開業までに使ったお金はどうする

税理士

石川 博行

尾澤・石川会計事務所 所長

開業までに使ったお金は集計してみると結構な金額になります。会計処理上、開業費という科目になりますが、この処理はどうしたらよいでしょうか。以前にもご説明しましたが、今回は少し詳しく説明していきます。

1.開業費とは何か

税務上の定義は、事業を開始するまでの間に開業準備のために特別に支出した費用ということです。

その支出の効果が1年以上に及ぶので、5年で償却することが原則ですが、確定申告書に記載することにより、支出した金額の範囲内の任意の金額を、その年の償却費とすることができます。
ここで、初年度に開業費を償却する金額が任意に決められるところが重要です。初年度の確定申告に有効に使えるのです。
(個々の事情により変わりますので、詳しくは税理士にご相談ください)

2.開業の日とは

開業費はいつから使えるのか。

開業の日とは通常、収入の計上された日となりますので、診療開始の日、あるいは内覧会の日からすでに事業開始と考え、その日から開業とする場合もあります。その年月日を税務署に提出する個人事業の開廃業等届書等に記入することになります。
その日以降に支出した費用は開業費でなく、通常の必要経費となります。
よく先生方から「開業費は何年前から入れられるのですか」という質問があります。これは先生方が開業をしようと思って、開業のために特別に支出した最初の日からということになります。

3.使ったお金はなんでも開業費か

開業のために特別に支出したものは何でも開業費かというと、そうではありません。

開業費は、「開業のために特別に支出」ということですので、開業前に医師、歯科医師として勤務している仕事のための費用は開業費にはなりません。
(例:学会の会費、現在の仕事で必要な参考資料の購入代、勤務先に行く交通費、等)
それ以外は、それぞれの勘定科目で処理します。

4.領収証がなかったらだめです

必要経費もそうですが、領収証がないものは認められません。

ただし、領収書のもらえない交通費はメモをしっかり取っておく事が必要です。いつ、どこへ、何の目的で行ったかがわかるようにしてください。
領収証があっても、それだけでは内容が不明です。たとえば飲食代はどこのだれと何の目的で会ったか、ということをメモしておく必要があります。何に使ったかわからないものは開業費に入りません。領収書をもらったらすぐにだれと、何のためにとメモを記入しておくことが重要です。

まとめ

開業のための費用は細々したものから、多額のものまでいろいろありますが、重要なことは開業しようと考えたときからの領収証を全て保管し、何に使ったかを明らかにしておくことです。後になると、何に使ったかわからなくなるので、領収証をもらったときすぐに記録することが必要です。
使った費用が開業費に該当するか否かわからないときは、領収証を全て取っておいて専門家にご相談ください。
(2008年8月現在)

〜ドクターのための豊富なTKC税務講座一覧〜

他にも医業経営に役立つ情報が満載です。様々な税務講座をご用意しております。
「+」をクリックすると内容を一覧できます。

医院経営について

会計
戦略
税制
その他