家族の労働 専従者給与

税理士

秋田 耕二郎

秋田會計事務所 所長

クリニックを開業するとき、奥様や家族がその業務を手伝うことはよくあります。当然、他のスタッフと同様に給与を支払うことを考えますが、個人事業のクリニックの場合には家族に対する給与については注意すべき点があります。今回は、その家族の労働に対する給与について確認していきます。

1.青色事業専従者給与と白色専従者控除

青色と白色の違い

奥様など院長の家族(院長と生計を一にする親族)が、クリニックの事業に専従し、給与の支払いを受ける場合には、次のように取り扱われます。青色申告をしている場合と白色申告の場合と違いますので、気をつけてください。

(1)青色事業専従者給与
青色申告者が家族に給与を支払う場合には「青色事業専従者給与に関する届出書 (以下「届出書」)」を所轄の税務署長に提出しなければなりません。青色専従者に支払う給与はその届け出た範囲内で適正な金額であれば、他の雇用しているスタッフの給与と同様に必要経費にすることができます。

(2)白色専従者控除
白色申告の場合には、専従者にいくら多額の給与を支払っても一定額しか控除されません。その年に控除できる額は、配偶者が最高86万円、その他の事業専従者は1人につき最高50万円です。なお、次のような場合には、控除額は(A)の金額となります。

※計算式の意味:
分母の「専従者の数+1」は、事業に従事している家族の人数(専従者と院長先生)を表しています。クリニックの所得金額を家族の人数で割った金額(A)が50万円未満になるときは、1人につき、(A)の金額までしか控除できないということになります。
従って、事業所得が赤字の場合には、控除額は0円になります。
また、専従者が配偶者の場合には、その基準は上限86万円になります。


(3)事業専従者の要件(判定)
次のいずれにも該当する人を事業専従者といいます。

奥様など院長の家族(院長と生計を一にする親族)が、クリニックの事業に専従し、給与の支払いを受ける場合には、青色申告をしている場合と白色申告の場合と違いますので、気をつけてください。

2.青色事業専従者給与に関する届出書

(1)「届出書」に記載する事項

(2)「届出書」の提出期限等

3.事業専従者給与Q&A

よく聞かれる質問をまとめてみました。

  • Q-1

    青色事業専従者給与が未払いになっている場合には、必要費用にできますか?
  • A-1

    原則として、青色事業専従者給与は現実に給与を支給したものでなければ、必要経費にできません。ただし、未払になった経緯に相当の理由があり、かつ短期間に実現の支給がされている場合(月未払いのところ資金繰りの関係で翌日10日に支払った場合など)には認められます。
  • Q-2

    青色事業専従者である妻が病院で入院していた2ヶ月間分の給与は必要経費に認められますか?
  • A-2

    事業に従事していない期間に対して支払った専従業給与は必要経費として認められません。労働の対価ではなく妻に対する贈与だと考えられます。
  • Q-3

    赤字の場合に支払った青色事業専従者給与は必要経費にできますか。また、青色事業専従者の給与が事業主である院長の所得より多くなってもよいのでしょうか?
  • A-3

    所得が減少したり赤字になったことにつき相当の理由がある場合は、その専従給与が適正額である限り必要経費にできます。しかし、通常の経営で毎年赤字になっているような場合は、その給与の是否、給与の額が適正であるかどうかを検討する必要があります。なお白色申告者の事業専従者控除は、事業所得が赤字の場合には必要経費として認められないのは先述のとおりです。
今回のまとめ

家族に支払う給与の取り扱いは、青色と白色で大きな差があります。また青色事業専従者給与は、一定の期限までに「届出書」を提出する必要があり、その届出を忘れると大きな影響があります。家族への給与の支払いは、発生するケースも多いので、よく理解しておくことが大切です。
(2007年3月現在)

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