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東京・武蔵境 先人の功、杜に熟す。頬に注ぐ木漏れ日、鳥たちの歌声。時折、水辺から吹く風が心地よい。新宿からわずか約20分。都会のすぐそばに、これほど優しい場所があるなんて。ここは、太宰治をはじめとする文豪たちに愛された地としても知られている。名作を紡いだ彼らの面影、豊かな緑を育んだ先人たちの足跡に出会うまち「武蔵境」。

その杜は、人の手がつくり上げた。

 「武蔵野は月の入るべき山もなし 草よりいでて草にこそ入れ」と万葉集にあるように、この地は、月が草原から昇り、草原へ入ると表現されるほど何もない原野でした。原因は、この地の「土」。関東ローム層と呼ばれる赤土で「水喰い土」と言われるほど、保湿性の低い性質です。そのせいで、農作物が育たない、いわゆる痩せた土地だったと伝えられています。転機となったのは、江戸時代。用水路や農地の整備に伴い、入植者に楢の木が配られました。農地を耕すと同時に樹々を育てる。枝はたきぎに、落葉は堆肥に。苗木は杜となり、人々の暮らしに欠かせない存在になりました。こうして、武蔵野の景観を描いていったのです。
 また、江戸へ水を引くために整備された用水路、「玉川上水」「千川上水」も、人々の暮らしを潤しただけでなく、この地の風景に彩りをもたらしました。水道の発達により、用水としての役目を終え、止水されていた時期もありましたが、現在では清流を取り戻し、流域に豊かな緑を茂らせています。

都会を忘れて、杜に憩う。

 杜づくりから数百年を経た現在、まちを歩けば、ここが市街地であることを忘れさせるほどの、背の高い並木のトンネルに出会います。それはまるで、都会の喧噪と、この地を隔てるカーテン。静けさに満ちる深い木陰に佇めば、かつて数々の名作を紡いだ文豪たちの思索に耽る姿が、目に浮かぶようです。
 鳥たちのさえずりが、木立を渡る風に乗って優しく響く。
 その余韻にさえ癒される、武蔵境の散歩道でした。