独自の寄付制度でNPOを支援
シャーメゾンの福祉活用で
子どもたちを笑顔に

2025年度のマッチングプログラム助成プロジェクトのひとつとして、積水ハウスはNPO法人レイラインの活動を支援しています。2025年12月に関係者4名が集まり、応募に至った経緯や活動内容、社会貢献への想い、シャーメゾンを活用した取り組みなどについて語り合いました。

右から
NPO法人レイライン 森田 恵さん
積水ハウス株式会社 ESG経営推進本部 松岡 優
積水ハウス株式会社 千葉シャーメゾン支店 井上 明奈
積水ハウス株式会社 千葉支店 店長 富井 大

社員のアイデアを見て、同じ志を持つ仲間を見つけた気持ちに

―マッチングプログラムについてお聞かせください。

松岡:当社には、従業員の「社会に少しでも役に立ちたい」という思いを、会社とともに形にする共同寄付制度「マッチングプログラム」があります。2006年から続くこの制度では、従業員が毎月100円から給与天引きで寄付し、その総額と同じ金額を会社も拠出します。従業員の寄付に会社が等しく力を添え、社会への支援をより大きなものにして非営利団体へ届ける仕組みです。

2024年度には、従業員がより自律的に社会貢献できるよう、団体との共創を重視した制度に変更。従業員の社会貢献に資するアイデアを、共創パートナーである非営利団体と一緒に実現するものになりました。

―レイライン様の事業内容をご紹介いただけますか?

森田:主に子どものための福祉サービスを提供しています。子ども食堂と学童クラブは、経済的に苦しいご家庭の子どもたちが無料で利用できるようにしています。子ども食堂で提供する食事の材料は地元企業から提供いただいています。学童クラブには私たちが運営する4つの保育園から保育士さんにお手伝いに来てもらい、子ども食堂は私たち職員と地域ボランティアが対応しています。

学童クラブのクリスマス会で食事を楽しむ子どもたち

―井上さん、富井さんのご担当業務について教えてください。

井上:シャーメゾン営業の担当で、土地のオーナー様や古いアパートを所有される方など、土地活用のご提案や相続税対策、お悩み相談への対応をしています。

富井:私は主に注文住宅を担当し、木更津の展示場で建て替え相談などに乗っています。入社以来約20年にわたって木更津勤務なので、地域とのつながりを活かしてイベント開催なども行っています。そうしたご縁で森田さんとは以前から面識がありました。

―今回のプロジェクト立ち上げの経緯をお聞かせください。

森田:私たちは、積水ハウスさんの建物を活用して活動を行っています。義父が1989年に建てたものを私が譲り受け、井上さんからオーナー向けのハガキを定期的にいただいていました。そんなときにマッチングプログラムについて知りました。こども食堂に通っている子どもたちに、自己肯定感を高められるような機会をつくってあげたいと思い、すぐに井上さんに連絡しました。それが2024年の1月です。

「社員と会社がコラボした寄付制度は聞いたことがありません」と語る森田さん

井上:確認したところ、2024年度の助成プロジェクトは12月で申し込みを締め切っていました。そこで森田様には、しっかり計画を立てて次年度に応募しましょうとお伝えしました。

森田:社員さんのアイデア一覧を送っていただいたところ、私たちがすでに実践している子ども食堂の運営提案があり、同じ夢を持つ仲間を見つけた喜びを感じました。

―どんな手続きや審査を経てプロジェクト化されるのですか?

松岡:まずは応募の意向をいただいた団体さんと面談を行い、活動内容や社会課題へのアプローチなどを聞き、社員のアイデアと掛け合わせて内容をブラッシュアップし、それから申請いただきます。1プロジェクトあたりの助成金上限は200万円。当社の経営方針であるキッズ・ファーストとグリーン・ファーストの理念と合致するものを選定しています。

学びの経験を通して子どもたちを認め、自己肯定感を高める

活動の成果や地域に貢献できる喜びについて語る中、笑顔がこぼれる場面も

―採択されたプロジェクトの内容についてお聞かせください。

森田:子どもへの教育機会の提供が活動の柱です。タブレットを貸与し、講師を迎えてゲームの「マインクラフト」を使って家を作るプログラミングに挑戦してもらっています。夏休みには絵画教室を開き、絵の先生に4日間ぐらいご指導いただきました。

6月には「平和祈念集会」という子ども向けのイベントを行いました。子ども食堂の支援拡大につなげるため、他の支援団体にも呼びかけて毎年開催しています。3回目となる2025年は地元から800人ほどが来場しました。富井さんには住宅相談のブースを出していただき、支援者の表彰では表彰台にも上がっていただきました。

