積水ハウスの研究と実績に基づく住宅ユニバーサルデザインの本格展開 住宅で初めてのユニバーサルデザイン基準を確立しました

積水ハウス株式会社/2002年10月1日



 住宅着工戸数は年々低下傾向にありますが、住宅に対する要求は、ますます高度化・多様化し、住宅メーカーとして、高いレベルの品質や高度な生活要求に応える力が要求されています。


  そのような市場に向けて積水ハウス株式会社は、お客様ひとり一人のご要望をお聞きして、一邸一邸個別に設計・ご提案させていただくコンサルティングハウジングを実施してまいりました。

その一環として、これからの時代を見据えて身近な生活要求に応えることのできる新しい考え方の住宅性能として「積水ハウスのユニバーサルデザイン」を本格展開いたします。


 積水ハウスが長年提唱し実践してきた「生涯住宅思想」にもとづき、1999年「環境未来計画」で、高齢者や障害者に限らず『誰もが、いつも、いつまでも、安全・安心で、使いやすい、住まいづくり』をめざすことを宣言しましたが、これをシステム的に展開いたします。


 30年にわたる研究ノウハウと、159万戸の住宅供給実績をもとに、独自の視点から組み立てた「暮らしやすさを実感できる、住宅のユニバーサルデザイン」を、業界初のユニバーサルデザイン基準として確立しました。これを今後、全ての戸建住宅に適用します。そのための仕組みと体制を整備致しました。

 
159万戸の住宅建設で得たノウハウと、30年にわたる研究成果、約1500棟の配慮住宅建設実績を元に、独自のユニバーサルデザインを構築しました。

誰にでも役立つ「安全・安心性能と使いやすさ」を標準化し、これを軸に「障害対応設計」を加えました。暮らしやすさをいつまでも実感でき、お客様の満足度を高めます。

お住まいを長い人生の中で、大切に使い続けていただけ、住宅の長寿命化にも繋がります。

     
1.実績で裏づけられた「人」中心の性能 性能目標・モノづくりガイドライン・計画ガイドブックの策定
<建具・設備・把手のひとつにいたるまで、細かい設計配慮の行き届いたモノづくり>
     
2.プランニングにおける基準の整備 一邸一邸が異なる住宅における、ハイレベルな設計提案が可能
     
3.独自のユニバーサルデザイン定義 誰にでも快適な「ベーシック」と、障害に対応する「チャレンジング」
     
4.ユニバーサルデザインの専門家育成 ユニバーサルデザイン・マスタープランナー制度
     
5.コンサルティング営業の場の提供 「住まいの夢工場」など、暮らしやすさの体験型施設の充実
 
●本件に対するお問合せ先

積水ハウス株式会社

広報部 東京総務部
TEL:06-6440-3021 TEL:03-5352-3113

現在の住まいは
長寿健康の時代にふさわしいか?

 
日本の住宅における物づくりの技術は格段に向上しました。特にここ数年の基本性能向上は目をみはるものがあります。量から質の時代へと言われて30年、しかしながら本当の意味での質の向上は始まったばかりです。


 さて、この長寿健康の時代における今、高齢者の方々への配慮は一歩を踏み出したものの、子供から高齢者、健常な方から障害を持つ方、色々な体格の違いや身体能力の違い等、すべての人々に満足していただける住宅へのトライはこれからだと言わざるを得ません。


 また、既に4軒に1軒の割合で高齢の方が住んでおられるという現状から見ても、住環境に数々の問題を抱えています。

  ・事故が多い(転ぶ、落ちる、溺れる・・・・)
 
  ・疲れやすい(立ったままの調理、家事・・・・)
 
・思うとおり動けない(急階段、出入り口廊下幅・・・)
 
  ・万一のとき介助できない(排泄、入浴・・・・)・・・・・etc


 住み続けることへの問題解決を考えるとき、これらを見ただけでも、もっと身近な生活に即した住宅の性能が必要となるのです。


これからの住まいは
バリアフリーからユニバーサルデザインへと拡大

 
  住宅金融公庫のバリアフリー割り増し融資や、交通バリアフリー法の施行など「バリアフリー」という考え方は定着しつつあります。しかし、これからの時代は、特定の人のために、特定の障害を取り除こうというバリアフリーへの対応だけでは不十分であることも確かになってきています。

 バリアフリーの考え方をさらに進めて、誰もが安全で安心して使えるように、製品や建物、空間をデザインするという考え方が、世界中に広がってきました。


 昨今、ユニバーサルデザインを謳う製品が、家電や輸送機器など様々な産業分野から生まれつつあります。使いやすそうで親しみやすいデザイン性を持つものが多く、グッドデザイン賞を受賞した優れたものもあります。しかし、一般の人への認知度は低いことや、実際には便利さと混同したり、使う人を限定する製品も混じっていたりと様々です。そこには、理念や原則が先行して、具体的な考え方や基準がないため、モノの開発も手探り状態という現状が反映されているようです。


 積水ハウスでは、それらを踏まえ住宅の考え方をバリアフリーからユニバーサルへと拡大すべく、住宅におけるユニバーサルデザインの考え方と基準を策定しました。

 


積水ハウスが考える住宅のユニバーサルデザイン


(上記の図の拡大表示)

身近な生活の中で実感できる快適性能
ユニバーサルデザイン本来の意義を思うと、まず住宅でこそ実現されるべきものだと思われます。


しかし、年齢や身体特性の違う家族が長期間使用することを基本に、敷地や気候条件、そして住まわれる方の趣味・嗜好の問題等々を踏まえて、一邸一邸個別に設計していく住宅は、出来あがって提供する他の商品と違って、ユニバーサルデザイン化が困難なものでした。


