都心の土地活用は賃貸経営へ。資産を守り、育てるための選択

大切な資産を、どう守り、どう繋いでいくか? 価値ある土地を継承されたオーナーさまの胸には、この問いとさまざまな想いが交錯していることでしょう。
売却や他の活用法と並び、長期的な安定収入やインフレへの強さ、相続税対策としてのメリットを持つ「賃貸住宅経営」という選択肢が、今改めて注目を集めています。

本記事でスポットを当てる「都心エリア」とは、ビルが立ち並ぶようなビジネス拠点だけでなく、交通利便性や居住ニーズが高いエリアを含む、市街地中心部のことを指します。相続などでこうした資産価値の高い土地を引き継いだ際、どのように活用することが、ご家族の将来にとってより良い選択となるのかを解説します。

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大切な土地を守り育てる:土地活用をはじめる前に知っておきたいこと

2025年には、終戦直後の第一次ベビーブームに生まれた約800万人超の“団塊の世代”が、全員満75歳以上の後期高齢者となりました。この高齢化に伴い、日本の発展を築いてこられた方々の大切な資産を、近い将来、相続・継承されるケースが急増すると予想されています。こうした流れは「大相続時代の到来」と呼ばれています。

相続資産には現金、証券、不動産などさまざまな形があります。
現金や証券などの金融資産は主に「使う」か「保全する」かの選択肢が中心となり、骨董品などの動産は基本的に売却して現金化することが主な活用方法となります。これらに対し不動産、とりわけ土地が持つ大きな特徴は、資産を手元に残したまま、収益を生み出すことができるという選択肢がある点です。
土地は一度手放すと同じ場所、同じ条件のものを再び入手することが極めて困難です。だからこそ、売却して一度きりの利益を得るのではなく、これまで守り続けてきた大切な土地を、適切な管理・運用を通して長期的な安定収入を得ることで、世代を超えた安定的な生活の基礎とすることができます。受け継いだ大切な土地と想いを守り、ご家族の将来の安心と豊かさを実現するために、「わが家の資産を守り、そして育てる」という視点から考えていきましょう。

土地活用方法の比較:賃貸住宅経営が選ばれる理由とメリット

都心部や各市街地の中心部など、立地条件が良好で利用価値が高い土地は、駅に近いなど交通条件が整っていてアクセスしやすく、人の賑わいが期待できる「繁華性が高いエリア」に所在していることが一般的です。
しかし、こうした価値ある土地を守り、次世代へ確実に引き継いでいくためには、単なる利便性だけでなく、周辺環境や快適性、安全性といった「エリア特性」も踏まえた適性判断が重要になります。土地のポテンシャルを最大限に活かし、一時の流行に左右されない資産価値を維持・向上させるためには、オフィスや店舗、賃貸住宅など、中長期的な視点での活用法を見極める必要があります。それぞれのケースに沿ってみていきましょう。

物件種別 収益・安定性などのメリット 運用上の注意点
賃貸住宅
  • 都市圏などの立地条件や利用価値が高い土地では、需要が安定しており、空室リスクを抑えやすい
  • 住宅性能適合義務化を受けて、高機能・高断熱物件はニーズが拡大し、安定経営の鍵に
  • 相続税優遇措置が多く、高い節税効果が期待できる(※)
  • オフィスや店舗と比較すると、極端に高い賃料設定は難しい傾向にある
  • 空室リスクや管理負担への備えとして、一括借上システムなどの活用による収益の安定化を図る方法もある
オフィス・事務所
  • 一般に賃貸住宅よりも高い賃料水準が期待できる
  • 減価償却費や経費計上、損益通算による一定の節税効果が得られる場合がある
  • 高度な機能(空調、電力、セキュリティなど)が要求され、初期・追加コスト負担が大きい
  • 業種変更ごとの仕様変更に対応が必要
  • クレーム対応、退去時の残置物処理といった煩雑な対応が発生し、空室期間が長期化するリスクがある
店舗・宿泊施設
  • 繁華性の高いエリアでは、高い賃料や保証金の設定による高収益を目指せる可能性がある
  • 相続税の評価額減額と所得税の損益通算により一定の節税効果がある(消費税課税対象)
  • テナントの売上変動が大きく、短期で入れ替わるリスクがある
  • 安定運用には綿密な人流・立地精査が不可欠
  • クレーム対応に加え、退去時の煩雑な対応により、空室期間が長期化し収益機会を逃すリスクがある
  • 一般に固定資産税・都市計画税は賃貸住宅よりも高く設定される
※ 税制優遇の適用条件や節税効果は、個別の状況や資産背景により異なります。具体的な検討にあたっては、税理士等の専門家へご相談いただくことをお勧めします。

