実際の暮らし方から見る、平屋ライフの魅力とは?

ここのところ、平屋の一戸建てがじわじわと注目を集めていることをご存知でしょうか?平屋とは、1層のみ(ワンフロア)で構成される住宅の形状のこと。それ自体は日本に古くからある伝統的な住まいであり、決して目新しい住宅ではありません。
とはいえ、平屋といっても構造によってさまざまな建て方ができるうえ、時代ごとに移り変わるライフスタイル、価値観によって、平屋の作り方や間取りは広がりを見せています。
今回は積水ハウスの平屋の実例をみながら、平屋の魅力、人気の秘密を紐解いてみましょう。

目次[閉じる]

なぜ今、平屋が求められているのか?

以前から、田舎暮らしや終の棲家を考えるシニア層を中心に、平屋は一定数の支持がありました。ところがこの10年ほど、平屋を建てる割合は上昇傾向が続いています。

2024年に国土交通省が発表した「建築着工統計調査」のデータによると、一戸建ての着工戸数のうち平屋の占める割合は2016年の8.3%以降、上昇の一途。2024年には16.8%となり、この約10年でその割合は2倍以上に増加しているのです。

※ 木造、鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄骨造などの総計データ

一戸建ての着工個数のうち、平屋の個数と平屋の割合を示したグラフ
※ 国土交通省「建築着工統計調査」データより作成

その背景にはさまざまな要因がありますが、ひとつには少子化や核家族化など家族構成の変化が挙げられます。二世代、三世代で住む大きな住宅ではなく、夫婦2人や、子どもを含めて3、4人家族も多く、コンパクトで機能的な暮らし方が求められているのかもしれません。
また、共働き世帯の増加や在宅ワークなど、働き方も多様化。ワークライフバランスが重要視される時代になり、オンとオフの切り替えや、住まいにリラックスや安心感を求める傾向もより顕著になっています。こうした現代のニーズに対し、平屋はワンフロアの合理的な動線で家事ストレスを軽減し、庭とのつながりを活かした開放的な空間でリラックスできる住まいとして再評価されています。
さらに、マンションで生まれ育った人も増えるなか、ワンフロアでの暮らしの機能性や合理性を体感している若い人も多く、若い世代でも平屋への関心が高まっています。

積水ハウスでは、木造・鉄骨造のどちらも平屋に対応し、多様なニーズに対応できる平屋を実現しています。ここからは、平屋ならではの空間、平屋だからこそできる暮らしの魅力を、積水ハウスの4つの実例をもとにご紹介します。

Style 1:天井の作り方、使い方が自由!開放的でダイナミックな暮らし

三角形の勾配屋根の形をそのままいかしたダイナミックな空間が爽快なT邸。柱や梁がなく、すっきり端正な空間が広がっています。
天井高は最大約4m。思わず天井を見上げたくなる開放的な空間です。平屋の第一の魅力は、天井を自由に使ったこの開放感。2階建ての場合も吹抜けで開放感を作ることは可能ですが、床面積との兼ね合いもあるためここまで思い切った大空間は難しいでしょう。

ただ、柱や梁が表に出なく、屋根形状をいかした大空間を作ることは簡単なことではありません。T邸でここまでの空間が実現できたのは、住宅業界最大級の大断面棟木梁と大断面棟持柱という積水ハウスが開発した新たな構造技術があったから。桁は最大10m、妻は最大8mとすっきりとした空間が実現できる構造は、空間設計の自由度を飛躍的に高めています。

この住まいのT夫婦共通の趣味はキャンプ。三角屋根に包み込まれるようなリビングは、ご主人曰く「家にいるのに毎日キャンプをしているような感じ」という特別な居心地を生み出しています。「この天井の高さが理由なのか、リビングが広く感じます」と、平屋ならではの暮らしを楽しんでいます。

さらに、縦方向への伸びやかさに合わせ、水平方向への広がりを作るためにリビングの南北にふたつの庭を配置。南側の庭はリビングの床をフラットにデッキをつなげ、リビングと一体化。軒に囲まれた半屋外的な空間はお子さんの遊び場にもなっています。リビングからはどちらの庭も眺められ、光・風・視線が抜ける心地よい空間を生み出しました。

もちろん、道路に面する北側は窓の前に樹木を植えたり、窓の位置を調整してプライバシーには配慮。技術と工夫で開放感とプライバシーを両立しています。

Style 2:平屋だからこそかなう、コンパクトでシンプルな家事動線

家づくりの際、重要視されることのひとつが家事動線。毎日のことだけに小さな不満がストレスになるため、ライフスタイルや好みにあった計画や工夫が必要です。

ここでご紹介するK邸は共働きで、家事の効率化を優先したいご家庭。少しでも動線を短くするため、玄関から納戸を介して真っ直ぐキッチンに入る裏動線を確保。キッチンはシンクとコンロを二列に分けたセパレートタイプに。奥様は「料理の動線が短く、通路にもゆとりがあるため作業が手早くできます」とその効果を話します。
実際に行われたキッチン形状の実証実験によると、一列に並ぶI型キッチンに比べて移動距離は8%、調理時間は7%短縮されるという結果が出ています。

イラスト:前段落で説明したコンロとシンクの並び

さらに、キッチンの裏側は回遊動線上に洗濯室を確保。バスルーム、洗濯乾燥機、室内干し用の物干し、スロップシンク、アイロン台、ファミリークローゼットが動線左右に並び、作業効率を徹底。もちろん、平屋ですから階段の上り下りもありません。
「暮らしはじめて感動したのが、衣類を脱ぐ、洗う、乾燥させる、片付ける、の一連の作業がスムーズなこと。洗面室の向かいにはよく着る服を収めるファミリークローゼットを作ったので、乾いた洗濯物はハンガーのままそのなかに移動させるだけ。この動線の短さ、効率の良さに日々助けられています」と奥様。特別な服やオフシーズンの服は寝室内のクローゼットに収納。そのバランスも見事です。

