家一棟建てられるほどの巨大冷蔵庫に、-40℃から60℃まで温度を変えられる部屋・・・・ふつうじゃ考えられないような大規模な研究施設が京都にあるというので、潜入してきました!

潜入!積水ハウスの研究施設(前篇)

今回も前後篇でお届けします!
(後篇を読む)
京都府の最南端に位置する、木津川市。奈良県奈良市に隣接し、740年(天平12年)から4年間だけ日本の首都になったともいう文化遺跡の多いこの地に、積水ハウスの「総合住宅研究所」はあります。

7,000m²の敷地内にある研究所の中では、住宅の基本性能の検証や評価をはじめ、新しい構・工法の研究開発、ユニバーサルデザインや新しい環境技術の研究など、いつまでも安全・安心・快適・健康に暮らせる「幸せ」技術の研究開発がなされているそうです。
最先端の家づくりがどのように行われているのか、さっそく中を探索してみましょう。
実際の地震よりも強い揺れで、強度を確かめる。
まず案内されたのが、吹き抜けから日の光が差す、巨大な空間。

その中央に立つ大きな4本の柱が目にとまりました。これは柱などに圧力をかけて強度を測る実験装置。約50トンの力を加えることができるそうです。50トンは乗用車50台分ほど(!)。

ここでは、部材レベルの強度試験や、実際に家を建てて行う実験など、さまざまなテストが可能な場所になっています。
床の緑色が濃いところと薄いところがありますね。

実はこれ、濃い方は実験施設の構造からは切り離されたエリアで、この床は動くことのない構造になっているそうです。この上で家を建てて力を加えると変形量を正確に調べることができる、というわけです。
手前にある白い台は、振動台と呼ばれるもので、2,000ガルの揺れを起こすことができる実験装置だそうです。

ガルは地震の加速度を表す単位で、600ガル以上で震度7になります。2,000ガルは阪神・淡路大震災を大きく超える振動・・・・と聞くと、この実験のシビアさが伝わってきます。
研究所の方に聞いてみましょう。
「強度実験では、これだけ揺らしても曲げても壊れなかった、じゃあ安心だね、で終わらせることはしません。私たちの実験は建物が倒れて壊れるまでやります。ここまでの負荷をかけると壊れる、というのを数値で追い求めるために必要な実験なんです」
「それから、構造的に壊れなくても基礎がダメージを受けていることもあり得ます。決して建物だけの安全を見るのではなく、基礎の強度も問題ないかをここでは見ています」
人工的に嵐を起こす。
奥に進むと、何やら黄色い機械のようなものが見えます。

「ここは人工的に風を起こしたり雨を降らせたりする装置が組まれたエリアです。窓や玄関の防水性、屋根の雨漏りが起きないか、または、屋根材の耐風試験など、風雨にまつわる試験を行っています」 (研究所の方)
雨は1時間に250mm、風は風速70m/sほどは出すことが可能なのだとか。実際なら河川が氾濫し、所々で土砂災害が発生するレベルです。
さらに、わざと風の流れを乱れさせ、より自然な台風の風を再現できる「脈動発生装置」も用意されているそうで、とことんリアルな環境を再現しているんですね。

徹底した耐久性評価。
居住されるお客様が永く快適に住めるように、総合住宅研究所では大きく3つの耐久性試験が日夜行われているそうです。研究所の方に案内してもらいましょう。
「ひとつめは現場調査です。数十年経過して建て替えされるお宅に赴き、取り壊し直前の建物の劣化具合を確認します」

「2つめは屋外暴露試験です。ここ(総合住宅研究所)の屋上にさまざまな素材の屋根材や外壁を置き、長期間にわたって日光や雨風にさらすことで調査・検証していきます。また、色々な気候条件のデータを集めるために、ここだけでなく全国各地で行っています」

「最後に促進試験です。部材に強い光や温度の変化を与え、より早く劣化が進む実験をします。それにより、数十年後にどのくらい劣化するかを予測できるようになります」

過去から現在、未来に至るまで長い時系列の変化をじっくり時間をかけて観察・研究しているんですね。
おや、このサーバ?のような機械は何でしょう。耐候性試験機と書かれています。

研究所の方いわく、60℃〜80℃の熱と、真夏の30倍もの紫外線、そして水を浴びせることができる装置なのだとか。この日は屋根材を4か月間この中に入れて試験しているところでした。
他にも、雨風・紫外線・熱だけでなく、塩水を噴霧できる装置もありました。建築材料の錆びにくさや長く使えるかどうかを調べるを調べるときなどに用いるそうで・・・・そのための専用の装置があるんですね。
後篇では、いよいよ超巨大冷蔵庫(?)の中に潜入します!
(後篇につづく)