適切な管理と、時代のニーズに合わせた性能向上を続けることで、賃貸住宅は長期間にわたり安定した収益と資産価値を維持しやすくなります。収益物件としての安定性と総合力を考えた時、バランスの良い選択肢の一つとなるのが賃貸マンション経営です。
とはいえ、賃貸経営を個人がゼロベースではじめることは、極めてハードルが高いのが現実です。建設から入居者募集、賃料や物件の管理まで、その道のりは多岐にわたります。だからこそ、賃貸経営を成功させるためには、建設から運営管理まで、長期的なサポート体制を持つ信頼できるパートナーを見つけることが重要です。

成功を導く、長期安定経営の総合力

長期安定経営には、建設や運営管理能力だけでなく、エリア特性を見抜くマーケティング力、街の景観となる美しいデザイン提案力が欠かせません。さらに、入居者さまの多様なライフスタイルに応える柔軟な間取り設計、高い防音性能や高気密高断熱による快適な住環境の実現といった居住品質こそが、長期にわたる高い入居率を支える基盤となります。
数十年先まで見据えた長期的なサポート体制があり、あらゆる課題に対応してくれるパートナー探しこそ、賃貸住宅経営を成功に導き、将来にわたって安定的な収益と安心を得るための、重要な第一歩となります。積水ハウスは、その総合力と実績で、オーナーさまの賃貸住宅経営を成功に導きます。

積水ハウスの賃貸住宅経営(シャーメゾン)

都心エリアの賃貸市場動向:インフレに強い賃貸経営の優位性

東京の都心エリアを筆頭に、大阪市・名古屋市の中心部、さらに横浜市、札幌市、仙台市、広島市、福岡市といった国内主要都市圏は、事業および人口集積性が極めて高く、常に再開発が進むことでエリア全体の価値を高め続けています。大規模なオフィスビルや教育機関、公的施設などが集積し、昼間人口が集中するこれらのエリアは、その利便性や快適性、ひいては土地そのものの価値を引き上げる原動力となっています。
この中心部に隣接するエリアは、職住近接が実現できる理想的な住宅地です。効率的な通勤・通学が可能であるため、生活利便性の高いこのエリアは夜間人口も多く、高い人気と賃料水準を維持しています。
以下のデータは東京都心6区のものですが、上昇率に多少の違いはあるものの、他の主要都市や市街地中心部においても同様の上昇傾向が見られます。

都心6区ファミリー向け平均賃料の推移(月額/円)

※ 掲載賃料:LIFULL HOME’Sに掲載された都心6区のファミリー向け物件の平均賃料
※ 反響賃料:上記のうち問い合わせ(内覧希望・物件確認)があった物件の平均賃料
※ 「LIFULL HOME'Sマーケットレポート (2025年10月)」より作成

首都圏ファミリー向け賃貸指数と消費者物価指数の相関

※ 「LIFULL HOME'Sマーケットレポート (2025年10月)」と「政府統計の総合窓口(e-Stat)、消費者物価指数(総務省統計局)」より作成

実際にここ数年は、消費者物価やエネルギー価格の高騰に伴う管理費用の上昇も背景に、都心や各市街地中心部など利用価値が高いエリアの賃料は、明確な上昇基調で推移しています。このグラフが示す通り、各エリアの賃料指数は消費者物価指数を上回るペースで推移しています。

ここで重要なポイントになるのは、賃貸住宅は、現在のように物価が上昇し続けるインフレ期に「強い」という点です。
賃料は、物価や光熱費などの管理費用の上昇にスライドして、適切に引き上げることが可能です。特に、高い建物性能や付加価値を備えた物件であれば、時代に合わせた適切な賃料設定を行いやすく、将来にわたって安定した収益を確保する強力な手段となります。現在のような経済環境において、大切な資産の価値を目減りさせない、安定した収益確保の手段と言えます。

賃料が上昇することは、収益不動産の価値自体を高めることにもつながります。不動産の価格は賃料という収益をもとに算出されるため、賃料の上昇は物件の価格を押し上げます。これにより、いざという時に高額で売却できるという、資産の柔軟性も確保できます。

さらに、都心や市街地中心部で新築・中古マンションの価格が大幅に上昇していることも、賃貸市場にとって大きな追い風です。マンション価格が高騰すれば、購入を一旦見送り、賃貸住宅に住み続ける人が相対的に増加します。特に利便性の高いエリアの賃貸住宅に対するニーズは、極めて高い水準で維持される傾向にあります。
加えて、各都市圏中心部には若年層を中心に毎年多くの人口が流入しています。特に首都圏では大幅な「転入超過」が続いており、この人口の動きが、賃貸需要を力強く後押ししています。