コンパクトな動線内におさめられた家事スペースがあるからこそ、リビングやダイニング、インナーコートなど、ゆったりできる場所との居心地のメリハリも魅力。「家事にストレスがなく、無理せずに片付けられる。時間も気持ちも余裕ができて、リビングでのんびりできるようになって最高です」というお二人。フラットな平屋の住まいは、間取りの自由度も選択肢も多彩です。

Style 3:家族がいっしょに過ごす時間が一番大事、子育て期を思う存分に楽しむ家

家族の様子に目が届きやすい平屋は、子育て中のご家族にも人気です。
ここでご紹介するO邸は、乳幼児期のお子さん2人を育てている4人家族。目は届くけれども自由に過ごせるように、家の中心となるキッチンから、リビング、ダイニング、スタディースペースの様子が分かる見晴らしの良い間取りを実現しました。

料理好きの奥様はキッチンで過ごす時間が長くなりますが、キッチンカウンターから続くダイニング、キッチン目の前に広がるリビングで過ごす子どもの様子は、家事をしながらでも無理なく目が届きます。

なかでも、リビングはフロアが一段下がったピットリビング(※)を採用していることが大きなポイント。囲われていることで自然と遊び場の範囲がそのなかにおさまり、目が届きやすいことはもちろん、おもちゃなどがあちこちに散らばらないという効果も。「くぼみ空間の効果で心理的な落ち着きが感じられると聞いてピットリビングにしました。段差をいかして机やベンチがわりにしたり、絵本やおもちゃの収納スペースにしたりと、空間がフレキシブルに使えるのも魅力です」とご主人。
ピットリビングは大人にとっても楽しい居どころのひとつ。筋トレやストレッチをしたり、段差をベンチにしてプロジェクターの大画面で好きな映画を楽しんだり、家族が自然に集まる居場所になっています。

※ピットリビングについて詳しくはこちら

大空間のLDKは庭のデッキともフラットにひとつながり。デッキや庭で遊ぶ子どもの様子もよく見えるので安心です。さらに、庭で泥んこ遊びをしても、デッキから直接、脱衣室やバスルームに直行できるという機能的な動線も。子育て期を思う存分、楽しむための住まいです。

Style 4:住まいは何十年と過ごす場所、将来の暮らしにもフレキシブルに対応する家

家族構成やライフステージの変化によって住まいに必要な広さや機能も変わります。とはいえ、住宅を物理的に増減させることは現実的ではありません。
ここでご紹介するK邸は、奥様の実家での実体験をもとに平屋を選択しました。「実家は2階建てですが、今の父母はほとんど2階を使うことはありません。自分たちの将来を見据えた時、使わない部屋ができるだけ少ない平屋のほうがいいと思っていました」と奥様は話します。

そこで積水ハウスから提案したのは、大きなワンルームのような仕切りのない空間。住まいの中央に配したインナーコート(中庭)のまわりにLDK、廊下、書斎、子ども部屋をぐるりと配置。室内とインナーコートは掃き出し窓でフラットにつながり、中庭はまるで屋根のない部屋のよう。家全体がワンルームのようなプランになりました。「回遊できる動線になっているので、どの部屋も無駄にすることなく使っています。行き止まりもないので実際の大きさ以上の広がりを感じます」と奥様。

また、新築時の子ども部屋は大きなひと空間に。幼少期は姉妹がいっしょに使い、思春期になったら間に壁を立ててふた部屋に分割して使うことも可能。将来的に子どもが独立した際には、アトリエや書斎など大人のための趣味の部屋にも。さらに、睡眠の質を重視してひとり用ベッドルームへの転用も可能。2階に独立していると使い方に制約が出てしまう個室も、同じフロアの中庭に面することで、さまざまな使い道が考えられます。築年数がたっても、いつまでも夢の広がる住まいです。

積水ハウスの平屋で理想の住まいを実現

注文住宅は自由自在に設計できると思いがちですが、実際には基本となる建築基準法をはじめ、地域や土地によってさまざまな法規制があり、必ずしも思い通りに理想の家を建てられるわけではありません。さらに、構造や工法、性能や機能は日進月歩。技術革新や研究を行っている積水ハウスだからこそできる提案が今回の4事例には詰まっています。

また、平屋は敷地の広さや形状、周辺環境から制約を受けやすいため、土地選びも重要なポイント。プロの建築士は土地を見ればどのような住まいを建てられるかある程度イメージがつくため、これから土地をさがす場合は専門家といっしょに土地探しから依頼するとよりスムーズです。
積水ハウスでは「土地さがしのコンシェルジュ」をご用意しています。積水ハウスの分譲地だけでなく、一般の人ではなかなかたどり着けない土地情報を入手して提供。土地探し・設計をひとつながりで計画するほど、より理想の平屋に近づくのではないでしょうか。理想の平屋の実現に向けたご相談は、ぜひ積水ハウスへお寄せください。

筆者プロフィール
編集者/ライター 荒井直子
東京生まれ。大学卒業後、住宅情報雑誌の制作に携わった後、フリーランスのライター・編集者に。環境・街づくり・不動産・住宅・建築・インテリアなど、住まい・ライフスタイル関連を中心に執筆中。