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ステークホルダーミーティング 対話が開く持続可能な社会
ステークホルダーミーティング 対話が開く持続可能な社会
住まいに対してどのような社会的役割を期待しますか?
高見:昨年のスマトラ沖大地震と津波はインド洋の発展途上国を襲い、信じられないほど多くの人が亡くなり、膨大な被害をもたらしました。その悲惨な様子を見て、防災の知識と住まいの安全性がいかに大切であるかを再認識いたしました。日本は防災に関して優れた技術と知識があります。同じことが起こらないようにするために日本のノウハウをぜひグローバルに役立ててほしいと思いました。そのためには、安価で安全な家屋という研究もしていただきたい。免震技術は素晴らしい技術ですが、まだまだ高価ですよね。国が補助金を出すことも大事ですので、企業から政府に積極的に働きかけていただくことが必要だと思います。
免震住宅の構造の見学の様子 地震の揺れを低減する免震住宅の構造
隅野:防災力を高めるという観点で考えますと、防災意識を啓発する「literacy」を発行されたのは素晴らしいと思います。災害に対応するためには、家の耐震性などのハード面だけではなく、住み手がどう備えるかが重要です。その点をこの本では啓発しています。防災対策も含めた暮らし方を一人ひとりが考えるために必要な素材を提供するのがメーカーの役割だという姿勢がこの本によく表れていると思います。
杉本:私たち日本人は家や土地に対して特別な強い思いを持っているのではないでしょうか。ですから、生涯同じ家に快適に住み続けるために、ユニバーサルデザインに配慮した設計はとても重要になると思いました。
加齢と個人差による身体機能の違いを学ぶ様子 インターホンの高さをチェックする様子
加齢と個人差による身体機能の違いを学ぶ   インターホンの高さをチェック
枝松:うちは少し前に積水ハウスの家を建てたのですが、最初から高齢者になったときのことをすべて想定して建てるのではなくて、必要なときにリフォームするという考え方もできると思いました。ですから、そういったことも計画に入れられるように、「ここは変えられないけど、これは後からでもつけられるよ」といった情報があればよかったのですが、それが少なかったと思います。住宅を永く使っていくためにそういった情報ももっと知らせてほしいと思いました。
河口:環境報告書を読んだり、納得工房を見せていただいて、環境への配慮やユニバーサルデザインなどの個々の取り組みは非常に優れていると感じました。ですが、トータルとして積水ハウスは「家」「住」というものをどう考えるのか?ということがあまり伝わってこないように思います。家に何を求めるのか?家に対するビジョンを示すと、個々の取り組みが理解しやすくなるのではないでしょうか。
環境問題への取り組みはどう見られましたか?
枝松:これからのエネルギーを考えたとき、各家庭が燃料電池に切り替えることが本当に環境に良いことなのでしょうか?スウェーデンでは地域供給のシステムがありますが、日本は個々の家庭ごとのシステムしか考えていないようです。地域のトータルのエネルギー量で見ると、それは効率的ではないかもしれません。地域までは難しいとしても、積水ハウスさんはアパートやマンションも手がけておられるので、集合住宅でエネルギーをどうしていくかを、ぜひ考えていただきたいと思います。
環境問題と住宅との関わりを考える 環境問題と住宅との関わりを考える
杉本:太陽光発電などは、環境に良いだけでなく防災にも役立つというふうに企業がアピールするとより普及していくのではないでしょうか。政府では省庁を超えた話は難しいですが、企業にはそれができると思います。
手塚:環境に配慮した製品は、マーケットが広がれば価格は自然と下がってきます。顧客に対して、「環境に配慮したものとそうでないものがあります」という勧め方ではなく、環境配慮のものが良いですよという働きかけをする。それはメーカーの責任だと思います。
今後、ステークホルダーとどのようなコミュニケーションを進めていくべきでしょうか?
枝松:持続可能な社会をつくっていくためには、環境問題だけではなく、従業員の労働条件や、人権問題などにも今後も取り組んでほしいと思います。100年住める住宅ということは、住宅を提供するメーカーも100年続かないといけないということですよね。そういった意味で、従業員の位置付けはとても重要で、社員教育などもしっかりやっていただきたいと思っています。
隅野:人を通じて企業価値が高まるというのもあります。例えば、「literacy」においても編集した方の顔が見えるとより企業の信頼性が高まるように思います。
河口:顧客を大事にしている姿勢は環境報告書を見てもよく伝わってきます。しかしこの業種に特徴的なものとして、職方さんという重要なステークホルダーがいますよね。そこにどうフォーカスしていくか。従業員や職方さんをひとつのステークホルダーとみて、その人たちにどういう対応をしていくのかを考え、SRI(社会的責任投資)の視点からも、情報を開示していくことが必要です。
手塚:情報開示の手段はいろいろあると思いますが、納得工房を見学して、体験することが非常に大切だということを実感しました。このような施設が各地にあれば、もっとたくさんの人に取り組みを理解していただけるのではないかと思いました。
杉本:私は去年、関東工場も見せていただきましたが、廃棄物再資源化の取り組みも、こちらの納得工房での取り組みもいろいろ素晴らしいことをやっていらっしゃるな、ということを感じました。ですが、この企業の問題点はどこなのかが外からはわかりにくいのです。何が課題で、どう改めていくのか、それが明確に言えるかどうかが信頼性に関わってくると思います。
高見:積水ハウスさんの本業は、人々の暮らしに密着しているという点で、これから持続可能な社会を実現していく上でとても大きな役割を担っていると思うのです。今回、皆さんからいろいろな意見が出ましたが、社会を良くする大きな力を企業は持っていると考えていただき、業界のリーダーシップを取っていただくことを期待しています。
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枝松 芳枝氏
積水ハウスにお住まい
枝松 芳枝氏
「持続可能な社会の中での役割を明確に示してほしい。また、長寿命の住宅を売る企業として会社も長く持続するためには、教育などの社内体制も重要。」
河口 真理子氏
大和総研 経営戦略研究所
主任研究員

