夏休みになると子どもたちが家にいる時間が長くなり、家の中がすぐにぐちゃぐちゃになってしまう!という声をよく聞きます。でも実は、長い休みこそ“片づけの仕組み”を見直す絶好のチャンスなんです。いつも子どもに「ちゃんと片づけて」と言ってもなかなか綺麗に片づかないと困っている人も、この機会に子どもと一緒に収納の仕組みから見直してみてはいかがでしょうか。
子どもたちのおうち時間が増えても、子どもの物の片づけがもっとラクになるヒントを整理収納アドバイザーの水谷妙子さんに伺いました。
Vol.01「もう片づけに悩まない!自然とキレイが続く家のシカケとは?」の記事はこちら
水谷妙子
3児の母。無印良品にて生活雑貨の商品企画・デザインを13年間担当。仕事で機能的なものづくりをする一方、実は片づけが大の苦手で、子どもが産まれてからますます家の中が整わず悩むなか、「暮らしの仕組みづくり」という整理収納の考え方と出逢う。その考え方に救われたことをきっかけに、整理収納アドバイザーとして独立。2020年7月に初著書『水谷妙子の片づく家 余計なことは何ひとつしていません。』、続く11月に2冊目の著書『水谷妙子の取捨選択 できれば家事をしたくない私のモノ選び』を出版。
http://taekomizutani.com
INDEX
01 子どもでも簡単!「分かる収納」の仕組みづくり
水谷さんからのPOINT①
まずは、子ども本人と相談
子どもも大人も、片づけってやりたくないこと。だから、すぐ終わりそうな仕組み、本人がやりやすいやり方を一緒に考えることが大切です!子どもの物の収納方法は必ず本人と相談してくださいね。
家の中をいつも綺麗にしておきたい人ほど、親が子どもの持ち物の収納場所もすべて決めてしまいがち。そして、せっかく収納場所をきちんと決めているのに「子どもが全然そこに片づけてくれない」と悩んでいる人も多いのでは?
実は、親が決めた細かい収納やどこにあるのか分からない隠れた収納などが多いと、子どもにとって片づけは、「分かりにくく、面倒なもの」になってしまっているかもしれません。子どもたちができないことを嘆く前に、まずは今の収納場所や収納方法が本当に子どもにとって使いやすいのか、一緒に話し合いながら見直してみましょう。
子どもの持ち物の収納を子どもと一緒に相談しながら決めると、「自分で決めたから分かりやすい」「自分のことだからちゃんとやろう」と、片づけにも主体的に関われるようになります。
水谷さんからのPOINT②
最初は、まとめて置く作業から。
「このエリアに収まっていればOK」がスタート
最初から全部できなくて当たり前!置くことができない子は決められた引き出しやボックスに入れることも無理です。だからまず、“置く”作業が大原則。それができるようになったらボックスに入れたり、フックにかけたりと、段階的に。
物を置くという動作ができるようになる2歳くらいから、子どもに片づけの感覚を少しずつ育てていくことができます。最初は、ラグの上やタオルなどを使って「このエリアに収まっていればいいよ」と、遊びの延長でそこにおもちゃを集めるように促してみましょう。
1カ所に物をまとめることができるようになったら、次は2カ所に。たとえば絵本とおもちゃといった違う種類の物を分けることから始めると、少しずつ分類の感覚も身についていきます。できることを増やしていくことで子どもの「できた」という気持ちを育て、「片づけ=自分でできること」に変えていきます。
水谷さんからのPOINT③
戻しやすい収納にする
かけるだけ収納
フックは「そこにかけるだけ」のすごく簡単な収納方法なので、子どもにも使いやすい収納アイテムです。ただ、小さなフックは狙ってかける必要があるので、どこかに置くよりは少しハードルが上がります。物を置けるようになった次の段階としておすすめです。
見える収納
お絵描き大好きな子は、使いたい画材を選びながら描くことが多いもの。でも、使いたいペンがすぐに見つからなかったり、取り出しにくかったりすると、せっかくの創作意欲が止まってしまうこともあります。出し入れしやすいこんなボックスなら、ペンや文房具がひと目で見え、取りやすく、片づける時もラクなんです。