そこで、一律的に平均値を採ったような基準を定めるのではなく、様々な人それぞれに最適値が選択できる、基準からモノづくりのシステムを作ることが喫緊の課題であると判断しました。


年をとった時、また何かをしようと思った時に初めて気づくような性能や、日々身近に対応する安全や使いやすさを基本とした生活快適性能を追求していくことが、積水ハウスのユニバーサルデザインです。

「安全」と「使いやすさ」のデザインが基本
 住宅の中では「安全」と「使いやすさ」が生活の基盤であると考え、積水ハウスにおけるユニバーサルデザインの基本を「安全」と「使いやすさ」としました。


 現在、積水ハウスでは品確法の住宅性能表示制度の高齢者等への配慮基準においては最高等級まで対応可能ですが、これですべての人々の安全と使いやすさを解決できたわけではありません。


 今回、生活者のすべてと暮らし全体をカバーするユニバーサルデザインを展開することにより、バリアフリーや品確法を包括した新しい概念を作り上げるとともに、今まで基準化されていない、ユニバーサルデザインのモノづくりガイドライン・計画ガイドラインを策定いたしました。(どちらも社内基準)


 また、個別性の高い障害配慮のための住宅設計は、あえて誰にでも役立つ「安全・使いやすさの性能」と分けて、個別に対応していく指標としています。もちろん特定の人を排除するのではなく、車いす通過のための性能や誰にでも必要となる手すりなどは、誰にも邪魔にならないので最初から組み込むなどの判断を加えております。


 このように、どの住宅にも適用できる安全と使いやすさを「ベーシック」、障害配慮設計を「チャレンジング」と名付けて、積水ハウスが提供する住宅全体をカバーする仕組みと体制を構築いたしました。

実施のための体制を整備
 この積水ハウスユニバーサルデザインの考え方を、一邸一邸に導入するために、製品開発段階としては 「モノづくり基準」を、お客様との接点の段階として「人づくり(プランナー制度)」「場づくり(拠点整備)」の体制を整備いたしました。

 


積水ハウスユニバーサルデザインによる住まいづくり体制


I モノづくりの基準策定と
  安全で使いやすい部材群の整備

  安全で安心な設計、使いやすい設計を、体系的に網羅した基準はありません。そこで人間を基準にした当社独自の性能目標を設定した上で、各部位・部材ごとのガイドラインを策定しました。現在、ガイドラインに沿って、よりレベルの高い部材開発を進めています。


それらの部材群の組み合わせにより家が完成しますが、誰にも役立つ「SAFETY」と「EASY」を「ユニバーサルデザイン・ベーシック」として全住宅に適用できるようにし、障害など特別なニーズへのサポートを「ユニバーサルデザイン・チャレンジング」として、ベーシックに付加していくという考え方になっています。



ユニバーサルデザインを追及した「安全で使いやすい」部材の一例(モノづくり)

           (バスユニットの写真の拡大表示)

 

(トイレ棚てすりの拡大表示)



II ユニバーサルデザイン
  推進リーダーの育成と全国展開(人づくり)


  お客様にユニバーサルの観点からコンサルティングしていくためのリーダー育成を始めました。社内資格として「積水ハウス・ユニバーサルデザイン・マスタープランナー」を創設し、順次、全事業所に配置をしてまいります。


 また、設計支援を行う本社設計技術部門に「ユニバーサルデザイン推進委員会」を設け、ユニバーサルデザインの推進と、そのためのサポート体制を構築いたしました。


III 暮らしやすさを実感できる
   ユニバーサル体験型施設の整備(場づくり)


 「暮らしやすさを実感できる性能」は、やはり実際に使ってみて体験するのが最もわかりやすいと言えます。そこで、住まいづくりの時点で体験しながらコンサルティングできる施設が、今後、大切な拠点になってくると考えています。


   積水ハウスでは、1991年、総合住宅研究所内に暮らしやすさ、使いやすさを体験して学習できる施設「納得工房」を開設し、社員だけではなく、一般の方々にも広く開放しています。この活動により国連高齢者年に関連した国際会議で表彰を受け、以来、体験型施設を各地に展開してまいりました。


 この度、ユニバーサルデザインを体験できる拠点施設として「住まいの夢工場/ユニバーサルデザイン館」を整備し、既存の「SHIC CITY」や「住まいの家学館」を拡充していく予定です。


 住宅展示場も、体験型展示を取り入れるように見直し、体験しながらコンサルティングできる施設を更に充実させてまいります。

納得工房 1 ヶ所 京都/総合住宅研究所
住まいの夢工場 5 ヶ所 関東工場・静岡工場・滋賀工場・山口工場・東北工場
SHIC CITY 1ヶ所 東京支社
住まいの家学館 7ヶ所 横浜・青森・甲府・松本・広島・松江・浜田

(クリックしていただくと該当するページが表示できます。「住まいの家学館」の横浜以外については、 「営業所・展示場案内」 からエリアを指定してご確認ください。)

 


以上のように、積水ハウスでは、独自の考え方に基づくユニバーサルデザインを本格展開します。 ユニバーサルデザインは身近でわかりやすいので、顧客満足度の向上に結びつきやすいものであり、 また、積水ハウスの目指す中高級の住宅供給に対して、適切なコンサルティング設計を行うためのノウハウでもあります。