賃貸住宅経営が持つ節税メリット:相続税評価額の引き下げ

賃貸住宅の優位性は、市場の追い風やインフレへの強さだけに留まりません。
まず、長期にわたる継続的な家賃収入が得られることがオーナーさまの資産形成を支える基盤となります。特に一括借上システムなどを利用した事業スキームでは、空室リスクを抑え、長期的な返済計画を立てることが可能です。

そして、最大のメリットが「節税効果」です。賃貸住宅を建てることで、土地は「貸家建付地」として評価され、建物は「貸家」として評価されるため、それぞれ相続税評価額を大きく引き下げることができます。土地・建物の両方で、概ね10~20%程度の評価減が期待できます。
評価減の割合は物件の規模やエリアによって異なるため、相続税対策や賃貸併用型住宅をご検討の際は、必ず信頼できる専門家や税理士に相談されることをおすすめします。

インフレと戦う、確かな資産価値の維持

土地と建物の価値をいかに守り育てるかが、長期経営の鍵となります。積水ハウスの賃貸住宅は、高いブランド力と耐久性・美観に優れた設計に加え、遮音性・断熱性といった目に見えない性能においても妥協のない品質を追求しています。こうした高い居住性能は、経済状況が変化しても入居者さまから継続的に選ばれ続け、賃料と資産価値の安定的な維持に貢献します。市場の不確実性に負けない盤石な経営基盤こそが、インフレ時代を乗り切るオーナーさまの最大の武器となります。

積水ハウスの賃貸住宅経営(シャーメゾン)

長期安定経営のための3つのチェックポイント

これから賃貸住宅の運用をはじめるオーナーさまに、ぜひご留意いただきたい重要なポイントがあります。それは、「環境への配慮」です。環境への配慮(住宅性能向上)が不可欠な理由は、主に以下の3点です。

1. 2027年4月から事実上義務化される「GX-ZEH水準」への対応

2030年度GX-ZEH水準への適合に向けたタイムラインとGX-ZEHの概要

賃貸住宅の建築において、注目すべきは省エネ基準の変化です。現在、国は脱炭素社会の実現に向けたロードマップを加速させており、2030年には「GX ZEH水準」への適合義務化が予定されています。

  • 2027年4月以降: 国のZEH基準そのものが、より高度な「GX ZEH水準」へと改定される
  • 2030年4月以降: 省エネ基準適合義務が「ZEH水準」に引き上げられるが、改定後の基準が適用されるため、実質的には「GX ZEH水準」への適合が義務化されることになる

この「GX ZEH水準」では、従来の断熱・省エネ性能に加え、エネルギーの見える化を行う「HEMS(ヘムス)」や「蓄電池」の導入が必須となります。
数年後の基準引き上げを待たず、今からこの次世代基準を見据えた設備・性能を備えておくことは、建物の将来価値を維持するために不可欠です。入居者さまに選ばれ続ける居住快適性を備え、できるだけ高い水準の住宅性能で建設することをおすすめします。そこで暮らす方々の満足度を高めることこそが、空室リスクを下げ、長きにわたって安定的な賃貸経営を支える鍵となるからです。

なお、こうした住宅性能の向上に対しては、2025年以降、国から総額4,000億円前後の補助金(※各種条件あり)が用意されています。また、東京都、京都府、群馬県、神奈川県川崎市などの一部自治体では、賃貸住宅建設時に太陽光パネルの設置が条例で原則義務化されています(※ 一部適用除外あり)。これらの規制についても、ぜひ念頭に置いておきましょう。

2.高まる入居者ニーズへの対応

2050年のカーボン・ニュートラル実現を目標とした義務化開始に伴い、賃貸入居者の意識も変化しています。夏の熱中症や冬のヒートショックによる健康被害が懸念されるなか、断熱性・省エネ性の低い賃貸住宅を避ける傾向が高まっています。
住宅性能が高く、冬暖かく夏涼しい高性能な賃貸住宅は、光熱費の安さも相まって、多少賃料が高くても選ばれる理由となります。高性能賃貸住宅の建設は「入居者ファースト」の視点から始まり、安心の賃貸経営を支えることに繋がります。

こうした傾向は、LIFULL HOME’Sのアンケート調査で確認することができ、引っ越し先をさがす際に「省エネ性能」を意識する人は、賃貸住宅においても「とても意識する」「やや意識する」が半数以上に上っています。

引越し先を探す際、物件の省エネ性のは意識しますか?

