コミュニティで築く
新しい防災のかたち
"お互いの顔が見えるまち"
を目指して
近年、全国各地で自然災害が頻発するなか、住まいの防災は個人の備えだけでなく地域でどう支え合うかが問われています。「おうち防災」の視点をまち全体へ広げ、防災力を高める取り組みを進める「コモンステージ ミラまち」の事例を紹介します。
愛知県豊橋市の分譲地「コモンステージミラまち」では、「家」だけでなく「まち」全体で災害に備える取り組みが進められています。標高の高さや調整池、ラウンドアバウト、防災井戸、防災倉庫といったまちの備えに加え、力を入れているのが、住民同士のつながりを生かした地域コミュニティづくりです。
きっかけのひとつとなったのが、昨年開催された BOUSAI キャラバンでした。防災倉庫になにを備えるのか、各家庭で備えるものと地域で補うものをどう分けるのか。イベントを通じて住民の関心が高まり、自治会や団地管理組合でも、防災について具体的に話し合う機会が増えています。
備蓄品をそろえるだけではなく、防災倉庫に何があるのかを住民に共有し、いざという時に使える状態にしておくことも、これからの大切な課題だといいます。
「これまでは道路に関する要望が多かったのですが、防災イベント後は防災に関する質問がいちばん多かったんです」と 2025 年にミラまち自治会会長を務めた中広行さんは話します。
ミラまちでは、毎月の役員会のほか、清掃活動「ゴミゼロ大作戦」などを通じて、住民同士が顔を合わせる機会が生まれています。新しく入居する人も増えるなか、こうした日常の接点が、まちのつながりを少しずつ育んでいます。LINE を活用した情報共有もそのひとつ。市や学校からのお知らせ、自治会の日程、役員会の記録などをすばやく共有できる仕組みが、防犯や防災にも役立っています。
また、子育て世帯が多いこともミラまちの特徴です。子どもたちが外で遊び、まわりの大人が自然に見守る。そんな光景が、日常のなかにあります。2026 年のミラまち自治会会長を務める清川宏一さんは、「誰がどこに住んでいるか、どんな家族がいるかを知っていることは防災にもつながります」と語ります。
近所の子どもや家族の顔を知っていること。最近見かけない人に気付けること。そうした何気ない関係性が、災害時には大きな支えになります。
「備蓄品がいくらあっても、人と人との助け合いができる環境がないと、いざという時に動けないと思っています」と中さん。
地域の備蓄だけですべてをまかなうのではなく、各家庭での備えを基本にしながら、足りない部分を地域で補い合う。そのためにも、日ごろから顔の見える関係をつくっておくことが大切だといいます。
普段のあいさつや清掃活動、子どもを見守るまなざし、LINE での素早い情報共有。どれも特別なことではありませんが、そうした小さな積み重ねが、いざという時の大きな力になります。“避難しなくてもいい”まちを目指すために必要なのは、設備や備蓄だけではなく、人と人とが支え合える関係性を育てること。ミラまちの取り組みは、これからの防災とコミュニティのあり方を考えるヒントを教えてくれます。