育てしやすい住まい」と、育休後に気づいた「家族のしあわせ」について伺います。
前編はこちら:家づくりのプロたちが語る、父親の育休と家事育児
杉山 優
積水ハウス株式会社 東京営業本部
東京北支店店長
3児の父:9歳(男の子)、7歳(女の子)、4歳(女の子)
堀口 則彦
積水ハウス株式会社 東京営業本部
東京南支店 一級建築士
1児の父:4歳(男の子)
槻並 省吾
積水ハウス株式会社 人事総務部
4児の父:13歳(女の子)、10歳(女の子)、8歳(男の子)、1歳(男の子)
あきえ先生
モンテッソーリ教師・当サイトの監修者のひとり
2児の母:9歳(女の子)、3歳(女の子)
01 家事育児の大変さを知って、改めて考える「子育てしやすい住まい」
杉山:私は自分に子どもができるまでは教科書通りというか会社が推している動線などの定番の提案をしていたのですが、子育てのしやすさって、必ずしもそれに当てはまらないなと感じるようになりました。
その家族の形によって最適な間取りは全然違うので、それぞれのお客さまの話をじっくりと聞いて、今の不満は何なのか、それを解消するためにはどうすればいいのかを一緒に考えて提案するようになりました。
私自身、家を建てる計画中なのですが、子どもが3人いて、長男は小学4年生。今住んでいるマンションでは、長男はダイニングで勉強していますが、その横で下の子どもたちが遊んでいるので、長男からするとうるさくて集中できないことがあって。
普通はLDKを広くする提案が多いのですが、私たちはそこの空間をどう分けるかを考えて、結果的に1階にキッチンとダイニング、2階にリビングと、分けることにしました。
槻並:私は、積水ハウスが提案している広いリビング空間を取り入れて、実際に家族が集まりやすいリビングになったというプラスの効果がすごくありました。
それと同時に、杉山さんがおっしゃるように、違うことをする人間が同じ空間にいると、音の問題に関しては必ずしも良いとは限らないので、2階の小部屋をうまく活用したりしています。
堀口:私たちは子どもがひとりなので、同じ空間で親と子がいて子どもが少しうるさくてもあまり気にならないですが、槻並さんや堀口さんのようにお子さんが増えてくるとそうはいかないですよね。
あるお客さまで同じような悩みの方がいて、リビングの一角に勉強するスペースを作ったんですが、扉もつけて仕切れるようにしつつ、様子が分かるように壁をガラス張りにすることを提案しました。音は聞こえないけど、見えるから気配を感じることができる空間です。それはお客さまにすごく喜んでいただきました。
子どもも勉強部屋にこもってしまうのではなく、お互いなんとなく気配を感じながら過ごせて、大人がキッチンに立って、その目線の先に、勉強している子どもの姿が目に入るという、程良い距離感で心地いい空間になるんです。
あきえ先生:なるほど。素敵ですね。わが家もまさに考えなければいけない時期で、やっぱり上の子が下の子に邪魔されない空間が欲しくなってきています。今は1部屋をふたりに共有してもらっているのですが、発達段階が違うので、長女には「自分の部屋がほしい」「引っ越したい」と言われているところです。
槻並:私の長女は中学1年生で、今は長女には自分の部屋があるんですけど、子ども4人なので部屋数は足りないです。わが家も何かしらの形で共用していくことになりますね。でも下の男の子が部屋を欲しくなる時期には、長女はもう家から出ていっている可能性もあるので、ところてん式に入れ替えていけると良いかなと。
堀口:引っ越すのは簡単なことではないですが、槻並さんのように、タイミングやライフサイクルに合わせて、どんどん家の中で子どもたちそれぞれの居場所を変えていくのはひとつの手段として良いですね。
杉山:子どもの居場所として、今の時代はダイニングも重要かなと思います。私はいつも広いダイニングテーブルをおすすめするのですが、4人家族であっても4人掛けではなく、もっと広いテーブルを置くと、そこで子どもが勉強していても邪魔にならなくて良いですよ、と。
家族みんなでソファに座ってテレビを見る時代ではなくなった今、コミュニケーションを取る場所はダイニングテーブルが増えていると思います。
堀口:あとは、いつか部屋を分けられるように、子ども部屋は最初広く作っておきたいというのはすごく多いご要望ですが、今の家は家全体の空調が整っていてすごく快適なので、子ども部屋が広すぎちゃうと部屋から出てこなくなって、家族のコミュニケーションが減るんですよ。
昔は冬場など自分の部屋が寒すぎていられなくてリビングのこたつに入りに行くなど、自然と家族がリビングに集まっていたと思いますが、今の家はそうならなくて。だからお客さまにはお子さまの部屋は極力狭くしてリビングを快適にした方がいいですよとお伝えしています(笑)。
部屋を狭くすれば、その分リビングのスペースがもっと広く取れますし、共有できるスペースを増やした方が、良い家族関係にもなると思います。
02 育休を経て、変わったこと
あきえ先生:育休を取ったことで、「子育て」「パートナーシップ」「キャリア」という3つの軸で考えたとき、最も影響を与えたのはどの部分でしたか?
堀口:私は仕事に対する考えです。妻もフルタイムで働いていて、妻は土日休み、私は火・水が休みなので、今は火・水は家事育児をすべて私が担当しているんですが、子どもが生まれる前までは、その週に終わらなかった仕事があったら休みの日に残業すればいいかと、自然となっていたんです。
今も息子は保育園に預けていますが、火・水に仕事ができる時間はほとんどないので、その辺の感覚がいちばん変わりましたね。
杉山:確かに私も仕事の時間の使い方は変わりました。堀口さんと全く同じですけど、育休を取る前は終わらなかった仕事は休みの日に残業して、子どもの面倒は全部妻が見ていたんですけど、それはやっぱり正しくないと思うようになりました。
今は基本的に子どもの前で仕事はしないと決めているので、そこはかなり変わりましたね。すべての時間を仕事に使っていたのが、今はもう限られた時間の中で、時間の価値をいかに考えて終わらせていくかが重要なので、時間の使い方がうまくなったと思います。
会社としてもひとりでワンマンセールスをしない体制になったので、組織的に変わったのも大きかったです。
槻並:確かに私も一番影響を与えたのはキャリアかもしれないです。私は営業ではないので土日休みですが、1週間の中で8、9割が仕事優先だったのが、すごく家庭の割合が増えました。
会社が育休制度を整えてくれて、平日に休むことを推奨してくれて、家庭の時間を作らせてもらえたので、必ずしも仕事が最優先でなくていいんだなという気持ちに変化したのは大きいです。
男性育休制度が始まったあとくらいから、有給休暇もしっかり取っていきましょうという流れになり、休むことに対するハードルが下がってきたのも男性育休が広がることの効果のひとつだなと思います。
あきえ先生:日本の男性が家庭に割いている時間数は世界の他の国と比べて圧倒的に少ないと言われていますが、その状況を私たち自身が変えていかないといけないですし、そのために企業がリードし、そして社員さんたちがそれを実現していけているのは、本当に素敵なことですね。
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