消費税課税売上割合に準ずる
割合の適用承認申請書

税理士

佐藤 正雄

税理士法人湧志会計 代表社員

消費税の納税額を計算する場合、売上を「課税売上」と「非課税売上」に分ける必要があります。課税売上に対する消費税額から控除対象仕入税額を控除し納付税額を計算しますが、控除対象仕入税額は課税仕入れに対する消費税に売上に対する課税売上の割合(課税売上割合)となります。
その課税売上割合より合理的と認められた場合に、課税売上割合に代えて「課税売上割合に準ずる割合」を用いて計算することができます。今回は事例を参考に解説します。

1.消費税課税売上割合に準ずる割合とは

「課税売上割合」とは「課税期間中の割合」なので、事業者が数種類の 事業を営んでいる場合でも、全体で課税売上割合を計算します。

しかし個別対応方式を選択する場合は、控除対象仕入税額を計算するとき、その事業の実態を反映するもので合理的であると承認された割合を「課税売上割合に準ずる割合」といいます。

2.医者が子供に診療所を賃貸した場合に消費税が還付された事例

事業所得と不動産所得を分けて計算し「消費税課税売上割合に準ずる割合の適用承認申請書」を提出します。

■事例

※診療所収入は87,377千円そのうち消費税の課税売上高は4,584千円で免税事業者となっており消費税を申告していないケース
医院併用住宅の建物価格が一億円で使用割合は、診療所の割合が7割、住宅部分3割の場合に、月額家賃を35万円に設定すると診療所部分は24万5千円、住宅部分が10万5千円の不動産収入となります。
消費税が還付されるためには課税業者になって、本則課税方式を適用して申告しなければなりません。診療所の社会診療報酬は非課税になっているため課税売上割合が低いため、個人事業者の消費税の申告は事業所得も不動産所得も含めすべて一緒に計算します。したがって建物の賃貸収入も合算しても社会保険診診療報酬の割合が大きいので課税売上割合は低くなってしまいます。
不動産所得だけで申告すれば課税売上割合は7割になるので還付も大きくなりますが、非課税売上が大きい診療所の所得と合算するよりも事業所得と不動産所得を分けて計算するのが最良と考え「消費税課税売上割合に準ずる割合の適用承認申請書」を提出して承認されました。
今回、事業者が選択できるケースは、以下の3つがあります。

■ケース1

このまま免税事業者として消費税の申告はしません。
消費税納付税額、還付金はありません。

■ケース2

課税事業者を選択して2年間消費税を申告します。
1年目消費税還付85,637円2年目消費税納付179,100円(簡易課税選択の場合)となり納付額のほうが多くなります。

■ケース3

課税事業者を選択し、「課税売上割合に準ずる割合の適用承認申請書」を提出して承認を受け、2年間消費税を申告します。
1年目、消費税還付3,085,125円2年目、消費税納付179,100円となり290万円還付のほうが多くなります。

3.消費税届出書の手続きと留意点

事例の場合、事業者は納税地の所轄税務署長に対して次の届出書等を
提出しなければなりません。

●課税事業者となる前年の末日までに提出
「消費税課税事業者選択届出書」「消費税売上割合に準ずる割合の適用承認申請書」

●課税事業者の1年目末までに提出する届出書
「消費税簡易課税制度選択届出書」

●課税事業者の1年目末までに提出する届出書
「消費税課税事業者選択不適用届出書」

●各年度の申告は以下の表のようになります。

●3年目、4年目で提出するとよい届出書等
「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」
「消費税課税売上割合に準ずる割合の不適用届出書」
これらの届出書を提出していないと免税事業者の期間であってもこれらの届け出は適用されています。

留意点

1.「消費税売上割合に準ずる割合の適用承認申請書」を提出しても、承認されない場合は「ケース2」となります。
2税込経理を選択していると還付金は還付年度に不動産所得の収入金額となります。
3.個別対応式を選択した場合にも2年間適用しなければなりません。
(届出なし。)

まとめ

消費税は仕入れに係る消費税のうち、課税売上に対応している部分のみが控除されます。
対応していない部分は事業者の負担となっています。したがって、自医院で使用する診療所の支払い消費税は社会診療報酬に対応する部分は控除されません。
子供に賃貸する診療所部分は課税売上に対応します。課税売上の割合が多いほど控除税額が大きくなります。
(2010年4月現在)

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