開業後の患者動態調査

税理士

三浦 康弘

税理士事務所 みうら会計 所長

開業してから現時点までの来院患者の分布を調査し、開業後の「患者動態調査」を作成すること、そしてそれと開業前に実施した「診療圏調査」とを比較し、ギャップを認識することによって、新たな増患対策をたてることが有効になってきます。
今回は開業後の患者動態調査を重視した開業後の増患対策のポイントなどを解説します。

1. 現状分析としての「患者動態調査」

自院に来院している患者分布を調査することで、来院患者の動態傾向を知ることができます。

開業前には、開業予定地における診療圏域を想定し、1日当たりの来院予測患者数を算出するドクターがほとんどであるにもかかわらず、実際にそこで開業してからは、この開業前に実施した診療圏調査を再度見直すことは少ない状況です。そこで、自院の現在位置を見極めるために自院のレセプトコンピューターの情報を利用して開業後の患者動態調査を実施します。

(1)患者データの抽出

自院のレセプトコンピューターから患者の頭書きデータを抽出し、実際の来院患者の分布図を導き出します。エクセルなどの表計算ソフトを用いれば、図1のような円グラフに簡単にまとめることができます。

また、住所地を地図上に落とし込みできるソフトを用いれば、図2のような患者動態調査マップ(医療機器メーカーのフクダ電子㈱提供)も作成でき、市町村別人口とその地域での来院患者占拠率を色分けにすることによってビジュアル的に見ることができます。

(2) 患者データの分析

来院患者の分布図をもとに、「自院の患者はどのエリアから多く来院しているのか」または 「在住人口が多いにもかかわらず、来院患者が少ない地域はどこであるのか」を見ることができ、その要因として新規開院や高齢医師の閉院など競合施設の増減や、地域の再開発による在住人口の急増や年齢構成の変化などの外的情報を収集することで患者動態を分析することができます。

2. 分析から具体策へ

地域における自院のポジショニングの確認から、具体的な増患対策へとつなげていきます。

患者動態調査の結果から、実質の診療圏を見極め広告の見直しや力を入れていく専門領域の戦略を練ります。

(1) 診療圏

開業前の診療圏調査では、診療科と地域特性によって半径500mから2km程度を診療圏とみたてて実施することが多いですが、開業後1年~2年以上経過した頃に患者動態調査を実施し患者分布を見ると、実際の診療圏は当初の想定より広く集患できていることがあります。来院患者の交通手段に車が多い場合、駐車場のより多くの確保の必要であったり、増やせない場合には予約診療の導入を検討したりします。

(2) 広告の見直し

人口が多いが来院患者のシェア率が低い地域の広告の強化を図ったり、逆に患者占拠率の高い地域の広告を徐々に減らすことで、コストのかけかたにメリハリをつけられます。

(3) 競合医院との差別化

内科系など比較的同じ診療圏内で競合医療機関が多い診療科の場合、新たな専門外来の開始や専門診療科の標榜が考えられます。また、郊外での一般内科標榜での開業の場合などでは、小児科系の患者が当初の想定より多いこともあります。感染症室の増設やキッズコーナー設置の検討、お母さん向けに待合室に婦人向けの雑誌を増やすなどの対策も効果的です。

まとめ

開院前に調査した診療圏調査を再度現状の患者動態調査結果と比較しながら検討し、その地域における増患対策を早期に打つことは、口コミ発生源となるリピーター患者の確実な確保につながります。
まずは、レセコンメーカーや分析を頼めるメーカーや税理士にご相談ください。
(2011年2月現在)

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