※ 出典:LIFULL HOME'S 「物件の省エネ性能に関する意識調査」より作成

3.新たな収益源となる設備の導入

太陽光パネルは単なる義務や環境対策に留まりません。発電した電気を入居者さまが直接利用できるケースも登場しています。
入居者さまにとっては、毎月の光熱費を抑えられるという実質的なメリットが選ばれる理由となり、オーナーさまにとっては、その付加価値が高い賃料水準の維持や安定経営を支える原動力となります。

さいごに:成功の鍵は、末永く歩めるパートナー探し

これまで見てきたように、賃貸住宅経営には、土地活用の方針決定、建設、税制、そして長期的な運営管理に至るまで、多岐にわたる専門的な判断と業務が求められます。これらのすべてをオーナーさまご自身で担うことは、現実的ではありません。

賃貸住宅の運用・経営に関する判断の例
土地・エリアの特性に即した物件適性の判断
(賃貸住宅かそれ以外か/賃貸住宅であればファミリー向けかシングル向けか混在か……など)
物件の建設手配に関する判断
(独立型の賃貸物件にするか、オーナーさまが住む賃貸併用型にするか……など)
住宅性能水準の設定
税制・補助金など公的制度の確認と申請
建設費用に関する経営的判断
(全額自己資金で賄うか、ローンを借り入れるか……など)
賃貸入居者の募集・入退去管理、物件の維持管理
長期的な修繕コストに関する備えと計画

だからこそ、賃貸住宅運用・経営における「業務の委託範囲」を明確にし、お任せしたい領域を代わって遂行してくれるパートナーを選ぶ作業が極めて重要になります。これこそが、賃貸住宅経営を成功に導く重要な第一歩となります。

大切な資産を次世代につなぐため、これからご家族とともに二人三脚で歩んでくれる存在となるのが専門家としてのパートナーです。土地を売却せず、その価値を活かして後世に伝えるというオーナーさまの目的を実現するために、ぜひ最適なパートナーを選んでください。ご自身が納得できるパートナーと出会えた時、あなたの賃貸住宅経営は、その時点で「成功」の一歩を踏み出したと言えるのではないでしょうか。

積水ハウスと考える、将来を見据えた賃貸住宅経営(シャーメゾン)

賃貸住宅経営において、大切にすべきは「建てて終わり」ではないことです。将来にわたり安定した収益を得て、大切な資産の長期的な価値を守り続けること。積水ハウスの賃貸住宅「シャーメゾン」は、そのオーナーさまの長期安定経営を全面的に支えます。

まちなみに調和する上品なデザインと、入居者の満足度を高める優れた居住快適性は、長期的な入居者確保に直結します。さらに、積水ハウスグループの一括借上システムにより、空室リスクを軽減し、オーナーさまの収益を安定させることに貢献いたします。

イラスト:オーナーさまを取り囲む「積水ハウス シャーメゾン専任担当者 コンサルティング」「積水ハウスグループ 積水ハウス建設 責任施工」「積水ハウス カスタマーズセンター アフターメンテナンス」「積水ハウスグループ 積水ハウスリフォーム リフォーム」「積水ハウスグループ 積水ハウスシャーメゾンPM 一括借上システム リフォーム」「シャーメゾンショップ 入居者対応」

建築戸数265万(※)戸を超える住まいづくりの技術とノウハウ。そして、積水ハウスグループの総合力による万全の管理・運営サポートで、オーナーさまの「安心」を長く支えるしくみをご提供します。時代の変化に強く、大切な資産価値を守り育てる賃貸経営。将来を見据えた土地活用の最良のパートナーとして、積水ハウスがオーナーさまとともに最適な経営をご提案します。

※ 2,649,752戸(2025年1月末現在・当社住宅建築戸数累計)

筆者プロフィール
LIFULL HOME’S総合研究所副所長 チーフアナリスト 中山 登志朗(なかやま としあき)
出版社を経て、1998年よりシンクタンクにて不動産マーケット分析、知見提供業務を担当。不動産市況分析の専門家としてテレビ、新聞、雑誌、ウェブサイトなどメディアへのコメント提供、寄稿、出演を行うほか、年間数多くの不動産市況セミナーで講演。2014年9月にHOME’S総研(現:LIFULL HOME’S総研)副所長に就任。国土交通省、経済産業省、東京都ほかの審議会委員などを歴任。(一社)安心ストック住宅推進協会理事。