開業にあたって
~今どきの医療法人~

税理士

丸山 定夫

MCS税理士法人 所長

医療法人の分類は、大きく財団と社団とに分けられ、さらに社団は持分の定めの有無によって分かれます。ただし、持分のある医療法人というのは、従来の持分あり社団医療法人と出資額限度法人となります。第5次医療法改正によって設立することができるのは財団医療法人または持分のない医療法人に限定されます。
今回は第5次医療法改正施行後の医療法人について解説します。

1.医療法人設立数の推移

第5次医療法改正後の医療法人設立数は大幅に減少しています。

平成19年4月1日から施行された第5次医療法改正で設立検討のネックとなった平成19年4月1日以降設立された医療法人では残余財産の帰属先は国又は地方公共団体や他の医療法人等とされたことにより医療法人設立数がいかに推移しているかを下記でみてみることにしてみましょう。
医療法人数の推移を示した厚生労働省ホームページによると平成22年3月末の全医療法人数は45,989件となっています。

平成19年の2,307件のうち2,289件(99.2%)が、時価払戻が可能な医療法人(経過措置型医療法人)となっています。この年の設立数の増加は旧医療法による法人設立駆け込みと思われます。第5次医療法改正後は上記の通り医療法人設立数は大幅に減少しています。

コラム Cloumn

第5次医療法改定とは
第5次医療法改正にともなって医療法人制度は、新たな類型として社会医療法人、基金拠出型法人が創設されるとともに、今後の医療法人の方向性を示す改革となりました。医療法人制度改革では医療法人の「非営利性の徹底」「公益性の確立」「効率性の向上」「透明性の確保」「安定した医業経営の実現」を図る観点から見直しが行われました。
【医療法改定により設立できる医療法人】
●社会医療法人(医療法第42条の2により設立)
●特定医療法人(租税特別措置法第67条の2第1項で規定)
●基金拠出型法人(医療法施行規則第30条の37、第30条の38で規定)
【経過措置型医療法人】
●出資額限度法人
●持分あり医療法人
※特別医療法人については改正法附則第8条において5年間存続するとしています。
平成19年4月以降設立される医療法人は、これまでのような持分の定めのある医療法人が解散時の残余財産の帰属先を出資者にすることはできなくなります。
平成19年4月以前に設立された持分のある医療法人、出資額限度法人については、「当分の間」そのまま存続できることとなっています。

2. 従来の医療法人(平成19年3月以前に設立申請した 医療法人)成りのメリット・デメリット

実は下記メリット・デメリットは平成19年4月1日以降設立された医療法人でも持ち分に対する相続税負担を除いて、その他は何ら扱いは変わらないのですが、やはり一番の不利な点である解散時残余財産分配は国等に帰属することになったことが影響し設立数が減少しているようです。

3.旧法で設立された医療法人(持分のある医療法人)について現在検討されている事項について

医業承継に係る相続税・贈与税の納税猶予等の特例措置の創設

平成22年9月2日に厚生労働省の平成23年度税制改正要望が出されました。
<要望内容>
持分あり医療法人については出資持分に係る相続税により医業の継続が困難となる可能性があるため、持分あり医療法人が持分なし医療法人に円滑に移行できるように、持分あり医療法人のうち持分なし医療法人への移行を検討するものについて、出資者の死亡に伴い相続人に発生する相続税の納税を3年間猶予するとともに、3年以内に一定の要件を満たす持分なし医療法人に移行した場合に、猶予税額を免除するなどの特例措置を創設する。と言う内容です。
<回答>
以前より要望されているがいまだ改正されてはいません。

まとめ

現在は設立が少しづつ増加傾向にあり、もちろん節税効果目的が大きいですがそれ以外に高齢者専用賃貸住宅の経営、介護事業の経営、他の診療所吸収など積極的な経営の多角化目的が増えてきているようです。設立意思決定に関しては、専門家とよく相談の上検討をお勧めします。
(2011年4月現在)

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