グランドメゾンTOP > グランドメゾンとは > gm > 塩を炊く

gm

長 崎 - 平 戸 -江戸時代初期に、日本ではじめて西欧との海外貿易港として栄えた平戸。往時をしのぶものは史跡のみとなり、今では、緑あふれる静かな佇まいである。この島に、これまで自給的暮らしを実践してきた、ひとりの青年が、家族とともに移り住んだ。彼は、毎日海水を炊き、人々の食を支える“塩”をつくる。島の人の言うには、その塩は「懐かしい味がする」そうだ。凪いだ海の向こうに、ふたつの小島が美しいシルエットを浮かび上がらせている鹿島の浜。彼が、ここを塩づくりの拠点と定めたのは何故なのか?彼のつくる昔ながらの味の塩とは、いったい、どんなものなのだろう。

塩炊き屋

「すみません、暑くて。大丈夫ですか?」
今井さんに問われ平気ですとは言ったものの、小屋の中は塩炊き釜から出る湯気と釜の焚き口からもれる炎の熱気で、かなりの暑さだ。彼が、この浜で塩炊きを始めてから4年。毎日毎日、休むことなく炊き続けられる海水の湯気に含まれた硫黄が釜の縁を囲むようにたい積し、塩炊き釜に貫禄を与えている。
 「これは鉄釜だから、常に熱を加えてやらないと錆びてしまうんです。けれど錆びにくいステンレスの釜より、塩に鉄がなじんで美味しくなりますよ。鉄は人のカラダに必要なものですからね」。

今井さんは、海水の入った釜を混ぜ薪をくべながら、塩のつくり方を教えてくれました。
 「海へは、陸からさまざまな養分が流れ込み、それが海の植物や動物、魚たちを育てています。昔の漁民は海を守るために、沿岸の森や林も守ってきたんです」。
 「塩は“海を濃縮したもの”だから、海のリズムを持っていて、春、夏、秋、冬、それぞれ塩の味もちがいます」などと、印象的な言葉を交えながら。