Case3:
徳島県Y邸
夫・妻・長男(7歳)・次男(6歳)の4人暮らし
INDEX
01 片付けも遊びもここから。子どもの居どころがある凹凸リビング
お互いの実家からほど近い場所に新居を構えたYさんご夫妻。2人目のお子さんの妊娠が分かったとき、「年子になるから、今のうちに家の環境を整えなければ」と考えたことが家づくりのきっかけでした。子どもが増えるので「子どもたち一人ひとりに、居場所になるスペースをつくってあげたい」という希望を叶えてくれたのが、階段下のダウンフロアの存在。

「子どもがひとりの頃からすでに賃貸では手狭でしたし、家中のあちこちにミニカーが転がり、それを踏んでしまって痛い!となるような毎日でした。子どもたちの居場所になるスペースがほしいけれど、新築で広くなることで、子どもたちがもっと散らかしてしまうのではないかという気持ちもありました。どうしたらいいか悩んでいたところ、設計士さんがダウンフロアを提案してくださいました。
ここは子どもだけの空間にして、好きなように過ごせる場所にしようと決めて。実際に“このダウンフロアの中なら、好きなだけ広げていいよ”という、ゆるいルールにしたことで、賃貸のときとは違い、リビングにおもちゃが散らばることはなくなりました」
当初からスキップフロアを広く取り、何か活用できる場所を作りたいと思っていたというご夫妻。階段下にも別空間を作ることで、ワンフロアのリビングに更なる広がりと、多様性のある空間を生み出すことができました。

引っ越した当日、子どもたちが真っ先にこのダウンフロアに入り大喜びだったそう。何も言わなくても、そこが“自分たちの居場所”だとすぐに感じたようです。
「基本的には、子どもたちにはやりたいようにやらせてあげたいと思っています。できるだけ“これはダメ、あれはダメ”とは言いたくないですが、なかなか難しいですよね。このダウンフロアを作ったことで、言わなくてもいい環境をつくることが大事だと実感しました。
親としてもダウンフロアの中だけならどんなに散らかっていても怒らなくなりました。段差のある空間を作っただけで、自然とそうなっていて、本当にやって良かったところだと思います」
“この中だけ好きにしていい”という、ゆるいルールにできたのは、環境のおかげ。守りやすいルールだからこそ、子どもたちはすんなりと守れて、大人も他のスペースを綺麗に保つことができています。空間の力を借りることで、家族みんながストレスの少ない心地よい状態をつくることができたのです。

そして年子のふたりがともに小学生になった今は、ダウンフロアで遊ぶだけでなく、スキップフロアとリビングの段差で向かい合って、一緒にリビング学習も。段差があることでほどよい距離感が保たれ、近づきすぎず、お互いの気配を何となく感じられる配置だからこそ、心理的な安心感が生まれ、それぞれの作業に集中できる環境になっています。
モンテッソーリな家づくりのポイント
02 “やらなきゃ”から“やりたい!”へ。家族が動きやすい家事動線
元気な男の子がふたりいるとは思えないほど、とても物が少なく、整理されているYさん邸。キッチンの調理台には物は一切なく、とてもシンプルで整頓されています。もともと片づけ好きなご夫妻なのだろうと伺うと「全く得意ではないんです」と言います。
「設計士さんが収納をすごく考えてくださって、しまう場所をたくさん作ってくださったおかげです。あらゆるところに収納スペースがあるんですよ」
通常はキッチンに置くカップボードや冷蔵庫などの家電はすべてパントリーに置き場所を作り、見える場所にはできるだけ何も置かないことで、スッキリさせるようにしたそう。

お互いにフルタイムで働く共働きのおふたり、家事は協力し合ってやるのが基本で、ご主人がキッチンに立つことも多いと言います。そんなパパの姿を見て、子どもたちも自然とお手伝いをするようになってきたそうです。
「どの家事も母親の私だけがしている感じは全然なくて、夫も色々とやってくれます。だから子どもたちも、家事はお母さんがするものという認識が芽生える前から、家族みんなでやるものと思ってくれているようです。最近は自主的に料理や片づけを手伝ってくれます。親が何かしているから自分も手伝おうかなという感じでやってくれるんです」
仕事で疲れて帰って来ても、一緒に家事をしてくれるご主人にとても感謝しているという奥様に対して、ご主人は、自身のお父様も家事に積極的な人だったから受け継いでいきたい、と自然体で話してくれました。
「父親が家事をしていた姿を子どもながらに覚えていて、自分も男性か女性かは関係ないと思っているので、子どもたちにもそういう感覚になってほしいなと思ってやっています。それに、子どもが寝るまでの時間は決まっていますよね。帰ってダラダラしていたら、家族と一緒の時間が減ってしまう。自分だけ一息ついている場合じゃないですよね」

家族4人でゆったり過ごす時間を確保するために、家事もみんなで効率良くこなすYさんたち。限られた時間の中で、家族の時間を大切にすることができているのは、この家に引っ越して生活動線や家電が整ったことが大きいと話します。
「パントリーからランドリー、お風呂までがひと続きになった回遊動線を作って、家事のしやすさをしっかり考えた間取りと、サボれるところはいかにサボるかを夫婦で考えて(笑)食洗機や乾燥機など入れておくだけの家電もそろえたんです。家事効率が上がりすごく楽になって、家族の時間が増えました」
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