河口 真理子氏
「顧客だけでなく、従業員や職方さんとの関わりについても積極的な情報公開が求められます。」
杉本 寛子氏
GRI日本フォーラム
事務局

杉本 寛子氏
「達成した取り組みだけでなく、できていない点が何かを明確に言えることが信頼性の向上につながります。」
隅野 哲郎氏
NPO法人
大規模災害対策研究機構
理事

隅野 哲郎氏
「災害への備えも含めた豊かな暮らし方を、住む人自身も考えるように啓発していくという姿勢は素晴らしい。」
高見 幸子氏
国際NGO
ナチュラル・ステップ・
インターナショナル
日本支部代表

高見 幸子氏
「暮らしに密接に関わる住宅メーカーは、環境・社会的問題の解決において大きな役割を担っています。業界のリーダーシップをとっていただくことを期待します。」
手塚 則子氏
コクヨ
ビジネスサービス株式会社
環境ソリューション事業部
リーダー

手塚 則子氏
「環境に配慮した製品をお客様に積極的に勧めることでマーケットを広げていってほしい。」

森本 彰
取締役・専務執行役員
森本 彰
住宅というのは、できた製品を見て買うのではなく、設計図を買っていただくようなものです。ですから、情報開示や、リスクを明確に説明するといったコミュニケーションは大変重要だと考えています。また、問題点が見えないといったご指摘についても、今後、皆様のご意見をいただきながら改善していきたいと考えています。
稲垣 士郎
取締役・常務執行役員
稲垣 士郎
生涯住宅などの個々の取り組みは優れていても、企業としてのビジョンなど、トータルな情報発信が不足していたことを感じました。また、業界のリーダーシップをとり、国の施策に反映されるような働きかけをしていくことが当社の役割であると指摘いただきましたので、期待にお応えできるよう取り組みを進めていきます。
※肩書きは開催当時のもの