軟弱地盤対応のための基礎補強新工法 「節付き柱状改良工法」開発

積水ハウス株式会社/2001年1月24日

 積水ハウス株式会社は、土中深層部の支持層に頼らず、軟弱地盤において安全な住宅を建築することができる、基礎補強新工法「節付き柱状改良工法」(建設省認定名称「積水ハウス式節付き柱状改良工法」)を開発しました。


 当社では、住宅を建築される全てのお客様の宅地について、その地盤を構成する地層や地下水の状況、地盤性状を調査し、不同沈下はもとより地震等の災害時にも耐えうる安全な建物の提供に努めてまいりました。
 調査及びその対策につきましては、「スウェーデン式サウンディング試験」(注1)に加え、当社の独自の開発による「SKIPシステム」(注2)などにより、地盤の歴史的履歴まで考慮に入れた、不同沈下等に対する最適な対策を提案するシステムを構築してきました。


 調査の結果、現状のままでは地盤改良を要すると判定された傾斜地や軟弱地盤等の宅地については、その地盤を安定させ、安全な住宅を建築するため、5種類以上に及ぶ基礎形状や「鋼管杭による基礎補強」「柱状改良工法」などにより対応してまいりました。


 このたび、近年の住宅建築における厳しい地盤の状況や、断熱性・遮音性の向上などに伴う建物荷重の増大に対応すべく、従来の柱状改良柱体に2箇所の「節」をつけた「節付き柱状改良工法」(認定名称「積水ハウス式節付き柱状改良工法」)を開発し昨年5月に建設大臣認定を取得しました。
 本工法はすでに一部の地域で実施・実証を完了しており、本年2月より施工体制が整った地域から順次実施予定です。

(注1)「スウェーデン式サウンディング試験」・・・・・1971年スウェーデンで実用に供し始めた貫入試験方法のひとつです。測定器の鉄棒を地中に貫入するときの、地盤の抵抗を数値で把握し、土質や相対密度を探査する方法です。

(注2)「SKIPシステム」・・・・・平成9年に当社が開発した不同沈下防止のためのコンピューターによる地盤調査から基礎設計をご提案するシステムです。


「節付き柱状改良工法」概要

土中より取り出した改良柱体

当社は住宅不同沈下防止対策のひとつとして、平成元年に節の無い棒状の「柱状改良工法」を開発し、建設大臣の認定(認定名称「積水ハウス式柱状改良工法」)を受け全国の軟弱地盤等において採用・実施してまいりました。
 「柱状改良工法」は土とセメント系固化材液を建築地で専用の施工機械により混合攪拌し、固化材液の化学反応により、まっすぐな柱状の改良体を地盤中に築造する深層混合処理工法です。この工法は現在当社において、年間約5,000棟の実績があり、類似工法は業界内においても広く採用されています。ただしこの工法では、建物を軟弱地盤に建設するときに、地盤が軟弱であればあるほど支持力を得るため柱体を長くしたり、改良柱体の本数を増やさなければいけないなどの課題がありました。
 今回開発した「節付き柱状改良工法」では、従来の改良柱体に本体(軸)部分(直径600mm)より直径で200mm大きい2箇所の節をつけることにより、支持力を従来の約2倍まで上げることができるようになりました。これにより改良柱体の本数を減少させることができ、従来は住宅を施工しづらい軟弱な地盤での施工が容易となったほか、改良柱体の本数及び長さを減少させることにより、施工コストの削減(概ね10%程度)も可能となりました。

 この工法の開発により、全国各地に存在する軟弱地盤においても安心してお客様にお住まいいただけることとなります。


「節付き柱状改良工法」の施工方法・特長

原地盤の土とセメント系固化材液を専用の施工機械で混合攪拌し、固化材の化学反応により柱状の改良体を地盤中に築造します。
軟弱な粘性土、ローム、砂質土、有機質土地盤に対しても硬質な固結体を造成できます。
本工法の施工には専用の施工機械及び設備を用います。
施工方法は、プラント設備に予め水と固化材を練り混ぜた固化材スラリーを作ります。
  • 施工方法は、プラント設備に予め水と固化材を練り混ぜた固化材スラリーを作ります。
  • この固化材スラリーと宅地地盤の土を特殊な専用先端ビット(プロペラ状の攪拌機)で攪拌し柱状の改良支持柱を地中に構築します。
  • 「節付き柱状改良工法」では節部を造成するために特殊な専用先端ビット(特許出願中)を採用しました。
  • この専用ビットは「拡幅ビット」と称し、ビットの回転方向の違いにより、翼の受ける土圧の向きの変化を利用して、回転翼の開閉(直径の拡大・縮小)を制御する拡幅翼を装備しています。
  • この拡幅翼は、右回転により受ける土圧の向きと左回転により受ける土圧の向きを利用し、拡幅ビットが右回転の時に閉じ(翼径が小さくなる)軸部を構築し、左回転の時に開き(翼径が広がる)節部を造成します。
築造される改良柱体の軸部径は600mm、節部径は800mmで、改良柱体の全長は3000mm~5000mm。節部は、改良柱体の最深部から500mmごとに長さ500mmのものを2箇所に築造します。
従来の柱状構造体が、専ら軸部分の土に対する摩擦のみの支持に頼っていたのに対して、節部の構築により、土中での垂直抗力が増加し、従来よりも短い長さで大きな支持力を実現することができます。(従来「柱状改良工法」では8000mmの改良柱体30本を必要とした場合、同じ支持力を得るために「節付き柱状改良工法」では4000mmの改良柱体27本でよい。)
「節付き柱状改良工法」の専用機械は、低騒音、低振動で、工事期間中も近隣の方に配慮しながら施工することができます。
現場の土を利用するので、施工後の残土が少なくなります。


工法の名称: 積水ハウス式節付き柱状改良工法
大臣認定番号: 建設省阪住指発第180号
大臣認定所所得日: 平成12年5月26日
日本建築センター認定番号: BCJ-F1071(平成12年4月27日認定)

本件に関するお問い合わせ先

積水ハウス株式会社

広報部

TEL06-6440-3021

東京総務部