家一棟建てられるほどの巨大冷蔵庫に、-40℃から60℃まで温度を変えられる部屋・・・・ふつうじゃ考えられないような大規模な研究施設が京都にあるというので、潜入してきました!

潜入!積水ハウスの研究施設(後篇)

後篇はついに超巨大冷蔵庫の中へ!
(前篇を読む)
SF映画のセット?いいえ、無響室です。
続いて目の前に現れたのは、断熱材でもあり、優れた吸音材としても知られるグラスウールがくさび形に張り巡らされた空間。

中へ入ると、音がまったく響かないことにすぐ気づきます。この無響室の中で、住まいに設置する電動ロールスクリーンがどのくらいの音量で動作するのか、など、さまざまな音にまつわるデータ収集が行われています。
騒音をどれだけ抑えられるか?を実験。
お次は打って変わって声がよく響く残響室です。部屋の真ん中には大きな四角い窓枠のようなものがあり、2つに分かれているように見えます。


「ここでは、中央に壁を設置して奥の部屋からスピーカーで音を鳴らすことで、反対側の部屋にどれだけの音が漏れ聞こえるのかを調べる、壁の遮音性を実験します」
コンクリート製なのは、できるだけ音が周囲の壁に吸収されずに正確な数値を測定するための工夫だそうです。ただ、それだけではないようで・・・・。
フローリングやカーペットなど、さまざまな床材を設置し「人が飛び跳ねたときの衝撃音」や「人がスリッパで歩くときの音」などを機械で再現し、測定するそうです。人が飛び跳ねたときの音は、タイヤを床に落下させることで再現。その衝撃音がどのくらい下室で聞こえるかをマイクで収録します。この残響室の下にも部屋があり、響く音を分析します。
「このテストに合格しないと次のステージには進めません」
き、厳しい・・・・!

巨大冷蔵庫、現る!
目の前にそびえ立つのは、城門のように背の高い銀色の扉。ゆっくり開けると、そこには・・・・
2階建ての家がまるまる1軒入っていました!


ここは人工気象室。いわば、家さえも入るほどの巨大な冷蔵庫&サウナです。
研究所の方いわく
「-10℃から50℃までをつくり出すことが可能なハコです。ここでは、室内の温度を20℃に設定し、外気温を-10℃、0℃、10℃と変化を追うことで、さらに低い気温の度合いをシミュレーションすることもできます」
また、部材の性能評価だけでは分からない、家屋全体の断熱性能やエアコンの効きなど、細かい性能評価を実際の家で行えるとか。
ちなみにこの家、部材を運んで、この中で建てるそうです。ボトルシップ(瓶の中で組まれた船の模型)みたいですね。そのためのクレーンも天井に備え付けられていました。
-40℃から60℃までつくれる部屋。
そのすぐ隣の部屋は、見学したときは室温が35℃になっていました。大量の加湿器とサーキュレーターに囲まれるようにして、パソコンや何やら実験装置があります。ムッとする暑さは、夏を再現するため。

「この地下にも部屋があり、床や天井に伝わる熱の伝導性を調べることができるのです」 (研究所の方)
それで夏を再現しているんですね。逆に冬も再現したりするんですか?
「ええ。ここは隣の“巨大冷蔵庫”よりもさらにパワーアップして、-40℃から60℃までをつくり出すことが可能です。これにより、日本のみならず世界のどんな過酷な気象環境でも耐えうる家づくりを追求できる、というわけです」 (研究所の方)
-40℃ってどこなんだろう・・・・?と思って調べてみたら、冬の南極の平均気温が-20℃だそうです。-30℃を下回ると吐いた息も凍るとか。
ちなみに、-20℃以下で実験するときは必ず2名体制で、外のスタッフの監視下で安全に配慮した運用が徹底されています。
最先端の研究所は、やっぱりすごかった。
最先端の家づくりをする研究所だけあって、あらゆる設備や実験が日ごろ目にしない規模のものばかりで、驚きっぱなしの潜入(といっても案内して頂きましたが・・・・)取材になりました。


今回はご紹介できなかった空気質の研究や、防犯対策、ユニバーサルデザインの研究なども日夜ここで行われているとのこと。ここで生まれた研究成果が、安全安心や快適を実現する住まいづくりに役立てられているのですね。
積水ハウスでは、耐震のメカニズムや快適空間の理由など、難しい技術もわかりやすく体験できる施設「Tomorrow’s Life Museum」を、今回ご紹介した「総合住宅研究所」のある京都府木津川市をはじめ全国5か所で展開中です。ぜひ、アトラクション気分で積水ハウスの技術をご体験ください。
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