患者数の動向を的確に把握し計画的な経営に

税理士

岡田 幸司

岡田幸司税理士事務所 所長

少子高齢化が進行し、人口が減少して行く時代に入り経済成長が望めない状況下、医療・福祉など様々な問題が顕在化してきています。平成22年の診療報酬改定においても政策的には少子化・高齢化対策への誘導が行われ、それに対応するか否かで、医療機関の経営面で大きな差が生じてきており、この傾向は今後も続くものと思われます。今回は患者数の動向から考える計画的経営について解説します。

1. 経営改善

過去の経験と感に頼らず、数字を活用し目標設定を。

タイムリーに自院の経営状況を把握し医業収益・医業費用・患者数等を前期同月と比較することは、計画的な経営管理に有用な情報となります。また、将来の患者数予測や医業収益予測の基礎資料となりますので、それらの数字を活用すれば目標設定等も行いやすくなります。
しかし、この数字を把握しないで感覚的な判断に頼ると、いざ数字が出てみると前年比100%前後だったりします。「前年より少し悪いかな?」などといった少し内輪に見積るのが「感覚」でしょうが、本年の診療報酬改定以降ドクターからは「感覚的にもよく分からない」と話は聞きます。このように今までの経験と感では対応が遅くなりがちです。患者数の変動を予測してこそ持続的な医院経営と言えるのではないでしょうか。

2.レセプトコンピューターからの数字

TKCの医業会計データベースなどの専用コンピューターを使っての分類・集計機能を活用すれば以下のような項目チェックにも有用です 。

情報として出力したデータから、問題点の洗い出しと集患対策に反映させ改善を図ることができます。
その集患対策として頻出する項目を列挙してみます。

コラム Column

ある歯科医院の場合
JR駅前で歯科診療所は激戦区、保険診療が中心で1日平均患者数70名。院長と歯科衛生士5名、受付他 3名の計9名の体制です。

(1)診療体制は、チームとして情報の共有
患者に対して「自分から考える」の立場でスタッフ全員が患者との会話の中から潜在ニーズの声を拾い情報 を共有しています。
(2)安心感・気くばり
待合室で待ち時間の長い患者には、診察状況を逐一知らせて安心感を与えたり、次回の来院までの期間に緊急対応が必要な場合についての説明や、日常生活での注意点を分かりやすく説明をしてきました。患者ひとりひとりに対して、このようにスタッフ全員が気くばりをしています。
【その結果】
激戦区のなかでも医院に対して患者からの安心感と信頼感は、自然と口コミで広がり集患効果と経営の安定化に繋がりました。院長だけではなく信頼できる優秀なスタッフがいてこそ、増患を生み出した口コミ効果は、広告宣伝費の削減効果も生み出しました。

3.計画性のある経営とは

目標とすべき到達点が高邁であればある程、時間はかかるものです。

院長の方針を医療スタッフ全員に浸透させるためには、経営計画書の名目で文章化し、自院での方向性を明らかにするのは如何でしょうか。
「経営計画書」と銘打つと数値目標が並んでいて目標達成の為チーム一丸となって努力するイメージかもしれませんが、最初は医療スタッフとしての基本的な心構え等を組み込んだ計画策定から始められて良いと思います。
それをP・D・C・Aサイクル(計画・実行・評価・改善)として、定期的な業績検討会等を開き、これを継続することが院長の理想とされる医療サービス実現への近道と考えます。
目標とすべき到達点が高邁であればある程、時間はかかるものです。一気にとなると無理も生じますし、又、途中で投げ出すことにもなりかねません。手の届く範囲内での目標設定が肝要かと思いますし、もし一部が目標に届かなかったとしても、「何故目標に届かなかったのか」がチームとして共有出来るのではないでしょうか。

まとめ

患者数の動向把握はレセコンからの出力データで、タイムリーな情報です。
そのデータをどの様に反映させるかは、医院の立地条件や地域性なども考慮し十人十色の選択となり、病医院の個性を表現する手段となります。
自院にマッチしたデータを上手に活用して、医院経営にお役立てください。
(2011年1月現在)

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