大森 広司 プロフィール
住まい研究塾主宰。『SUUMO新築マンション』、『SUUMOマガジン』、『注文住宅』、『Good リフォーム』、オールアバウト「マンション入門」など情報誌やネットで住宅関連全般にわたって取材・執筆活動を続けている。著書に『はじめてのマイホーム 買うときマニュアル』『マンション購入 完全チェックリスト』(ともに日本実業出版社)、『新築マンション買うなら今だ!』(すばる舎)などがある。
まず、金利の固定期間が選べる固定期間選択型の場合、金利の引き下げ方法も2つのタイプから選べる場合が多くなっています。全期間の金利引き下げ幅が変わらない「全期間引き下げ型」と、当初の固定期間だけ金利の引き下げ幅を大きくする「当初期間引き下げ型」の2タイプです。
例えば、三井住友銀行の場合、「全期間引き下げ型」の引き下げ幅は最大で1.85%ですが、「当初期間引き下げ型」は2.2%の引き下げ幅です。ただし、「当初期間引き下げ型」は当初の固定期間が終わると引き下げ幅が1.4%に縮小されます。
同行の2016年9月時点の店頭金利は10年固定が3.0%なので、「全期間引き下げ型」の適用金利は最低で1.15%。これに対し、「当初期間引き下げ型」の当初金利は0.8%ですが、金利変動がなかったと仮定すると、11年目以降は1.6%にアップします。
ではどちらが得なのかというと、これは返済期間によって異なります。「当初期間引き下げ型」は当初の固定期間が終了した後の金利が高くなるので、その後の期間が長いと「全期間引き下げ型」より総返済額が多くなる場合があるからです。
同行の10年固定金利で3000万円を借りた場合で試算してみましょう。返済期間中の店頭金利が変わらず、11年目以降も10年固定で借り続けたと仮定します。
まず35年返済の場合、当初10年間の毎月返済額は「当初期間引き下げ型」のほうが5000円近く低くなりますが、11年目以降は逆に3300円ほど高くなります。その結果、総返済額は「全期間引き下げ型」のほうが40万円ほど安くなる計算です。
これに対し、20年返済では「全期間引き下げ型」の場合の総返済額が3360万円なのに対し、「当初期間引き下げ型」は47万円ほど安い3313万円と逆転します。
このように返済期間が短い場合は「当初期間引き下げ型」が有利です。ただし、金利の引き下げ幅は銀行によって異なるので、返済期間が長くても「当初期間引き下げ型」のほうが得な銀行もあります。どちらが得かは、実際の金利を使って試算する必要があるでしょう。
(クリックすると拡大します。)
作成日:2016年9月23日