年齢によっては引き出しにしまうことは簡単な作業ではなく、出しっぱなしになったり、どこかにペンが転がって行方不明になったりと、うまく整理できない子も多いのですが、こういうボックスを「見える収納」にすると、どこに戻すか一目瞭然なので、机や床に文房具が散らばることがなくなります。
さらに、このボックスは持ち運びもできるので、自由に創作に没頭できる居場所を見つけて、好きな場所で描けるのもポイント。そしてダイニングで描いていたとしても、ご飯の時間になったらサッとしまってボックスごと移動できるので、切り替えも早くできます。
すぐ変えられる収納
子どもの年齢に合わせて、収納の場所や中身もできるだけタイムリーに変えていきましょう。服もそうですが、おもちゃもよく使う物と、そうでもない物が年齢によって出てきます。おもちゃはいつの間にかどんどん増えていくので、定期的にいる物いらない物を選別。でも、あまり制限しすぎず、捨てるときは一度全部出してみて、子どもと相談しながらまず「捨てないもの」を決めましょう。捨てるものを決めるよりも絶対捨てたくないものから決めていくと意思決定がしやすいです。
水谷さんからのPOINT④
遊び感覚でお片づけ
片づけが嫌なことではなく、楽しいことになるように親子で一緒に取り組みましょう!片づけ前から終わるまでをタイムラプスで動画を撮ると面白いですよ。
子どもが片づけする姿を早回しで撮影すると、5分ぐらいでやったことが動画では20秒ぐらいで終わります。それを見ると、子どもたちが片づけはすごく簡単なことだと錯覚してくれるんです。一度経験すると、次から片づけを始めることが気持ち的にもラクになって、動きもすごく早くなったりします(笑)。面倒に感じがちな片づけも親子で一緒に楽しく、遊び感覚で取り組んでみましょう!
02 “今すぐ”じゃなくて大丈夫。子どものタイミングを大切に
私は子どもの学校のプリントが溜まってきたら、子ども自身に整理してもらうのですが、そのとき私も自分のいらない書類を片づけます。「やらなきゃいけない時があるよね。ママもやるから一緒にやろう」と声をかけつつ、でもそのタイミングは子どもの様子を見ながら対応しています。
中学生の娘が受験に合格したとき、それまでずっと溜まっていた塾のテキスト類を一気に整理したのですが、その半年前の夏休み中は、書類を整理できる精神状態ではありませんでした。受験や今後には必要のない書類など「これはもういらないよね」と聞いても、娘は「いや、いる」と。そういう時は無理に処分せず、本人の気持ちを尊重して一旦置いておきました。
自分の持ち物の片づけは、その人が主導でやるべきこと。周りがいくら正論を言ってもできないときはできないものです。気になる側としては、家全体がごちゃごちゃしている気がしてストレスを感じると思いますが、実は「そこの片づけは今やらない」と決めるだけでスッキリするんです。「このままにしていい場所」と認めることでモヤモヤが晴れて、他の場所が片づけられたら良いかなと思えるようになるものです。
そして時間が経つと、その物の価値や気持ちも変わります。心に余裕があると自然と判断できるようになって、「やっぱりいらないな」とサッと捨てられたりします。親として早く処分したい物があったとしても、今すぐやるべきなのかを見極めることが大切です。今じゃないとなったら、子どもにとって良いタイミングでもう一度本人に確認してみてくださいね。
あきえ先生
私たち大人にとっては何も難しくない「引き出しにしまう」などの動作でも、年齢によっては実は難易度が高く、環境が「やりにくくさせている」場合があります。子どもの年齢や発達に合わせて、「自分でできる」環境を整えることが大切です。
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対談
2025/03/31