―学童クラブを利用する子どもたちの変化や関係者の声を教えてください。

森田:私たちが大事にしているのは、学びの体験を通して子どもたちの自己肯定感を高めることです。例えば、絵画コンクールで入賞にモレた子たちにも特別賞として盾を用意して壇上で表彰し、大勢の人が集まる平和祈念集会の会場に作品を飾り、新聞に全員の氏名を載せてもらいます。実際は参加賞ですが、そんなこと子どもたちには関係ありません。多くを経験できず自分に価値を見出せずにいた子たちがガラッと変わり、「また絵を描きたい」「他に絵画コンクールはないの?」と前向きになります。

学童クラブで絵画コンクールの表彰を受ける様子

親御さんにはシングルマザーの方が多く、食事だけではなくプレゼントも用意しているクリスマス会では恐縮される方もいらっしゃいますが、お子さんが喜ぶので大変感謝されます。

制度を上手に活用して、自己犠牲ではない社会貢献を

―シャーメゾンについてご紹介いただけますか?

井上: 4階建てまでの重量鉄骨造の賃貸住宅で、最近はご自宅併用で建て替える方もいらっしゃいます。土地の価格が上がり、最近は3・4階建てが主流です。長く住んでいただけるよう耐震性能や断熱性などに優れた仕様で、1LDKや2LDKなどファミリー向けの間取りが中心です。ホテルライクな仕様が多く、最近はほとんどが内廊下、内階段。共用ラウンジやインナーガレージのお部屋を備えるなど、高級感のある建物が増えています。在宅勤務の広まりもあって家賃補助を行う企業が増え、多くが法人契約です。

―シャーメゾンはどんな施設に活用されているのでしょうか。

井上:保育園、福祉施設、葬儀場など幅広くご活用いただいています。都心から離れている土地や築年数が経った建物だと家賃を上げるのが難しく、オーナー様からよくご相談いただくのですが、安定的に活用する方法はいろいろあります。子ども食堂も非常に良いなと感じています。福祉の充実は街にとっても良いことですし、オーナー様にも家賃保証というメリットがあります。

「建て替え以外に、いろんな活用法があるのは良いこと」と井上さん

森田:実は、レイラインを立ち上げる前に井上さんの前任の方がシャーメゾンの福祉活用カタログを送ってくださったんですよ。それが現在の事業につながりました。積水ハウスさんの建物は丈夫なので、塗装さえしっかりやっておけばそんなに劣化しません。

松岡:家賃収入で収益を上げていただけると、オーナー様にも新たな展開を考えていただけますよね。社会貢献は利益を追求してやることではありませんが、自分を犠牲にしてやることでもないと思います。NPO団体さんから、社会貢献活動を始めて収入が減った人や無報酬で奉仕される人の話を聞くたびに、心苦しくなることがあります。

森田:活動を長く続けるためには、制度をうまく活用し、工夫して経営することが大事です。例えば学童クラブでもグループホームでも、ひとつの建物に複数の施設を入れればそれぞれ助成金を申請できます。また、私たちは子どものイベントに使えるマッチングプログラムの助成金と、食材に使うこども家庭庁の助成金を組み合わせて、経営負担を抑えています。

「すべての人にとって良い街づくりをめざす人が増えている気がします」と話す富井さん

富井:オーナー様が、自治体などに子ども食堂の場としてシャーメゾンを貸したり売却したりしてもいいですよね。支援の場を作る新しいビジネスモデルとして、不動産屋に売却してNPOを立ち上げるところまでサポートしてもいいのではないでしょうか。

当社ならではの寄付制度を存続させるため、活動報告に注力していく

―社会貢献活動に関わって得た気づきや学びがあれば教えてください。

松岡:面談を通じて、多くのNPOの方が社会貢献活動に真摯に取り組まれていることを知り、支援への想いが強くなりました。多くの社員が毎月寄付してくれることを、担当者として誇らしく思っています。

―今後の積水ハウス様の社会貢献活動に期待されることをお聞かせください。

森田:企業や財団の助成は単発のことが多いのですが、積水ハウスさんのマッチングプログラムには1回だけという条件がありません。子ども食堂は一度始めたら簡単にはやめられません。差し伸べた手を必死で掴んでいる子どもたちを振り払うことになりますから。社会貢献は継続するものだと思うので、今後もこの素晴らしい制度を末永く維持していただきたいです。私たちも「継続」を前提に活動に注力し、子ども食堂の意義を繰り返し伝え続けていくつもりです。

―現状の課題を踏まえて目標を教えてください。

松岡:多くの定年退職に加えて制度を知る新入社員が減って寄付金が減っていること、十分な活動報告ができていないことが喫緊の課題です。マッチングプログラム創設20周年となる2026年には記念イベントを行い、寄付が子どもたちの夢や希望、笑顔につながっていることを伝え、NPOの方々の声を社員に届ける場を設けたいと思っています。