初期投資の処理

税理士

秋田 耕二郎

秋田會計事務所 所長

クリニックの開業には、最初にまとまった額の初期投資が必要になります。医療設備・医療機器は高額なものが多く、また内装設備工事等も必要になるからです。それ以外にも、医師会・歯科医師会への入会金などの開業時特有の支出があります。今回はそのような開業時に特有の支出について税務・会計上の処理を確認していきます。

1.初期投資の分類

繰延資産とは

クリニックの開業にあたっては、診療科目や診療方法にもよりますが、建物の建設・購入・賃借、内装工事、医療機器など、初期投資は一般的に高額になります。
初期投資の内容を表にまとめました。

次の項では、表の中に赤字で示した、繰延資産について確認します。

(1)繰延資産の償却
繰延資産はその効果の及ぶ期間にわたって、それぞれの年ごとに、その支出した費用の一部を「償却費」として必要経費にしていきます。ただ、その効果の及ぶ期間が明確でない費用もありますから、その場合は税法で償却期間を定めています。

(2)繰延資産の例と償却期間
税法では、繰延資産の内容によって償却期間を定めています。開業にあたり、よく登場する繰延資産の例とそれぞれの償却期間をまとめておきます。なお、繰延資産は、その総額が20万円未満の少額なものは、翌期以降に及ぼす影響が少ないこと、また計算が煩雑になること等から、全額がその支出した年分の必要経費になります。

(3)償却費の計算

2.繰延資産の取り扱い

開業費とは・・・

開業準備のために通常必要なものであること。

クリニックを開業しようとする場合、開業前に支出した事業のための費用は、事業開始後に生ずる医業収入から必要経費として控除すべきものと考えられます。
そこで、開業後5年間にわたって均等に償却することとされています(任意に償却することもできます)。
したがって、開業前に支出したものでも、医業に関係なく必要経費とは認められないような支出は開業費には含まれません。

費用であること

開業費として繰延資産計上していますが、あくまでも開業後の支出であれば必要経費として処理できる費用であることが必要です。
従って、資産として計上すべき医療機器や院内備品などの支払が混入しないようにしっかり区別してください。
これらは減価償却資産として、減価償却を通して必要経費になります。また、薬品や診療材料などは、たとえ開業前に仕入れたとしても、これらは収入と直接 対応するものであり、通常仕入れの効果は1年以上もおよぶとは考えにくいこと、また決算期末時点で使用されなかったものは棚卸資産として処理することから、開業費には含めないようにしてください。

3.事業専従者給与Q&A

クリニック用の建物や医療設備、医療機器など購入した資産は、固定資産となりますので、減価償却を通して必要経費になります。固定資産と減価償却については、この先、別の回で詳しく取り上げる予定です。

今回のまとめ

一般的に高額になるクリニックの初期投資については、金額が大きいだけにより正しい経理処理が求められます。初期投資の支払の中には、繰延資産という費用にも関わらず資産を購入した場合と同様な処理をするものがあります。特に開業した年には繰延資産として処理すべき支払も多くなりますので、注意が必要です。
(2007年4月現在)

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