
GM Story
About GM Story
一つ一つの街や土地に敬意を込め、
その一邸一邸に、住まう方への想いを映して。
本物の美しさや住み心地を追求しながら、
細部にまでこだわりを尽くすものづくりの思想。
グランドメゾンには、未来に語り継ぎたい、
それぞれの物語があります。

Story.01
代官山に残された、唯一無二の地に。
瀟洒な街並みが連なる代官山にあって、ひときわ緑に溢れた丘。明治の元勲として知られる西郷従道によって築かれた庭園跡であり、今なお往時の面影を風景に留める西郷山公園は、神秘を込めて広がる杜のように、都市を潤し、癒しつづけている。
「グランドメゾン代官山THE PARK」が出逢ったのは、代官山のメインストリートである旧山手通りと、近隣のオアシスとして親しまれる西郷山公園に接する唯一無二の地。洗練された都市の軸線と贅沢なまでの面の緑が交差するその地は、まさに代官山の二面性を凝縮したかのような場所である。ここにあるのは、旧山手通りの《都市空間》と西郷山公園の《自然環境》に対して2つの顔を持つレジデンス。

※掲載の航空写真は現地周辺を撮影(2022年7月)したものにCG処理を施したもので、実際とは異なります。光の柱は本プロジェクトの位置を示すためのものであり、建物の高さや規模を示すものではありません。
他のどこにも似ていない
洗練と潤いの街角。
そのはじまりの道に導かれるように。
代官山のアイデンティティの一つである美しい街並みは、建築家・槇文彦の名作として知られる「代官山ヒルサイドテラス」の所産といっていい。旧山手通りの東の入り口に長い歳月をかけて完成したヒルサイドテラスは、その過程を通じて後続開発の思想的な共鳴を促し、街と歩調を合わせた景観形成の下地をつくったといわれている。そして現在では、ヒルサイドテラスを源流とする現代建築と老舗のフランス料理店をはじめとするヨーロッパ風の洋館建築が、この通りにおける2つのデザイン的潮流を成している。
旧山手通り側のファサードデザインは、この2つの潮流を受け止めることをテーマとした。




モチーフとしたのは、建物の壁面が通りに面を合わせて連続するパリの街並み。並木道の切れ間から建物を見上げると、シャープなロートアイアンの手摺を設えた装飾的なバルコニーが整然と浮かんでいる。縦に長い開口部は石造りを基本とするヨーロッパ建築の特徴をオマージュしたもの。さらに、サッシの上下に黒のスパンドレルを組み合わせることで、地上から空へつづく細長いスリットがリズミカルに連続する遠景をつくり出している。


西郷山公園を背景とするこの場所は、上空に建物がない西郷橋の袂の二方角地に位置し、通りの中でもひときわ優れた視認性を有している。代官山ヒルサイドテラスや代官山T-SITEに受け継がれてきたモダンデザインの流れを汲みながら、そのディテールに伝統的なヨーロッパ建築の意匠を宿すレジデンス。ここにあるべき美しさが、穏やかに煌めいている。

旧山手通りに連なる建築群に恥じない景観を実現すべく、集合住宅としての印象を和らげることにも注力した。例えば、雨樋は外壁の外側に露出しないように通し、換気口はサッシ上部のスパンドレルの背面に設置。さらに、バルコニーの奥行きを取り、室外機や給湯器を外部から見えないようにレイアウトするなど、住宅建築特有のノイズを徹底して消すことに努めた。
鈍色の鏡の如き壁面は、
西郷山公園の緑を映す
キャンバスである。
西郷山公園側のファサードには、樹々を映すキャンバスをイメージした大胆なガラス面を設えた。フロアとフロアの間は黒のスパンドレルでつなぎ、さらにサッシの縦ラインに合わせてシャープなマリオンを設置。五層分の開口を一体として魅せる面のデザインが、石張りのオーセンティックなグリッドの中にガラスウォールを嵌め込んだかのような唯一無二の表情をつくり出している。

公園の樹々の緑と向かい合うガラス面。それは、外観を彩る建築意匠であると同時に、室内の窓辺に贅沢な開放感をもたらす装置でもある。各住戸においては、窓外の眺めをより美しく切り取るべく、扁平梁の採用による高さ2,400mm超のハイサッシを実現。さらにバルコニーをリビング・ダイニング前にレイアウトしない設計により、足元から広がる緑豊かな借景をそれぞれの日常に届けている。
求められる機能と一体の美しさが
車と共にある日常を優雅に包む
エントランス
二つの道路に接する敷地の頂部には、エントランスと車寄せが一体的に配置されている。旧山手通り側に視覚的なリズムと適度な抜けを演出する石張りのルーバーは、居住者のプライバシーを守るために。華美な装飾ではなく、真に必要とされる動線や機能を磨き上げたデザインが、この邸宅の美意識を語りかけてくる。


ルーバーが連続する通り側のエントランスは、賑わいある街路空間に対して間口を絞っている。さらに風除室は、通りからの視線に配慮し、オートドア正面の壁面から一歩奥まった位置に配置した。

通り側のオートドアの正面に配置された三角柱状の壁。エントランスと車寄せ、2つの空間を柔らかに仕切りながら、双方からの視線をコントロールしている。

タワーパーキングの待合スペース。深い色合いの木目調が美しい壁面、落ち着きある照明やアートの演出によって、出庫を待つ時間にさえ満ち足りた空気を感じられるつくりとした。また、扉の先には贅沢な広さを確保した機械式駐車場のフロントスペースが広がり、外部の視線を気にすることなくゆったりと乗降できるようになっている。
時が立ち止まったかのような静寂の中、
水は流れ、光はたゆたい、
風は木々を渡っていく。
風除室を抜けた先には、ふと足を止めて過ごしたくなる寛ぎの共用ラウンジが配置されている。窓先には目隠しを兼ねた壁泉と水盤を設け、光と水と緑が織りなす印象的な風景をつくり上げた。刻々と変化する自然の気配を傍らに、プライベートな静寂を愉しめる空間である。


清らかな水が流れ落ちる約5度の傾斜をつけた壁泉と穏やかにゆらめく水盤。公園の緑が垣間見える壁泉と庇の隙間からは陽光が降り注ぎ、水面の照り返しを受けて、建物の壁や軒裏にまでたゆたう光が描き出されている。
街に溶け込み、時と共に深まる建築。
それは、素材を抑制するところから
はじまる。
変化する街並みと永続的に調和し、時の経過を味方にしてその趣や美しさを深めていく建築であるために。建物を構成するマテリアルは、その種類を限定し、装飾的な主張を極限まで抑えることをテーマとした。基本要素は、石と金属とガラス。上質でありながらもニュートラルな素材感が、いつの時代も古びないデザインを追求した建築それ自体の美しさを引き立てている。




今から20年後も、50年後も、
この建物は、きっと美しい風景で
あり続けている。
代官山においても唯一無二の恩恵に浴する地に、「グランドメゾン代官山THE PARK」は静かに時を刻んでいる。旧山手通りと西郷山公園のコンテクストを仔細に読み解き、次の風景の規範となりうる存在をめざして磨き上げられたデザイン。ここに住む方々に、通りをゆく方々に、想いは届いているだろうか-。この地に必然の建築として歓迎され、永く愛され続ける邸宅の風景を、代官山の未来に捧ぐ。
